[阿字地洋子] 3月定例市議会

国民健康保険会計補正予算質疑(07.03.09)

    1、保険給付費の見込み違いについて
    2、一般被保険者数の見込み違いについて
    3、料金軽減のための一般会計繰入金について
    4、滞納世帯に対する制裁措置について

平成19年度一般会計予算質疑(07.03.14)

    1、住民検診の充実について
    2、障害者福祉施策について
    3、障害児施策の充実について

公立保育所(水尾・玉櫛保育所)廃止・民営化条例〜反対討論(07.03.27)




公立保育所廃止・民営化についての日本共産党市会議員団の反対討論

 議案第15号茨木市立保育所条例の一部改正即ち水尾・玉櫛保育所の廃止・民営化について、日本共産党市会議員団を代表して反対の立場から討論を行います。

 水尾・玉櫛保育所の廃止・民営化に反対する第一の理由は、茨木市がこれまで言ってきた公立保育所を廃止・民営化をすすめる目的について、その根拠が全くないと言うことが昨年にひきつづき今議会の審議でもあらためて明らかになったからであります。茨木市は公立保育所廃止・民営化の一番の目的について、「公立保育所運営費の市負担額を解消するため」と一貫して説明し、具体的には「8カ所の公立保育所を民営化すると年間7億円の市負担額が減少する」と説明してきました。これに対し、党市会議員団はその積算根拠の数々の「粉飾」を明らかにし、「実際に減るのは約2億円程度」と指摘してきました。一方、公立保育所8カ所民営化により新たに増額になる経費について市の説明は「私立保育園への市負担額は8カ所民営化により年間1億1千万円の増額となる」ということでした。これについても土地の無償貸し付けと建物等の無償譲渡も含めて計算すると年間約2億4千万円の増になり、この金額から公立保育所市負担額の約2億円の減を差し引くと保育所全体の市負担額は減るどころか約4千万円増えることを指摘してきました。ところが、今回、平成19年度予算で民営化一年目の中条・三島保育所にかかる節減効果についてさらに3千万円も大きく見積もっていたことが明らかになりました。また2年目に当たる水尾・玉櫛保育所廃止による人件費節減額は約5千万円も過大に見積もっていることになることを指摘するものです。一方で市負担増については過小に見せるため、公立保育所を民営化することで、市単独補助以外に増えることになる民間保育園に対する支弁費の内、市の運営負担金やや国徴収基準と市保育料の差額による市の負担部分が増えることは全く算入されていません。このような「恣意的」な「架空」の「粉飾」だらけの節減額を示すのは直ちにあらためるべきです。

 反対する第二の理由は市の民営化の進め方が20年に一回という大問題であり、また「あり方懇」の意見書全会一致の「一部民営化については時間を掛けて慎重に」という付帯決議があるにもかかわらず、それを踏みにじる暴挙を重ねているからであります。特に問題なのは、「一部民営化については時間を掛けて慎重に」という付帯決議を無視し、パブリックコメント制度そのものをじゅうりんし、その後も保護者や市民の意見を十分聞こうとはせず、しゃにむに民営化を進めようとしていることです。民営化計画を一時凍結し、せめて「現在、私たち保護者は、茨木市の保育行政や子ども施策について、具体的なビジョンや説明が十分でないまま民営化が進んでいくことに、大きな不安を抱いています」との声に市は応えるべきです。いま公立は公立で存続させ、公私ともに多様な保育ニーズに答える施策を進めるべきです。「在宅」と「保育所」の子ども同士を対立させるやり方も、「全く道理がない」とあらためて指摘するものです。

 反対する第三の理由は公立保育所を民営化しても、保育水準は低下しないという市の説明に根拠がないということがあらためて明らかになったからであります。野村市長が民営化の理由について率直に語っていますが、「公立保育所の民営化」とは、その費用の大半を占める人件費を削減することです。つまり日々の保育を担う保育士や調理員等の人件費を削ること、これが民営化の目的で、究極的には正規職員を臨時職員、パートアルバイト等、非正規職員に切り替える事です。実際に公立保育所の運営は、臨時・パート保育士によって支えられているのが現状です。公立保育所で働く保育士は基本的には公務員で、給与も雇用も安定的・継続的に保障されています。しかし私立保育園はそうではありません。私立では、勤続年数が比較的短く、給与も公務員に比較して低位です。ここに公立と私立の保育士の人件費に大きな差が生まれているわけです。しかしこのように「保育士の人件費を切り下げても、果たして保育条件や保育内容に悪影響は出ないのか」この素朴な疑問に茨木市はいまだに答えていません。ご存じのように茨木市では公立・私立が協調し、また競い合いながら保育の質を高める努力を今日まで行ってきました。しかし茨木市の保育行政をリードしてきたのは間違いなく公立です。これに公私間格差の是正と言うことで、私立をレベルアップさせてきたのが茨木市の保育行政の歴史です。しかし廃止・民営化をすすめれば、将来の茨木市では公・私の比率は5対31となります。その時は主として私立保育園間の競争です。そうなれば激しいコスト競争がおこり、ますます人件費の削減が進みます。そうなれば必ず茨木の保育行政全体は後退する方向に動くと改めて指摘するものです。また具体の問題でも、公私間の格差は依然として存在します。例えば給食材料費や給食の方法についてです。新年度民営化に当たって、私立保育園への補助を増額しましたが、給食材料費一食あたり25円にすぎず、公立と私立の格差を埋めるにはほど遠いものです。また民営化は保育所施設の耐震補強工事等でも公私の新たな格差を作ることとなります。南助役は「法人と協議の上で、最終的にはそういう補助金対応の手段もあるだろう」と答弁していますが、問題は民営化施設を引き継いだ財政基盤の脆弱な社会福祉法人が耐震補強工事等を実施する可能性は極めて低いと思われる事です。ここでも新たな公私間格差が生ずる可能性があります。さらに私立保育園が大阪府に提出している「保育所調書」には、その運営実態について詳細な記述があります。これを見ると市の言っているように、公私立とも「施設最低基準」を満たしているので、基本的に公私間格差がないという説明は根拠がないことが歴然としています。

 最後に公立保育所の「民営化」とは「保育はすべて民間にまかせ、なるべく規制をなくして、自由な競争にゆだねる、そしてその経費は国や市の負担は減らし保護者に負担させる」という事です。まさしく「官から民へ」「規制緩和」「小さな政府」を進める小泉構造改革の子ども版です。

保育所の建物を無償譲渡し、民間引き受け先法人の基本財産となって、倒産した場合、市民の貴重な財産はどうなるのかと問えば、「研究する」という答弁の無責任さです。

民営化は臨時職員の雇い止めという極めてむごい犠牲の上に進められることについても、「昨年12月云々、、本年2月末には臨時保育士に対して、措置児童数から見て希望者全員を雇用することは難しい旨の通知を再度行っております。この様な経過から雇い止めにかかる法的な問題は生じない」との雇い止めになる本人にとっては任期末直前まで分からないという本当にひどい冷たい答弁です。

保護者の選択権の侵害、転所希望さえ認めない。また民営化によって子どもに悪影響を及ぼす危険性をあえて犯すほどの財政的逼迫性もありません。民営化を正当化できる合理的理由は全く見当たりません。

こうした冷たい市政では子どもも大人も安心して暮らせる街・茨木市を創造していくことは「非常に難しい」と指摘するものです。

以上3点、公立保育所の廃止民営化、本議案では水尾・玉櫛保育所の廃止・民営化について断固反対する立場からの討論といたします。議員各位の賛同をよろしくお願い申し上げます。