[岡崎栄一郎] 6月議会 一般質問 06年6月13日

「2005年度(平成17年度)本市の業務委託、工事、物品購入に係わる随意契約の実態と改善について」


(1問目)
2005年度(平成17年度)茨木市の業務委託、工事、物品購入に関わる随意契約の実態と改善について、お尋ねいたします。

地方自治法の第234条の第1項では売買、賃借、請負、その他の契約は一般競争入札、指名競争入札、随意契約、又はせり売りの方法により締結するものとしています。さらに、同条第2項では、指名競争入札、随意契約、又はせり売りは政令で定める場合に該当する時に限り、これによることができるとしています。

さらに、地方自治法の施行令第167条の2第1項第1号及び第2号では、一般市町村の場合、工事で随意契約にできるのは130万円以下、業務委託や物品購入の場合は50万円以下、または、その性質または目的が競争入札に適しないものとする時としています。

ところが、情報公開で得た資料によりますと、2005年度即ち平成17年度は、金額的に、工事で130万円以上、業務委託及び物品購入で50万円以上にもかかわらず、随意契約にしているケースが年間通して、491件・金額で約74億5千万円あります。事業別でいいますと、物品購入が16件・5億7千万円、工事が40件・約6億4千万円、業務委託が435件・約62億4千万円と業務委託が圧倒的な部分を占めています。

また部別及び行政委員会別に分類すると総務部が25件・約3億2千万円、企画財政部が60件・約9億円、市民生活部が51件・約4億2千万円、健康福祉部が82件・約18億円、人権部が18件・約5千万円、環境部が35件・約2億1千万円、建設部が108件・約11億6千万円、都市整備部が5件・約2億円、教育委員会が99件・約5億5千万円、水道部が5件・約6千万円、消防本部が1件・約2千万円、選挙管理委員会が1件・約800万円、議会が1件・約500万円となっています。

それではこの491件約74億5千万円の随意契約がすべて、地方自治法施行令第167条の2、でいうところの「その性質または目的が競争入札または指名競争入札に適しないもの」「緊急の場合」「不利な場合」「有利な価格の場合」「落札者がない場合」「落札者が契約締結しない場合」のいずれかに該当するのかどうかが問われます。そこで、第一点目に、過去の経過を見ても業務委託を中心に長期にわたって、漫然と同一・同種の内容の契約が随意契約として継続されています。昨年度は491件について、施行令のどの条文を適用しているのか、内訳をお示しください。

第二点目に、6月10日付の朝日新聞に05年度の国の省庁分の随意契約の内、実際に随意契約にする必要のあったのは、全体の1割ないし2割という記事が掲載されました。そして官邸がコスト削減のため競争入札に切り替えるよう求めるとしています。現下の財政状況からしても、その運用の適切性は毎年審査しているのか、またせめて指名競争入札に改善すべきと考えます。答弁を求めます。

第三点目に、同記事では「随意契約にするかどうかは省庁側が判断せず、原則として、すべて取引相手を公募するよう指示。結果的に競争相手がなく、随意契約を結ぶ場合は業者の選定理由をホームページ等で公表する」としています。茨木市の場合も同様の考え方で進める必要があると考えますが、答弁を求めます。

第四点目に、監査委員にお尋ねいたします。監査委員は契約の適正性についても、監査すべき立場にありますが、その点についての監査は毎年行っているのかお尋ねいたします。また茨木市の随意契約の指摘の現状について、どのような見解をおもちなのか、お尋ねいたします。また改めて、491件すべての適法、適切性についての監査を実施するよう、答弁を求めます。
1問目以上です。


松本企画財政部長
 随意契約の件でございまして、各課が集約しておりますが、わたくしのほうで一括して答弁いたしたいというほうに思います。今回のマー随意契約491件の件でございますが、適法号を申し上げます。1号1件、2号440件、3号35件、5号3件、6号6件、8号4件、以上でございます。次に、運用の適切性を毎年審査しているかと、また指名競争入札の改善ということでございますが、本市におきましては当然契約の透明性、あるいは公平性の過去を図る観点から常に契約事務の適正化に務めているという風に考えております。従いまして今回の随意契約でございますが、こうした随意契約でしか対応できない特別な場合といたしましては、年度開始前の事前準備行為、あるいは見積もり合わせによる契約締結を行っております。また取り扱い業者が足りない場合、また競争によることが不可能、または困難な場合、あるいは競争によることがかえって非効率、不経済の場合においても同様でございます。今後ともこうした適用に当たりましては慎重に検討を行いまして、競争性が阻害されないよう適切な運用を図ってまいりたいという風に考えております。次に、国が示しております、扱いといいますか、取引相手の公募あるいは選定理由のホームページということでございますが、本市の考え方につきましては、先程も申し上げておりますとおり常にそうした改善を図っておりまして、現時点でそうした取り組みをする考えは持っておりませんが、今後国におきましても現在新聞紙上をいろいろとにぎわせておりますことから、そうした動向には十分見極めて本市も対応を考えてまいりたいと考えております。以上です。

