[朝田 充] 12月定例市議会 一般会計補正予算質疑と議案質疑

◎同和行政の「全般的見直し」について(06.12.08)

◎茨木市職員旅費条例の一部改正について(06.12.19)  工事中


<1問目>
同和行政の「全般的見直し」についてお尋ねいたします。

1、「見直し」の基本的な考え方について
 まず大きな1点目として、この間行っている同和行政の「見直し」について、その基本的な考え方についてお尋ねします。日本共産党議員団はこれまでも、一貫して「同和行政の終結」を主張してきました。その意味するところは一般施策の中に「同和特別扱い」を残すという見せかけの「見直し」ではなく、名実ともの「終結」、即ちすべての「同和優遇」をなくすことであります。それこそが「同和問題の早期解決を目指す取り組み」であります。この間、大阪市の飛鳥会や芦原病院の事件もあって、大阪市の同和行政見直しの動き等々、地対財特法失効後の同和行政のあり方が問われています。茨木市においても9月議会において「事業の見直しについて、市民から信頼され、理解される事業の展開を図ることを基本に協議をすすめていく」と答弁していますが、「信頼され、理解される事業の見直し」とは具体的にはどういうことなのか。その基本的な考え方と、現時点で結論が出たものについて明らかにするよう、答弁を求めます。

2、いのち・愛・ゆめセンターと3青少年センターの廃止について
 次に、大きな2点目として、今回の見直しにかかわって、施設面に絞ってお尋ねいたします。第一に、旧解放会館すなわち、いのち・愛・ゆめセンターについては、9月議会の部長の答弁では「いのち・愛・ゆめセンターは、社会福祉法に規定されている隣保館であるので、継続しているのは何ら違法ではない」というものでした。隣保館とは、貧困・教育・差別・環境問題などにより世間一般と比較して劣悪な状態を抱えているとされるスラム街、貧民街などにおいて、その対策を講ずる事のできる専門知識−教育学や法律に関する知識・社会福祉援助技術など−を持つものが常駐し、地域住民に対して適切な援助を行う社会福祉施設であります。現在現状の茨木市の3カ所のいわゆる同和地域において、このような目的の隣保館を存在させている必要性も必然性もありません。少なくとも平成14年の地対財特法失効時に廃止されなければならないものがいまだに設置されていることが違法・不当であります。茨木市は3カ所の同和地域を現状でもスラム街や貧民街と見なしているのか、見解を求めます。第二に、施設がいまだに存在し、地域のコミュニティセンターや公民館と相違した基準で使用許可を行っていること自体も「同和優遇」であります。9月の答弁では、「施設の統合を検討する」「同和関係団体の使用料を有料化を検討する」との答弁ですが、同和地域に隣保館としての施設は一切廃止するとともに、同和関係団体の施設の目的外使用及び公の施設使用料優遇廃止をただちに行うべきです。あわせて見解を求めます。第三に、総持寺、沢良宜、豊川の3青少年センターについては、上中条青少年センターとは全く性格を異にし、先ほどの「隣保館」の青少年版で、同和地域にのみ存続させる理由は全くありません。それ自体「同和優遇」であります。同様に見解を求めます。 結論として、いわゆる同和地域のいのち・愛・ゆめセンター、3青少年センターは、同和施設としては廃止するのが現時点における「市民に信頼され、理解される」見直しだと考えますが、かさねて答弁を求めます。

3、人権センターの法人化による指定管理者導入と業務委託について
 次に、大きな3点目として、旧市同促である茨木市人権センターに関連して、お尋ねいたします。この間の議論では、仮にいのち・愛・ゆめセンター、青少年センターを統合しても、−それも先ほどの答弁では雲行きが怪しくなっていますが−残る施設については「人権センターを法人化させて指定管理者にする。事業もすべて委託する」という流れが感じられます。今、人権センターの法人化ということが議論、協議されているわけですが、これは同和事業を人権センターに丸投げして、人権事業と銘打って、存続させる仕掛けであることは明らかです。 同和施設の人権センターへの指定管理者導入と同和事業の人権センターへの委託化は、その実態を議会のチェックもなかなか届かない闇の中に押し込めてしまう、ブラックボックス化であり、最悪の同和行政の永続化であります。絶対にやるべきではないと強く主張しますが、見解を求めます。

