[朝田 充] 9月定例市議会 一般会計補正予算質疑と議案質疑、反対討論

◎茨木市の財政運営と人事行政について

◎議案第58号 財産(建物等)の譲与について(三島保育所、中条保育所)〜反対討論

◎平成17年度大阪府茨木市一般会計決算認定について〜反対討論


(1)一般質疑「茨木市の財政運営と人事行政について」- 2006.09.11

<朝田1問目>
大きく2点について、一つは本市の財政運営について、二つ目に本市の人事行政についてお尋ねいたします。

1、本市の財政運営について

 まず大きな1点目として、本市の財政運営の問題について、現状及び見通し、今後の対応についてお尋ねいたします。
 この項目の第1として、市税収入についてお尋ねいたします。市税収入は、言うまでもなく歳入の根幹でありますが、平成17年度の市税収入は、約419億7,700万円で前年度比で3億7,600万円の伸びであります。さらに平成18年度の見込みは425億8,000万円というふうにお聞きをしております。これも前年度、平成17年度対比で6億300万円の増加ということになろうかと思います。さらに市税収入の中でもこれまた根幹である個人市民税と法人市民税についてみてみると、まず個人市民税の平成18年度見込みは、前年度対比で13億500万円もの増であります。法人市民税については、同じく2億8,400万円の増ということであります。その原因として、法人市民税については景気の回復傾向、回復といってもほんの一部でしょうが、そういうことと、それから個人市民税については増税の影響というふうに答弁されていたと思います。定率減税については、その影響額、半減で6億5千万円とお答えになっていたと思いますが、その他の増税、いわゆる老年者控除の廃止や公的年金者控除の縮小、低所得高齢者の非課税限度額の廃止などは、以前、お聞きをしたときには「まだ分からない」という答弁でした。現時点においては、もうその影響額分かると思いますので、その影響額について答弁を求めます。
 次に、歳出構造の問題についてお尋ねいたします。この問題で特に取り上げたいのが公共事業、投資的経費の問題であります。この間の公共事業費の充当一般財源総額を見てみますと、土木費関係の投資的経費が全体の53%、土木費以外の投資的経費が47%という内訳であり、更に土木費の中でも道路橋梁費及び街路費が全体の40%を占めるという道路建設偏重の傾向が指摘できるわけであります。さらに、目的別歳出の推移を見てみると、土木費が先ほど述べましたとおり、投資的経費充当一般財源総額の53%を占めるのに対し、教育費は17%、民生費は9%というこういう傾向が続いているわけであります。あまりにも民生費関係の公共事業が低く抑えられていると指摘するものでありますが、その評価と、今後、特にこうした傾向を踏まえて来年度予算編成にむけてどう対応されるのか、どう改善されるのか、答弁を求めます。
 この項の最後として、来年度の予算編成に関連してお尋ねいたします。ここで尋ねたいのはこの間発表された「集中改革プラン」と来年度予算編成との関係であります。6月議会でも取り上げましたが、集中改革プランは平成17年度から21年度までの5ヵ年の計画であり49億円もの市民犠牲を強いるニセ行革であると指摘したところであります。その項目として「就学援助費の見直し」だとか「指定管理者制度の推進」だとかもう始まっている、着手しているものもあるわけですが、「市税等の徴収体制の見直し」や「浄水場運転管理業務の委託化」など、これからやろうという項目もたくさんあるわけで、何か進めようとしている考えが念頭にあるならば、率直にこの場で示すべきだと思うわけであります。政策的問題であり、市長に答弁を求めます。