美田代表監査委員
 契約の適正性の監査の実施、それから茨木市の随意契約についての見解、ならびに随意契約としている491件の監査の実施について、このご質問についてお答え申し上げます。まず監査の実施についてでございますが、年度当初に監査委員の協議によりまして年間監査実施計画を作成しております。それに基づきまして監査を実施しております。契約の適正性に関しましては、主に定期監査においてその適意をも監査しておる予定でございます。次に随意契約につきましては、地方自治法第234条第2項で政令に定める場合に限りすることができるとされています。ここに該当する場合として、一定の規定がされており監査委員の立場からは当該規定の趣旨に沿って随意契約とされているかどうかについて監査すべきであると考えております。次に491件の監査についてでございますけれども、監査は監査委員の協議より先程申しましたが年間計画を定めて実施しております。この計画は、市の全体事業を見て各種の監査・検査等の関連の中で監査対象から1部を抽出して調査する、いわゆる示唆によって実施するとしております。従いまして、現在のところご指摘の監査を実施する必要があるとは考えておりません。以上でございます。



(2問目)

 今回、とくに業務委託で行われた随意契約の特徴の1つは、年度始めの4月1日から3月31日まで通年の期間で委託する業務が多くを占めていることです。4月1日から業務を開始しなくてはならない、そのためには、4月1日に契約を成立させていなければならず、新年度になってから入札を行っている時間がない、だから随意契約を行ってきたんだということでありますが、このような解釈を改めるべきではないかというのが、今回の質問の1つであります。

国の締結する契約に関し、昭和35年5月24日の最高裁判所の判決が「国が当事者となり売買等の契約を競争入札によって締結する場合に、落札者があったときは、国及び落札者は互いに相手方に対し契約を締結する義務を負うにいたるが、この段階では予約が成立するにとどまり、本契約は、契約書の作成によりはじめて成立すると解すべきである」と判示しました。国を当事者とする契約も地方公共団体を当事者とする契約も、ともに公の経済の持つ公共性という点においては相違がないと示されています。これをふまえて、地方自治法第234条第5項において、「地方公共団体が契約につき契約書を作成する場合においては、地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ、当該契約は確定しないものとする」として、契約書作成の場合の契約の成立の時期を明確にしています。

民法の大原則は、契約は両者の意思の合致により成立するもので、契約書の作成は要件ではありません。しかし、判例や法は、この原則を修正して、判例として国や地方自治体が結ぶ契約については、契約書に両者が記名押印することで契約が確定するとしました。これは、つまり契約書を作成するまでの前段階の行為は契約成立に向けての準備行為や予約行為に当たり、たとえば随意契約における見積もりあわせや4月1日から雇用開始する職員の任用決定通知書が前年度中に行われるのも、このような解釈のもとに行われていると理解します。それならば、競争入札行為だけは例外とする根拠はなんらないと考えます。競争入札を行って落札者を確定させたとしても契約は成立することはないわけですから、新年度当初から開始される業務委託についても、前年度中に入札までは済ませておくということは技術的に可能であることは明白ですし、それにむけて大いに研究すべきだと考えますが、見解をお聞かせ下さい。

またこの機会に個別の案件についても、いくつかお尋ねいたします。
平成17年度のし尿処理業務委託ですが、2社から見積もりを徴して、2者と契約しています。その見積もり結果は、第一回目は2社とも月一回収集は768円、月2回収集は1538円と同一金額です。2回目は2社とも月一回収集は765円72銭、月2回収集は1531円43銭と銭の単位まで、同一金額となっています。これは偶然なのかどうか、お尋ねいたします。次に同じく平成17年度ごみ収集業務及び粗大ごみ収集業務委託についてお尋ねいたします。いずれも3社と契約しています。これも見積もり結果は、第一回目は一戸あたり月額741円、740円、738円と若干の相違がありますが、2回目はすべて3社とも719円5銭と銭の単位まで同一金額です。これも偶然なのかどうかお尋ねいたします。次に公共下水道耐震診断計画書作成業務委託契約についてお尋ねいたします。これも随意契約で行われています。この契約が競争入札もしくは指名競争入札に適さなかった理由を明確にするよう求めます。次に都市計画マスタープラン作成業務委託契約についてお尋ねいたします。これも随意契約で行われています。この契約が競争入札もしくは指名競争入札に適さなかった理由を明確にするよう求めます。一般廃棄物処理基本計画策定業務委託についてお尋ねいたします。これも随意契約で行われています。この契約が競争入札もしくは指名競争入札に適さなかった理由を明確にするよう求めます。人権啓発冊子企画編集制作業務委託についてお尋ねいたします。これも随意契約で行われています。この契約が競争入札もしくは指名競争入札に適さなかった理由を明確にするよう求めます。公園のすべての補修管理業務委託についてお尋ねいたします。これもすべて随意契約で行われています。この契約が競争入札もしくは指名競争入札に適さなかった理由を明確にするよう求めます。以上です。


