2006年3月24日(金) 日本共産党市政報告

2006年3月定例市議会報

公明、自民、保守、民主4会派が常任委員会採決強行につづいて本会議でも三島・中条保育所廃止民営化条例を可決!

「保育をよくする会」、「三島、中条、松ヶ本保育所保護者会」の請願3件(合計約4万署名)も不採択に!

茨木市は市内公立保育所18ヶ所中8カ所を毎年2カ所ずつ4年間で廃止・民営化をすすめる「公立保育所民営化基本方針」にもとづき、その第一弾として3月定例市議会に、三島・中条保育所廃止・民営化条例を提案しました。そして3月14日の民生産業常任委員会では日本共産党のあじち洋子市議が質疑中、自由市民クラブの木本保平市議が質疑打ち切り動議を提出、公明・保守系・民主が同調し強行可決をしました。またひきつづいての23日の本会議でも採決を強行しました。日本共産党はこうした暴挙に強く抗議すると共に、公立保育所の廃止・民営化を危惧する3つの請願(合計約4万署名)の採択を主張し、最後まで奮闘しました。


茨木市の公立保育所民営化の目的・理由が市議会審議で破たん!

 茨木市は公立保育所廃止・民営化の一番の目的について、「公立保育所運営費の市負担額(超過負担)を解消するため」と一貫して説明し、具体的には「8カ所の公立保育所を民営化すると年間7億円の市負担額(超過負担)が減少する」と説明してきました。これに対し、党市会議員団は「公立保育所正職員保育士は民営化により退職するわけでないので、市の説明には全く根拠がない」と追及し、やっと市は答弁で「公立保育所正職員保育士の人件費の市負担額(超過負担)は民営化により減らない」ということをはっきり認めました。この答弁で、市のこれまでの説明に粉飾があることが明確になったのではないでしょうか。市が常任委員会で示した数字から換算すると減る超過負担年間約7億円の内訳は正職員人件費で5億円、臨時職員人件費で1億2千万円、光熱水費など管理費で8千万円です。しかしこのうち正職員人件費の5億円は減らないことがはっきりしたわけで、実際に減るのは約2億円です。したがって8カ所の公立保育所を民営化すると年間7億円の市負担額(超過負担)が減少する」との市の説明には「正職員人件費5億円」の粉飾があったことが明らかとなり、偽装は児童福祉課職員人件費だけではありませんでした。一方公立保育所8カ所民営化により私立保育園の市補助金はどの程度の増額になるのでしょうか。市の説明では、「私立保育園への市負担額(市補助金)は8カ所民営化により年間1億1千万円の増額となる」ということでした。これに土地の無償貸し付けと建物等の無償譲渡も含めて計算すると年間約2億4千万円(推定)の増額になります。この金額から公立保育所市負担額の減を差し引きしますと保育所全体の市負担額は減るどころか約4千万円増となることがはっきりしました。



民主党議員が「茨木市地方交付税不交付(富裕団体)を理由に、「民営化延期反対」を主張!

 
公立保育所運営費国府負担金が一般財源化された中、国は国負担金を地方譲与税(所得税の個人住民税への本格的な税源移譲を平成19年度から実施することとし、それまでの間の暫定措置として所得税の一部を使途を限定しない一般財源として地方へ譲与する所得譲与税を創設)で、府負担金を地方交付税で措置しました。ところが「19年度からの個人住民税への税源移譲と茨木市の18年度からの地方交付税不交付団体で19年度以降年間4千4百万円程度の影響を受け、民営化を延期すれば延期するほど財政的な損害を受ける」との議論を市の試算にもとづいて、民主党議員が持ち出しました。しかしこの主張には根拠はありません。まず税源移譲による影響はありません。また不交付団体になったからと言って、財政上の実害はありません。即ち基準財政収入額が基準財政需要額を上回ると不交付、収入額が需要額を下回ると交付になるのが地方交付税制度の仕組みです。ちなみに茨木市では18年度の地方交付税は17年度に比べて約3億8千万円減収になりますが、市税ではそれを大きく上回る6億6千万円も増収になります。それどころか基準財政需要額積算では保育所児童一人あたりの単位費用は公立は約50万円、私立は約14万円と3.5倍の開きがあり、120名定員公立保育所1カ所民営化すると茨木市では4300万円も基準財政需要額積算でマイナスになります。このように公立保育所の民営化は茨木市の財政上からも百害あって一利もありません。


茨木市が常任委員会で、「民営化の根拠」についての答弁を拒否!

 市は本会議での党市会議員の質疑の中で「公立保育所正職員保育士の人件費の市負担額(超過負担)は民営化により減らない」ということを認めました。しかし民生産業常任委員会の日本共産党あじち洋子市議の「公立保育所運営経費の市負担額(超過負担)の内訳・金額を示し、民営化による市負担額(超過負担)減少額を明確にせよ」という質疑に対して、「指摘の内訳も金額も示せない」と答弁拒否を繰り返し、市の「8カ所民営化による公立保育所運営費の市負担額(超過負担)が年間は7億円減少する」という説明の根拠を示せませんでした。こうした中であじち市議の質疑中に、自由市民クラブの木本保平市議が市の不誠実な態度をかばって、質疑打ち切り動議を提出、公明・保守系・民主の市議が同調し、公立保育所廃止・民営化条例の強行可決を行いました。あじち市議は「茨木市にとって、20年に1回という大問題を大事な根拠も示させずに、強行採決は許せない」と抗議し、常任委員会、本会議で元気市民会派議員と共に反対しました。


公明・自民・保守系・民主各会派議員が請願代表者の切実な声を無視、不採択に!

 民生産業常任委員会では「茨木の保育をみんなでよくする会」「中条、三島保育所保護者会」「松ヶ本保育所保護者会」が提出した請願3件を一括審査し、それぞれの請願者が請願趣旨について、意見陳述を行いました。「よくする会」の意見陳述では「児童福祉施設最低基準には保育所の設備又は運営を低下させてはならないとなっている。公立保育所の廃止・民営化は、これに反する行為であり、現状以上に茨木市の保育の質を低下させることとなる、また15年度に私立保育園が2園増えたのに市補助金総額は前年度と同じ。これでは一人一人の子どもたちにしわ寄せがいく、私立保育園への市補助金の増額を」保護者会は「まだ保護者への説明会は始まったばかりでなのに、その最中に条例改正だけが先に決まるのはおかしい」「保護者会総会を持ったが、今回の民営化基本方針に双手をあげて歓迎という人はひとりもいなかった」など、民営化を危惧する意見が相次ぎました。ところが公明、自民、保守系、民主の4会派の議員はこうした請願代表者の声も無視し、多数で3つの請願すべてに反対し、常任委員会、本会議とも不採択にしてしまいました。