2、本市の人事行政について

 次に、大きな2点目として、本市の人事行政についてお尋ねいたします。
 まず第1に、この間、発表された環境事業課技術員兼作業員の不祥事についてお尋ねいたします。この職員は「酒気帯び運転」で検挙されたにもかかわらず、度重なる出頭命令にも従わず、罰金も滞納していたとのことですが、その事実経過について答弁を求めます。
 次に、こうした職員のモラルの低下や交通法規違反関係の処分として、やはり昨年の交通安全指導車を運転していた職員の交通事故、無免許運転の不祥事が思い起こされます。この時も処分内容としては、同じ諭旨免職でありましたけれども、処分された職員の氏名を公表しています。そうした点でいえば、今回はなぜ非公表なのか、どう違うのか、その理由について答弁を求めます。
 次に、今回の事件もあり、全国的にも福岡市職員の飲酒運転による追突で幼児3人が死亡した事故など、公務員による飲酒運転事故が相次いでいることも受けてであろうと思いますが、先だって茨木市は「茨木市職員の懲戒等処分の指針」をマスコミに公表しました。公表すること自体は、結構なことだと思うわけでありますが、やはりこの指針も現時点に立っての見直しが必要だと私は考えます。特に2001年、平成13年に「危険運転致死傷罪」が新設され、飲酒運転への対応見直しが各地の自治体で発表され、一つの流れとなってきています。本市も今回の不祥事を機に、この指針の「第2 懲戒処分の基準」の(4)交通事故・交通法規違反関係、また「第4 懲戒処分の公表基準」の厳格化、明確化を求めるものですが、答弁を求めます。さらにこうした不祥事を起こさない、自浄作用を発揮するため、従来から求めています独立した内部告発も保障したオンブズパーソン制度の導入を再度求めますが、あわせて答弁を求めます。

<1問目答弁>
(松本企画財政部長)
 まず、市税の関係でございまして、市税収入における老年者控除廃止等に伴う影響額ございますが、約2億4,400万円と試算いたしております。なお、質疑の中で17年度決算から見て、個人市民税等は大幅に伸びるということで、伸びるほうばっかり書いておられますが固定資産税が8億円の減になっているということも一定、ご答弁させていただきます。
次に、歳出構造の見直しということで、従来からいろいろこれにつきましては議論をしておりまして、土木費が多いと、民生費、教育費が少ないということでございますが、やはり目的別投資的経費の比較につきましては、やはり土木費のように投資的事業を主とする費目、またそうでない費目によりましておのずから経費に差があるというふうに考えておりまして、単純な経費比較をもって施策のあり方を検証するのは適切ではないと考えております。特に民生費の高齢者、あるいは障害者、児童への福祉サービスにつきましては、やはり性質別区分といたしましては扶助費などの消費的経費を主とするものであることから施策の充実は消費的経費が増加していることに現れているというふうに考えています。したがいまして目的別の投資的経費の比較におきましては当然、民生費や教育費は少ないことになりますが、保育所などの維持補修に係る経費は一定額の措置をしているというふうに思っております。また、年度によりまして福祉サービスの向上を図るための保育所建設の補助、あるいは用地取得、そしてまた、老人福祉センター等の福祉施設建設等につきましてもその都度、適切に予算措置をしております。以上です。

(野村市長)
 来年度の予算編成についてのご質問がございましたが、来年度の予算編成につきましてはまだ現時点ではその方針を決定しておりませんし、また、国の制度改革あるいは景気の動向に左右される所がたくさんございます。いずれにいたしましても行財政改革指針なり行財政改革推進プランの具体化に向けた取り組みにつきましては予算編成の中で重要な柱になるものと考えております。

(津田総務部長)
 環境事業課職員の不祥事件についてその経過をということでございますが、平成17年の9月2日に飲酒して車を運転し、酒気帯び運転で検挙されたと。そのことを上司に報告せず、検察庁からの度重なる出頭命令にも従わなかった、その後、免許停止の通知と略式裁判において罰金20万円の判決を受けましたが、罰金の納付を引き伸ばした、本年6月30日に大阪区検察庁から酒気帯び運転で罰金20万の刑を確定したが罰金の納付がいまだなされていない、6月30日午後3時までに罰金の納付がない場合には本人の身柄を拘束するという連絡が環境事業課に入り、事件が発覚したものでございます。
 次に、今回この事件と以前の17年1月31日、道路交通課職員による無免許運転の事件と公表の方法が違うのではないかということでございますが、両方とも諭旨免職処分にしています。前回は氏名を議会へ公表し、今回は公表しておりません。ただしプレス発表におきましては両事案とも氏名は非公開としています。この理由でございますが、まず一点は、前回の無免許運転では当該職員が無免許にもかかわらず数回にわたって公用車を運転しており職務上の責任があること。また、今回の事件の場合平成17年4月1日に個人情報保護法が施行されていますので、その点も十分配慮いたしまして、議会への報告で本人の氏名を公表しなかったものでございます。
 次に、今回、指針を示しましたが、厳格化、明確化を図るべきではないかということでございます。さきほど塚議員の質問にもお答えいたしましたように、今回、指針を示しましたのはこの処分の厳格化を図ると、服務規律を確保するということでございますのでよろしくお願いいたします。
 次に、オンブズパーソン制度の導入についてどうかということでございます。この制度は、市の業務、それに伴う職員の対応等について苦情を行政外部の第三者であるオンブズパーソンに申し立てるという制度であると理解しております。しかし、職員の服務規律の確保は、やはり全体の奉仕者としての高い倫理観を持って市民福祉の向上のために全力を挙げて業務を遂行するというのが本旨であります。そのために公務における規律の秩序を維持する、また、個人と組織である市がですね、そういう使命感を持って行っていくというのが本意でありますんで、外部の監視制度を導入するのではなくて、やはり市民の信頼を維持し続けるには組織として自助努力をするというのが適切ではないかというふうに考えておりますんでこの制度の導入については考えておりません。以上でございます。