松本企画財政部長
 随意契約に関連いたしまして、最高裁の判決を持って事前に年度以前に入札ができるということで研究せよということですが、本市は現在随意契約で進めておりますのは、予算執行におきましてご存知のとおり地方自治法第208条第1項の規定によりまして会計年度開始前にはできないものと、これは当然すべての方がご存知のことということで会計年度独立の原則がございます。そのことから、入札行為は契約行為の手続きの1つであり、広い意味での支出負担行為の1部、また予算の執行に含まれているという風にわれわれは解しているところでございます。従いまして、年度開始前の入札行為はできないという風に考えております。また一方、見積もり調書につきましては年度開始早々に必要な契約の事前準備行為として行うものでございまして、随意契約における見積書は相手方からの契約申し込みということで提出させるもので、債務負担行為そのものでないと解しております。従いまして、本市におきましては事前準備行為として随意契約の方法により事務執行を行っているということでございます。なおこれにおきましては地方財務実務提要地方自治研究会編集から等でもそうした見解が出されておりまして従来からこの形で事務執行を行なっているということでございますので、先程の判決の契約行為というのは当然おっしゃっているとおりのことと思いますが、現在本市が進めている事務執行においては以上のことでございます。以上です。

池上環境部長
 随意契約に関連してのご質問でし尿あるいはゴミ収集についての契約についてでございますけれども、し尿及びゴミの収集につきましては一定の人員の確保、あるいは機材の確保が必要でございまして、委託する業者にそういった能力を備えているかどうかということを確認する必要がございます。また収集区域の円滑、ゴミを収集していくという観点から先程申あげましたようなところの確認が必要でございまして、区域を指定いたしまして見積もりあわせを実施しておりますけれども、市域全体の費用算定というところから見積もりを合わせました結果、1回目につきましてはそれぞれ各社、差があったわけでありますけれど、2回目の入札、いや見積もり合わせにつきましては独額で提出されてきたということでございます。また、一般廃棄物処理基本計画の策定業務につきまして随意契約をなぜしているのかということでございますけれど、一般廃棄物処理基本計画の見直しにつきましては16年度と17年度の二ヵ年度にわたって見直しを行っておりまして、16年度につきましての業務委託の内容につきましては、いわゆる一般廃棄物処理に実態調査を中心に(  )調査も含めまして委託を出しました。その結果に基づきまして17年度ですね、基本計画の内容についての委託をしたわけでございますけれど、内容が関連していると16年度に引き続いて17年度、その作業を続けていった性格のところから17年度につきましては、いわゆる16年度による決定した業者と随意契約をしたということでございますので、よろしくご理解いただきますようお願いいたします。

斉藤建設部長
 公共下水道の耐震診断計画の随意契約の関係でございますが、国庫補助事業として国から補助を受けて進めておりますが、平成16年度の委託においては今後の一連の業務を進めていくための準備契約段階初期条件設定作業としてとらまえておりまして当該年度において重要な官選等の耐震診断マニュアルを策精いたしたものであります。なお平成17年度の業務内容は、一連の検討結果を統一されたデーターベースに収め様々なシュミレーションを電算処理する上で16年度の業務と一連としてとらまえる必要があり、下水道耐震地質情報処理に関する技術を要する同一の業者でなければ合理的な耐震化施策の策定は実施不可能であることから随意契約としたものであります。続きまして、公園の施設補修業務等の関係でございますが、その内容につきましては主に鉄棒や滑り台、ブランコなどの遊具の補修・修理等で幼児、子供たちの安全管理のため、また、公園等や緑地の遠路等の補修業務で公園業者及び周辺地域の安全対策として早く対応を図るため実施したものであります。以上でございます。

中島都市整備部長
 都市計画マスタープランの策定業務についてでございますが、平成16年、17年、18年の3ヵ年の計画でございまして、11社の参加によります総合評価コロポーザル方式であります。従いまして地方自治法施行例第167条の2第1項の第2号であります。その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものと判断させていただいております。以上でございます。

福田人権部長
 人権啓発冊子の随意契約についてでございますが、いわゆる幸せの導きの作成に際しまして、コンペ方式により各社が企画提案されたものを審査するといったもので、その内容はすぐれたもの、又は同業低価格内でということで業務委託を決定したものでございます。


(以上)