○福田人権部長
 市の基本的な同和行政の考え方であるが、実施事業については市民から不公平感をもたれないよう透明性を確保し、公平公正な市政を担保する観点から見直しを行っている、また、現時点で結論の出ているものは、旧・三島幼稚園の跡地を市民農園として整備すること、市営住宅駐車場使用については有料化とし、この議会に市営住宅条例の一部を改正する提案をおこなっている。

 次に、現在のいのち・愛・ゆめセンターは社会福祉法の第二種社会福祉事業の内の「隣保事業」を行う国が認めた「隣保館」である。平成11年4月に従来の解放会館から「いのち・愛・ゆめセンター」に名称変更し、事業対象を地区内から地区外を含めた周辺地域に拡大し、地域交流の拠点施設となるよう図ってきた。また、平成14年8月の厚生労働事務次官通知には地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティセンターとして生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行う施設である。今後とも「いのち・愛・ゆめセンター」は、必要な施設であると考えている。

 次に、本市域内において現状でもスラム街や貧民街とみなしているのかとの質問であるが、本市の状況をそのような認識でおられる事に、本当に驚愕している。質問のような認識は、行政として持っていない。

 次に、地域のコミュニティセンターや公民館と相違した基準で使用許可等を行っているついては、「いのち・愛・ゆめセンター」は、地域の人権啓発や市民福祉推進の拠点であり、コミュニティセンターや公民館とは、設置目的が異なり、それぞれの設置目的にそって使用許可を行っているものである。センター使用については、茨木市いのち・愛・ゆめセンター条例、同施行規則や茨木市財務規則、同施行規則などの規定に沿った管理運営を行っている。なお、目的外使用については、センター条例の設置目的に合致し、加えて本市の人権問題の解決及び福祉の向上に寄与していることから許可を与えているものである。

 廃止するということに関して、再度答弁をということであるのでお答えする。「いのち・愛・ゆめセンター」は、法失効後、地域に開かれたコミュニティセンターとして地域の福祉の向上や人権意識の高揚の役割に寄与していることから廃止する考えはありません。

 また、人権センターのことであるが、人権センターは、基本的人権を尊重する精神に基づき、あらゆる差別をなくし、市民の人権意識の普及・高揚を図り、もって豊かで住みよいまちをめざすことを目的に、市内の各種団体、市民等が参画して平成14年4月に設立された。現在は、市からの委託事業をはじめ、人権講演会や人権活動助成事業を実施するほか、社会的信用を得るためのセンター法人化についても検討されているところである。各「いのち・愛・ゆめセンター」及び各「青少年センター」が行っている講習講座・啓発・相談業務等をより効果的に行うため人権センターへ委託することも選択肢のひとつであると考えている。また、人権センターを指定管理者として検討することについては、現在のところ考えていない。

○竹林生涯学習部長
 3青少年センターの廃止ということであるが、平成12年に茨木市立青少年センター条例を改正し、3青少年会館を青少年センターと改め、上中条青少年センターと同列に位置づけて事業展開をしている。現在、青少年センターの設置目的である青少年及び青少年団体の健全な育成、及び人権文化の高揚を図るため事業を実施しており、廃止する考えは持っていない。