<朝田2問目>
 2問目いきたいと思います。
 まず1点目の財政運営についてですけども、市税収入についてですけども、2億4,400万円数字を出しましたけども、老年者控除の廃止ということですね。私の理解が足りなかったのか、これは、老年者控除の廃止だけの数字でしょうか。できましたら各項目ごとに出してほしいですし、増税関係の総額、税収増の総額もぜひ出してほしいと。今出せないというのであれば、委員会までに精査してほしいなと思います。再度答弁を求めます。
 それから、歳出構造の問題ですけれどもしかし、公共事業でみれば民生費関係が低位なのは私は事実やと思うんです。しかもこの分野は保育所の耐震化の促進など緊急性を要するものが多々あり、やはり、改めて改善を求めたいと思うんです。
 一日目の本会議での保育所建物等の議案審議で、助役の答弁でも、これに対する賛成討論でも明確に、ちょっとおかしいことは保育所民営化の手続きの凍結、延期を求めること、そのことをもって耐震化を凍結、延期せよといっているかのようにねじ曲げているというのか、そういうように曲解してとらえてはるということ。私はそんなこと言ってないということを私はいいたいんです。保育所民営化の手続きを凍結、延期せよということは、言い換えれば、今ある公立保育所で耐震化の必要のあるところはすべて耐震診断も耐震補強工事ともすべて、公立保育所として市が責任を持てと、そう言ってるわけですよ。そうでないと同じ公立保育所であっても民営化対象保育所であるがゆえに耐震診断は保障されても耐震補強工事は保障されないという不公平が生じてしまうではないかと、そういうことを言っているわけです。で、我々はそれだけでなく公私間格差を生まないために、畑中質問でも私立にも耐震化促進のための補助を求めたわけであります。この事業の緊急性はきわめて高い、公共事業の目的別の従来の割り振りを変えて、財源を作り出して取り組むべきと考えますけども答弁を求めておきます。
 人事行政についてなんですけども、大事なことは飲酒運転、先ほども、酒気帯びも含めて飲酒運転は、法律違反だということですけども飲酒運転に対する考え方が2001年から根本的に変わったということを本当に強調したいんです。先ほども述べましたとおり危険運転致死傷罪ということで犯罪とされたわけです。ですから時代の要請による見直しというのはやはり必要であると。飲酒運転、酒気帯びも含めて原則、免職、そして原則、氏名・所属公開。もう、京都市でも一連の不祥事で、処分職員の氏名公開の対象を免職者だけでなく停職者にも拡大するとか、そういうことがひとつの流れとなっているわけですから、時代の要請による見直しというのは、やはりしていく必要があると思いますけど、そういう認識が残念ながら部長の答弁では感じられなかったということです。そういうことも再度答弁を求めておきます。特に危険運転致死傷罪というものに対してどういう認識を持っているのか再度答弁を求めます。以上です。

<2問目答弁>
(南助役)
 先日の民営化の件での公立保育所の耐震化の質問の中で、今、ねじ曲げたという解釈ではなしに、おっしゃった内容から答弁いたしましたのは、公立保育所18ヶ所すべての耐震化を行いますと。その中に民営化の対象となっている三島、中条保育所が入っておりますと。その診断の結果によって今年度の3月末で診断結果がでますから新年度において耐震化が必要であれば、その費用については移管法人と協議しますということで申し上げたものでございます。

