2005年度(平成17年度)六月市議会 一般質問および議案質疑

質問者:
岡崎栄一郎議員

[一般質問]島土地区画整理事業の保留地処分問題について
                     05年6月15日 本会議


[岡崎議員]
 茨木市都市計画事業島土地区画整理事業についてお尋ねします。
 日本共産党茨木市会議員団は、この計画を都市計画決定する都市計画審議会で、反対しました。
その理由は、すでにバブルがはじけて、経済が低迷している中で、この計画を進めることは地権者の皆さんの利益にならないし、茨木市にとってもさまざまな形で財政負担を強いられる可能性が強いということで反対しました。この指摘が的中しているのではないでしょうか。
特に今年度、茨木市土地開発公社が面積6,475u、約2000坪近い保留地を約4億5千万円で取得する計画になっているということですので、これは大問題だという立場からお尋ねいたします。

 第一点目に、本事業に対する本市の法的、政治的、道義的責任についてお尋ねします。
国土交通省が定める「土地区画整理事業運用指針」では、都市計画事業として進める土地区画整理事業は、その事業主体が組合施行といえども、「都市計画区域マスタープランや市町村マスタープランに即して進める」という基本的な考えからすれば、この事業の成否についての本市の責任はきわめて大きいと考えますが、いかがでしょうか。

 第二点目に、事業についての情報公開についてお尋ねします。土地区画整理法第123条には「市長は組合に対して、報告若しくは資料の提出を求めることができる」とされています。本質問を行うにあたり、資料請求を行ったところ、この事業は「組合施行」なのでという理由で、必要な情報が公開されませんでした。法に定められた事業または会計の資料は提出を求め、情報公開の対象にすべきと考えますが、見解を求めます。本市は、事業計画書本体の写しを公文書として保有しているのかどうか、お尋ねします。

 第三点目に、以下、具体的な事実についてお尋ねします。1点目、2点目の質問趣旨を受けて、的確な答弁を求めます。
 一つ目に、事業計画の内容について、お尋ねします。平成12年の当初事業計画決定から、5年目ですが、この間すでに3回の変更が行われています。特に、当初計画と現行計画を比較しますと、特に目につくのが、資金計画の中の事業の主たる財源となる保留地のu当たり処分価格が20万円から約10万円と半減しております。その原因と事業に与えている影響について、お尋ねします。また、事業の総予算も82億円から56億円と大幅減となっています。特に、区域内水路の築造面積と費用が激減しています。その理由と、本市がそれらの事業を別途の事業として実施することはないのかどうか、おたずねします。さらに事業の財源は、都市計画決定時点では総事業費82億円のうち、補助金で50%の41億円、保留地処分金が50%の41億円と半々でした。それを当初事業計画では、総事業費82億円のうち、補助金で56%の46億円、保留地処分金で44%の36億円として、現計画では総事業費56億円のうち、補助金が68%の38億円、保留地処分金が32%の18億円とまったく違った内容になっております。こうした点について、どのように考えているのか、お尋ねします。
 二つ目に、保留地の処分状況についてお尋ねします。現地を見てまいりますと、立地している土地利用の中身で目に付くのが、物流関係の倉庫です。現在の各ゾーンの状況は市の都市計画やマスタープランおよび地区計画と一致しているのかどうか、これからの地権者の土地利用の見通しから見てどうなのかお尋ねします。保留地の処分は市への処分予定地を除いて、全て処分済みだということですが、18億円の財源を確保する見通しはあるのかどうか、おたずねします。また、当初いわれていた集客施設の誘致はどうなったのか、おたずねします。

 大きい四点目に、茨木市土地開発公社の保留地取得についてお尋ねします。まず取得の目的ですが、どの部課からの取得依頼に基づいて取得するのか、お尋ねします。都市計画決定時点での茨木市地区計画では当該のゾーンには「公共・公益施設の誘導を図る」とされていますが、これは、必ずしも市公益施設を自ら建設するという意味ではありません。結局、保留地の処分に行き詰って、本市が取得して、救済するものであると考えますが、見解を求めます。1問目以上です。