<朝田・2問目>
 2問目行きたいと思います。いのち・愛・ゆめセンターについてなんですけども、これに係わって同和地域の現状についてお尋ねいたしました。スラム街や貧民街とみなしているのかという質問に対して行政としてはそういうふうにみなしていないというご答弁ですけども、だったらやっぱり法的には、同和の特別法失効後も隣保事業として展開しているというのはやっぱり無理があるのではないかと私は思います。隣保事業が社会福祉法に規定されているということと、当該地域がそれに適合するのかというのとは、まったく次元の違う話であって、結局、今の答弁は9月議会と同じような答弁を繰り返したわけですが私は部長の答弁は、いままでの流れ、そして、法的な見解、検討でいえば、しんどい話だということを指摘しておきたいと思います。
 ちょっと前後しますけれども、人権センターの法人化とか、それによる委託化や指定管理者の導入についてお聞きをしました。委託化については選択肢のひとつであるということで、私は認められたと理解しました。指定管理者については現在は考えていないというご答弁だったと思うんですけれどもしかし、2003年に出された国の経済財政運営と構造改革に関する基本方針に隣保館関係の補助金が国庫補助負担から廃止の対象になっています。ということで指定管理者の導入という流れが生まれてきています。これにのっかる流れが出てくるというのを私は非常に危惧するものですけれども、国とのからみともあわせて見解があればご答弁をお願いします。
 それから見直しの中身について具体的に聞いていきますけども、同和事業への随意契約による障害者生活支援事業、ステップ21の事業だとか、地域主体健康づくり支援事業、同和地域診療所のことですね、それから地域就労事業、人権センターでやってるやつですけども、それから要支援生徒進路選択支援事業、青年人権啓発事業、女性人権啓発事業、こういった同和関係団体への随意契約によるこういった事業委託は今回の見直しの対象になっているのかどうか、これを答えていただきたい。それから同和保育所の職員加配の廃止ですね、まだ協議中というご答弁だったと思うんですけども、もし廃止を実施した場合、配置転換先の保育所の臨時職員の雇用に影響を来たすのかどうか、これを答弁求めておきたいと思います。さらに同和関係の各種集会、講座等への職員派遣も見直しの対象になっているのかどうかも最後に答弁を求めておきたいと思います。2問目以上です。

○福田人権部長
 いろんな事業について、今回すべて見直しということは、あらゆる事業であるので、そうご理解を…。国の「隣保館」のあるべき姿というのは、今現在、把握していないので、その動きについては注視していきたい。

○津田総務部長
 職員配置の問題であるが、現在、加配している保育士の配置も含めて、職員の配置については全保育所16園のなかでの臨時職員、正規職員の配置という形となるので、そのなかでの本人事の配置ということで考えていく。



<朝田・3問目>
 答弁は、まったく納得のいかないものなんですけども、最後に見直しも協議中、協議中ばかりなんですけども、見直しもいわゆる運動団体、解放同盟の了解が得なければ、見直しすらできないのかどうか、その辺の基本姿勢を最後にお答え下さい。
 それに保育士については臨時職員の雇用に影響をきたすならば、断固、これは許せないということを表明しておきたいと思います。以上です。


○福田人権部長
 時限立法であった特措法が4年前に失効したということで、国の財政の裏づけがないということで、そんななかで各所、各部で一般施策を活用しながら同和行政を推進してきた。一方、今年になって差別解消という崇高な理念を持っておられる団体で、それとはかけ離れた様々な事件、問題が各地でおこっている。そういった中で本市の同和行政について、事業推進にあたって、今一度、事業を見直すということの機会ととらえて市民への透明性、公平性を確保する、また市民の目線であらゆる部署において問題はないか、できていないところはないかなどを調べ、改善するということで、12項目において今、団体と協議しているということである。なお、同和行政は差別がある限り続けて行くという基本方針に変わりはない。円滑な同和行政推進のうえで阻害要因となることがないようそれを見極め、あればその阻害要因を取り除いてこそ、事業推進に求められる重要なことだと考えている。解放同盟といわれたが、その団体と協議を進めて行くことは当然のことだと考えている。

<朝田・議事進行>

 議長、私が尋ねたのは、見直しも解同の了承がなければできないのかどうか、と聞いたんです。簡単な質問なんです。それ答えさせてください。


○南助役
 今回の施策の見直しについては、従来からその施策を利用している方がいる。やはり激変緩和ということもあるが、市としての市長としての考え方から協議をしているということであるから、了解があるとかないとかじゃなしに、いわゆる当事者との協議を円滑に進めて行くというのがその基本姿勢である。