(松本企画財政部長)
 一点目の市税収入との関係でございますが、内訳をということでございますので老年者控除の廃止におきまして約1億3,400万、そして公的年金の控除縮減で7,800万、非課税措置段階的廃止ということで3,200万円の予算を試算いたしております。以上です。

(津田総務部長)
 今回示しました職員の懲戒、懲罰の基準ということの中で、飲酒運転に対して甘いのではないかということでございますが、これも先ほど塚議員の質疑の中でご答弁申し上げてますように、ひとつの処分だけをきつくする、確かに流れとして飲酒運転いうのは、やはり、ある意味では確信犯で、法を守る公務員としては厳しく対処されるのは当然だと思います。しかし量定を示す基準の中で、すべてを懲戒処分と、極刑という形は好ましくないのではないか、といいますのは懲戒の具体的な情状というのは飲酒運転の場合でもいろんなケースがあると思いますんで、その基準を一般的に規定する、をもって規律をしきれないという部分がございます。ただし、このような事案が発生した場合、懲戒審査委員会等でその内容等十分吟味し、厳しい処分を課せざるを得ないというふうに考えています。また、公表という点でございますが、これも今回の指針の中に示してますようにその事件の事案によりまして公表すべきは公表していきたいというふうに考えております。したがいまして、ただ職員に対して甘くするということの考えを持って、今回の基準を示したわけではございません。やはりより厳正な対応をしていきたいという目的を持って、今回の指針を示しておりますんでよろしくお願いします。以上です。


(2)議案第58号 財産(建物等)の譲与について(三島保育所、中条保育所)・反対討論 - 2006.09.08

 私は、「議案第58号・三島保育所、中条保育所の財産(建物等)の譲与について」日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして反対の立場から討論を行います。

 本件は、来年4月からの三島保育所、中条保育所の廃止、民営化のために両保育所の建物等の不動産、遊具、備品等の動産を移管先法人に無償譲渡する提案であります。
  そもそもこうした市有財産の無償譲渡は、「対価を全然徴収しないで、その所有権を特定の者に移転し、その者に財産的利益を与えていることであるから実質的には無償譲渡の相手方に対し、補助金又は寄付金を支出することと同様の効果をもたらす」とされています。この件に関して三島保育所は建築価格と備品購入価格で、合計約1億2,000万円。中条保育所については建築価格と備品購入価格で、合計約1億3,000万円。「現在の評価というものにしていく必要はあるかわかりませんが、それが補助と同様の効果があるというふうに考えております」と答弁しているので、結局、現在の評価額は算出しなかったわけでありますが、いずれにせよ各法人に1億円を超える補助金あるいは寄付金が交付されるのと同様であります。これが妥当、適法といえるのかどうか、これがこの問題の焦点であることを明確にして、以下、反対の理由を述べます。