[中島都市整備部長]
 順次ご答弁申し上げます。事業の成否についての本市の責任についてでありますが、島土地区画整理事業につきましては、本市の総合計画、都市計画マスタープランに即して平成11年8月31日に都市計画決定をし、平成12年1月28日には組合施行の土地区画整理事業として認可を受け、事業を進められているところであります。また、市といたしましても本事業の施行にあたり、組合から土地区画整理法第75条の規定により、技術的支援の請求がなされ事務局として地権者の皆さんとともに事務の執行をしているところであります。次に事業の情報公開についてでございますが、本市が保留する土地区画整理事業の事業計画書など事業認可に係る図書につきましてはすでに資料提供をいたしております。

 次に、事業費の減にした理由などについてでありますが、水路の築造面積と費用の減につきましては、施工者であります島土地区画整理組合と水路管理者であります神安土地改良区との協議により、事業計画の変更がなされ、水路が廃止したためであります。その他、事業費の大幅な減につきましては、組合の自助努力による宅地整備の盛土材料を購入土から流用土に変更したこと、および工事請負者権により当初計画の事業内容についてはすべて実施いたしております。なお、市が別途実施する事業ではございません。

 次に、事業の財源が当初は補助金と保留地処分金が半々だが、負担割合が変わっているのはなぜかということでございますが、国・府の補助金につきましては組合等区画整理補助事業実施要領に基づき算定し、国の承認を得たものであります。また市の補助金につきましては、茨木市組合等土地区画整理事業補助要綱に基づき算出しております。保留地につきましては近年の地価下落により処分額が減額となったものであります。いずれにいたしましても補助金につきましては、補助要綱などにより補助限度額を算出し、補助額を決定するものでありまして、負担割合を定めているというものではございません。

 次に、現地での土地利用状況がマスタープランや地区計画に合致しているのかということでございますが、現地におきましてはすでに物流関係および住宅などの土地利用が進んでおりますが、すべて土地利用の方針に合致した建設をなされております。今後の土地利用についても組合において勉強会などが開催されており、総合計画や都市計画マスタープラン地区計画に合致した土地利用が進められるものと考えております。

 次に、保留地処分に伴う財源確保の見通しおよび集客施設の誘致についてでございますが、保留地の処分につきましては計画通り進捗していると組合から聞き及んでいます。また、集客施設の誘致ということでございますが、近隣商業地域での土地利用のことと思われますけれど、その地域は集いのゾーン、ふれあいゾーンとして地区計画において定めており、それぞれ目的に応じた土地利用を誘導することになっております。土地開発公社による保留地の取得についてでございますが、この保留地につきましては地区計画においてふれあいゾーンとしている地域にあり、失礼いたしました、ふれあいゾーンとしての区域にあり、公共公益施設の誘導をはかり、人々のふれあいと交流を生み出すゾーンとして都市計画で決定していること、また、土地区画整理事業の担当が都市計画であることから、公共公益施設用地取得事業として都市計画より土地開発公社に取得依頼を提出したものであります。保留地の設定につきましては、当初から地区計画において明らかにしている当地域の土地利用の方針に沿った利用を図るため区画整理事業の換地計画において定めたものでございます。

 以上でございます。




[岡崎議員]

 まず、いま答弁を聞いて、第一に、事業計画書の内容が不備であるといわざるを得ません。特に資金計画書の収入について、土地区画整理事業法では補助金を国庫負担金、府の補助金、市の補助金と区別するように書かれています。今回、情報公開請求した事業計画書の都市計画決定時点では、資金計画の収入の区分に府補助金・市補助金と区分されています。ところが、当初事業計画書から補助金と一括で示されております。なぜこういうことになっているのか、お答えください。