 反対の理由の第一は、補助金交付と同様の意味をもつ今回の無償譲渡が、「公益上の必要性」を満たしているとはいえないからであります。
  補助金交付と同様の意味を持つ「無償譲渡」は、その性格から厳しい制限があります。普通財産の譲与は、相手方に対する利益の供与という点では「減額売り払い」よりも徹底しているので、その実施は、譲与の目的において、減額売り払いの場合よりもより高い公益性が存在し、又は譲与財産と譲与を受ける者の間により強い費用負担等の関係が存在する場合に限り認められるというのが一般的原則であります。「より高い公益性」とは、当該譲与することによる地方公共団体の、つまり茨木市の損失がそれだけ一般の住民の利益となって還元され、客観的に見て当該譲与が何人からも承認される妥当性を有するものであるかどうかということで、本件でいえば、市民の貴重な財産をタダであげる、実質1億を超える補助をするわけですから、それ相応の「効果」、保育水準、保育内容の向上が図れるものでなければならないといえます。しかし、無償譲渡の理由について議案書では「引き続き保育所運営を円滑に行わせるため」と書いてあるだけで、さらに答弁では「譲渡されてもこれまでと変わらず保育に使用されるから」、また3月議会の答弁でも「民営化のひとつの方針だから」と、いわば「引き受け料」、「よそもそうだから機械的にそうした」という程度の根拠しか示されませんでした。また、市民への還元、保育の向上についても「初期投資の必要がなくなり、経営面での負担が軽減されることにより保育内容の充実が図れる」と、無責任にも相手の善意にまかせるという答弁でした。初期投資を抑えるというのは、それは民間にとっての利益であり、市民にとってどういう効果があるのかの具体的事実は何もなかったのであります。「減額売り払い」の措置も真剣に検討された形跡もありません。まさに市民全体の利益よりも一部の利益を優先させたわけです。また、無償譲渡のもう一つの原則といえる「譲与財産と譲与を受ける者の間により強い費用負担等の関係が存在する場合」とは、建物等が老朽化等により、譲渡後にそれ相応の維持補修費がかかる場合が想定されますが、本件に関してはもちろんそのような事実はありません。
 反対の理由の第二は、今回の無償譲渡が、平等原則、公平性の原則に反するからであります。
「地方公共団体が補助金を交付する場合に、これを受給できる住民とそうでない住民が生じることはさけられないが、・・・・交付内容や受給資格等の決定に際して、平等性が強く要請されることは当然であり、・・・・このような区別を容認するに足りる合理的な理由が存在することが必要であり、合理的な理由を欠く場合には、当該補助金の支出は裁量の範囲を逸脱したものとして、公益上の必要がある場合という要件を欠くことになると解すべきである。特にその補助金交付が直接資産形成に結びつく内容である場合は、その合理性については厳格に判断されるべきである」というのが最近の判例であり、このことはまさに、直接資産形成に結びつき、補助金交付と同様の意味を持つ無償譲渡においては、より強く意識されるべきであります。
実質1億円の補助を行う、答弁にもあるとおり「初期投資の必要をなくし、経営面での負担が軽減される」ということは、それ自体が同じ民間であってもそうした恩恵にあずかる法人とそうでない法人との格差を生むことになります。実際、措置費の中から地代や家賃を払って経営している、あるいは、高い土地を買い、建物を建て、その返済に保護者の涙ぐましい協力を得ながら返済している民間法人がある一方で、措置費をもらう上、土地をタダで貸してもらい建物も備品もすべてタダでもらうという「棚からぼたもち式」の民間法人もあるというのはいかにも不公平であります。建物の耐震化についても公立保育所は耐震改修促進法の改定もあり耐震診断、補強工事が行われて行くでしょうが、問題は民営化する保育所であります。私は耐震化を大いにすすめよという立場です。問題にしているのは不当な格差が生み出されることであります。三島保育所でも中条保育所でも耐震診断を実施するが補強については今後「移管先法人と話し合う」というもので方向性は定まっていません。もし、協議の結果、補強工事はすべて移管先法人で、ということになれば、診断はされても補強されるかの保障はないということになり、同じ公立保育所でも民営化予定保育所とそれ以外の保育所とで行政サービスにおいて格差が生み出されることになります。また、今でも耐震診断がされる所とされない所と、同じ民間でも民営化保育所と既存の私立保育園との間に格差が生み出されようとしているのに加えて、協議の結果、移管先法人に対して何がしかの補強工事に対する支援をしようということになれば、更なる既存私立保育園との格差が生ずることになります。
 このような、新たな格差を生み出すようなことはやめるべきですし、少なくとも耐震化の問題に関しては、耐震診断と補強計画が今、指摘した問題をクリアできるまで、公立であろうと私立であろうと耐震化対策が前進する、この方策を確立するまで、民営化の手続きについては凍結・延期すべきであります。民営化が原因でこうした格差が生み出されるわけですから当然であります。したがって譲与の手続きも延期すべきであります。

 以上、2点にわたり、本件無償譲渡は違法性、不当性が認められ、茨木市議会として容認できない、反対と議決すべきであることを訴え、討論とさせていただきます。


(以上)