 第二点目に、もともとこの事業計画は、集客施設などを誘致して、土地利用の促進をすすめると、このように聞いておりました。先ほどの各四つのゾーンというのは、都市計画決定がされた後の話であって、その前の話を聞いているわけです。なぜ計画を変更したのか、その理由をお答えください。

 第三点目に、区域内水路の築造面積と費用の激減の理由が、水路を廃止して下水道を整備した、そのためとのことですが、この下水道の方式は、合流式なのか、あるいは分流式なのかお答えください。また、この整備費用は誰が負担したのかお答えください。

 第四点目に、茨木市土地開発公社の保留地取得について、目的も無しに先行取得するというのが到底理解できません。本当に取得目的なしに先行取得しているのか、再度お尋ねします。また、なぜ市が先行取得したのかその理由をお答えください。これまで医療関係施設などにこの保留地を買ってもらうよう、あちこち手を尽くしてきたが、どこも買い手がなかった。そこで、保留地が売れなかったら事業が進まず、大変なことになってしまう。下手をすれば破綻するかもしれない、そうならないよう本市が取得して、この事業を救済するとしか思われません。この事業計画にふさわしい買い手を捜すのに、もっともっと努力すべきだと強く指摘するものですが、見解を求めます。2問目以上です。



[中島都市整備部長]
 順次お答え申し上げます。
 先に事業計画の内容の不備等でございますけれども、補助につきましては資金計画におきまして国・府・市と分けることにつきましては、補助金の中で一括してあげているものでございます。

 次に、都市計画決定におきまして、なされる以前でのお話でございますが、先ほどご答弁させていただきましたように、平成11年8月に都市計画がなされ、その翌年に土地区画整理事業が認可されているものでございます。したがいまして、日程等についての以前からのお話があったのでは?ということですが、その分につきましては都市計画決定がなされ事業を進めたということでございますので、ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。

 また、事業計画につきましては、都市計画の中で地区計画に合致するものと位置づけられておりますので、その点もあわせてご答弁させていただきます。次に水路の変更でございますが、当該地域は合流式でありまして、整備の費用は補助金および保留地処分の充当を当てているものでございます。

 次に保留地の処分におきますゾーニングのことでございますが、この地域におきましては集いのゾーン、ふれあいゾーンとしての地区計画が定められておりましてその目的に応じて土地利用を誘導するものでございます。以上でございます。




[岡崎議員]

 この事業は、正しい土地区画事業で、順調に進んでいる、こういう答弁をされていますが、私が問題にしているのは保留地の処分の問題です。この保留地を市が買って事業を救済している、こんな状況に決してこの事業が順調に進んでいるとは、到底考えられません。本当にこの事業が順調に進んでいるというのであれば、なにをもって順調に進んでいると考えているのか、見解を求めます。

 私は、やっぱりこの組合施行で進められているこの事業に市として一定の誘導や指導などがありますが、事業が進んでないからといって安易に保留地を買い上げる、買って事業を救済する、こういうのは決してすべきでないと強く求めます。この見解もあわせてお答えください。



[中島都市整備部長]
 本土地区画整理事業の進捗のことでございますけれども、なにを持って現在進んでいるかということでございますが、先程ご答弁させていただきましたとおり、現地におきましてすでに流通関係等の土地利用が進んでおり、またその土地利用の方針につきましては先程来ご説明させていただいておりますように、都市計画決定および地区計画等におきまして定められた土地利用がなされておりますので、本土地区画整理事業における土地利用につきましては一定の成果があるものと考えております。

 次に、土地開発公社での先行所得のことでございますけれども、この保留地につきましては先ほどご答弁申し上げておりますが、地区計画におきましてふれあいのゾーンと位置づけされ、また公共施設の誘導をはかり人々のふれあい交流を生み出すゾーンとしての都市計画決定がなされております。それを受けまして土地開発公社への取得依頼を提出しているものでございます。以上でございます。

以上。