(3)平成17年度大阪府茨木市一般会計決算認定について - 2006.09.28

認定第1号、平成17年度大阪府茨木市一般会計決算認定について、日本共産党茨木市会議員団を代表して、認定すべきでない、反対の立場から討論を行います。

 認定すべきでないという理由の第1は、財政運営において国の「税制改正」等による影響で税収が前年度に対して増収であるにもかかわらず、また大阪府の福祉4医療助成制度の改悪で市の財政的負担軽減がありながら、それが市民に還元されず、それどころか市の福祉制度においても更なる改悪が強行されたことであります。
 平成17年度の市税収入は、前年度よりも3億7,600万円増収となり、特に個人市民税は前年度に比べて3億7,800万円の増でありました。これは、答弁からも明らかなように、主な原因は、国の「税制改正」つまり、控除対象配偶者への上乗せ部分の廃止と生計同一の妻に対する非課税措置の段階的廃止といった増税の影響であります。一方、平成17年度の福祉4医療助成制度改悪による影響額は、前年度に比べて制度改悪により市の財政的負担が6,700万円の減額、同じく一部自己負担金導入により市民の負担増は1億2,000万円にも及ぶことが質疑で明らかになりました。
 こうした状況にもかかわらず、市は予算総枠5%削減と称して、平成17年度は在宅寝たきり老人等介護見舞金の対象者の削減、障害者福祉金の所得制限導入といった更なる「弱者切り捨て」を行ったのであります。
 また、歳出面においては、私たちの一貫した指摘もあり、17年度は校舎、園舎の整備、増築、耐震補強、便所改修など小中学校、幼稚園施設の改善、総持寺駅前エレベーターの設置、東雲運動広場に飲料水兼用耐震性貯水槽の設置、市長、助役の退職金の削減など一定の改善がなされています。しかし、充当一般財源市民一人当たりの額で、民生費の中では老人福祉費は北摂7市の中で最下位の第7位、また生活保護費では第5位と低迷しています。一方、土木費は、相変わらず第2位と高ランクを維持しています。その土木費の内訳を見ると、茨木市は道路橋梁費と街路費が共に第1位です。しかも、投資的経費の充当一般財源市民一人当たり額で、道路橋梁費、街路費ともに第2位の箕面市、高槻市をそれぞれ2倍以上の差で引き離して、文字通りダントツの1位であります。民生費、教育費、土木費のバランスの更なる改善と共に、公共事業においても道路建設偏重について改善すべきであります。民生、教育関係やバリアフリーの公共事業をもっと重視すべきことを指摘するものであります。

 認定すべきでないという理由の第2は、本市の行財政運営に多大な影響を与える彩都開発や安威川ダム建設の関連公共事業が見直しもされず、漫然と進められたことであります。
審議では、これまでの彩都関連公共事業の総事業費は72億円、その内地方債が31億円、一般財源については19億円であることが明らかにされました。安威川ダム関連公共事業では、これまでの総事業費は12億円、その内一般財源が4億8千万円ということが明らかになりました。また、国文会社においても第18期経営実績は9,700万円の赤字、資本剰余金もどんどん取り崩して現在、2億4,000万円になっています。こういう状況のもと、まともな感覚では、土地を阪急に処分し、会社は解散すべきなのに、「むしろ企画会社としてより積極的な役割をはたしてもらいたい」として、そういうことは一切考えてないという態度であります。また、彩都開発計画そのものも施設導入地区に阪急のマンション計画と、公共性は失われ、単なる民間の利益追求の住宅開発となっており税金投入の根拠はますます失われています。こうした大型開発は、市民参加で見直すべきであるにもかかわらず行政改革でも聖域とされ進められているのであります。そして、この間の相次ぐ暮らし、福祉の後退で、その削られた財源を平然と「全般的な施策に振り分けた」と答えている状況は、こうした大型開発が市民犠牲、弱者切り捨てのもとに進められていると指摘するものであります。

 認定すべきでないという理由の第3は、同和行政は、名実共に終結すべきなのに、同和特権、利権がそのまま温存されていることであります。
 人権センターと豊川地域協議会において、市は出資または出えんしておらず、地方自治法にいう公共的団体とは言いがたいにもかかわらず、そうした同和関連団体の事務・業務に職務専念義務の免除を行い市職員をその業務に従事させている実態が明らかとなりました。また、人権センターの市庁舎の独占的使用やいのち・愛・ゆめセンターでの地域協、支部事務所の独占的使用、また、いのち・愛・ゆめセンターいわゆる隣保館におけるNPO「はっちぽっち」への特別の使用許可の実態も明らかになりました。
 審議において公民館やコミセンなどの地域施設で、地域団体に1年単位で行政財産の目的外の許可を行っている例があるのか、また公民館やコミセンなどの地域施設で特定非営利法人や社会福祉法人の1ヵ月単位の使用許可はできるのかと尋ねると、いずれも「しておりません。できません」という答弁でした。こうしたことと対比すれば、いくら口で否定しようが「同和優遇」そのものであります。
 市営住宅においても「一般公募に踏み出します」といいながら実際は親子近居世帯のみと人権問題に十分理解のある方などという条件をつける。こんな不当な条件を付けることなく真の「一般公募」に踏み出すべきであります。
 共同浴場については、従来から行政から切り離し、あとは地域において自主的にやってもらうことを求めていましたが、沢良宜共同浴場については廃止どころか、9,300万円もかけて新たな同和の地域施設として改修する、総持寺の共同浴場においても、もはや地元の管理人はいない、誰もやる人がいない、シルバー人材センターから来てもらって維持管理をしているという状況であります。抜本的な見直しの機会であったにもかかわらず、これも運動団体言いなりの対応を続ける、行政の主体性はまったく見られません。
 さらに、平成17年度は、まったく実施する必要性のない「人権問題に関する市民意識調査」に273万円も支出し、「人権侵害(部落差別等)事象への人権救済・啓発対応マニュアル」が発動され、市職員、PTAの場でも市民が一方的に「差別者」と断罪され、犠牲になる事件を引き起こしたのであります。
 こんなことはやればやるほど同和問題解決の妨げになる、特に同和特別法の廃止以降は、その違法性、不当性は明らかであります。同和の問題もオープンに市民的議論ができるようになり、もし差別や偏見を持っている人がいるならば、その言動は誰からも批判され、そうした相互交流によって正される、是正される、これが同和問題の真の解決であります。「同和特権」「同和優遇」こそ差別解消の妨げであると厳しく指摘するものであります。

 認定すべきでないという理由の第4は、相次ぐ不祥事件に対しても無策、公立保育所の民営化を巡っても市民不在、その秘密行政ぶりはきわだっていたことであります。
 この間、市職員の無免許公用車運転事件や道祖本共同浴場の燃料重油流出事故など過失や不祥事が連続して起こりました。こうしたことが起こるたびに「自助努力で市民の信頼を回復します」と言うわけですが、今回、またしても市職員による飲酒運転、罰金滞納事件であります。前回の教訓は生かされなかったのであります。再発防止のため第三者による監視員制度も提案しましたが「その必要はない」と拒否しています。再発防止に意欲なしといわざるを得ません。任期中2年目、折り返し点を過ぎた野村市政は不祥事続きであると厳しく指摘するものであります。
 また、平成17年度は「公立保育所のあり方に関する懇談会」が設置され、公立保育所民営化の準備が進められましたが、その進め方、対応も、「あり方懇」の全会一致で採択された意見書の「附帯意見」、「一部民営化の時期、内容については、今後、充分な時間をかけ、様々な関係者(各専門家の経験者、現場の保育士、保護者等)の意見を検討し、慎重に進めて頂きたい」との意見を無視し、パブリックコメントも行わず、さらに庁内組織で決定された民営化方針案も情報公開請求に対して非公開決定としたのであります。こうした不誠実な対応を続けた挙句、茨木市は突如、この民営化方針を市長決定、プレス発表したのであります。しかも同時にプレス発表した「民営化による経費節減額資料」は、児童福祉課職員16名を公立保育所経費に算入するなど、公立と私立との差を大きく見せようとする「粉飾」と言わざるを得ないような資料でした。ところが、答弁では「手続き的な問題があったというふうには考えておりません」とまったく反省の色なしです。また、粉飾といわざるを得ない「経費節減資料」の問題も「結果的に、この事実が朝日新聞に掲載された」と述べるのみで自ら反省するという態度とは程遠いものでした。こうしたやり方は、市民不在、秘密行政ときびしく指摘するものであります。

 以上、大きく4点にわたり、認定すべきでない、反対の理由を述べました。議員各位のご賛同をお願いいたしまして、討論といたします。