[阿字地洋子] 6月定例市議会 一般質問

◎業務委託に係わる契約事務について

 @資源化物選別処理業務について
 A普通ごみ・粗大ごみ収集業務委託
 B障害者相談支援事業について

◎業務委託契約の現状と改善について

 @業務委託契約における特命随意契約の現状とその理由について
 A業務委託契約における改善について
   ・公共工事・委託業務にかかる労働者賃金実態の掌握について
   ・最低制限価格の設定について
   ・低入札価格調査制度について
   ・総合評価方式について
   ・業務委託ではたらく労働者の雇用継続の指導について


市政全般ついて一般質問を行います。

大きな質問項目として、第一に業務委託に係わる契約事務について3点おたずねいたします。

一つめとして、かん、ビン、ペットボトルなど資源化物選別処理業務委託の契約事務についておたずねいたします。党市会議員団は昨年来この契約事務について、長年にわたって特定の法人と一者特命による随意契約で行われてきたこと、契約価格も予定価格も法人のいいなりの価格で市場性を有しない事などを指摘し、予定価格を自主的に決定し、公募型の指名競争入札制度の導入などその改善を求めてきました。また一般市民からも同様の趣旨の住民監査請求が提出されました。そこで2007年度は当該の契約事務の方法について、どのように改善され、契約の相手方、またその契約価格は資源化売却価格も含めて予定価格の関係からみて、どのような金額になったのかおたずねいたします。また選別と処理の予定量からして、2006年度の実績と比べて金額的に経費の削減、歳入の増加につながる予定なのかもおたずねいたします。いずれにしても4者による見積もりあわせの導入で、相当な価格の変動があったと聞いています。その理由についてもおたずねいたします。またあわせてこれまでの一者特命の随意契約を継続してきたことにどのような反省の見解を持っているのかおたずねいたします。しかし現在の改善方法で十分ではありません。せめて大阪市並により透明性と競争性を高めるため公募型指名競争入札を行うこと、容器リサイクル法の保管施設の指定手続きからも改善の必要があると考えますが見解を求めます。また事業執行の安定性や継続性の観点から最低制限価格の設定が必要と考えますが見解を求めます。

(赤土産業環境部長答弁)

[資源化物選別処理委託業務について]

 資源物の収集方法が、混合収集から品目別収集に変更されることに伴い、選別処理及び売却について、1社との随意契約から、業者選考会議を経た5社による見積もり合わせを行い、本市に一番有利な業者との契約をおこなったものである。金額については、びん選別処理の予定価格が1トン当たり16,800円で契約金額は1トン6,825円、売却価格は缶の予定価格が1トン4,760円で契約金が34,500円、ペットボトルの予定価格が1トン当たり8,100円で契約金額が35,700円となっている。

 平成18年度の実績と比べて経費の削減、歳入増加については、18年度の選別処理委託が実績で3,634万円であり、19年度に予定している選別委託金では1,160万円であるので、2,474万円の削減となっている。また18年度の売却の実績については、533万円、19年度は、2,078万円と予測しており、1,545万円の増加を見込んでいる。

 見積価格については、相当の価格差がでており、これは、分別されていることと資源物の市場価格の高騰などが反映したものと考えている。

 また、今までの契約方法についての見解ということであるが、18年度までは、混合収集を行っており、その処理能力の観点から随意契約としたものである。

 競争入札を行ってはどうかということであるが、地方自治法208条第1項の規定により、事前準備行為として、「見積り」聴取を行い、随意契約としている。

 「見積り」の聴取に当たっては、透明性、競争性を阻害されることのないよう、入札と同様に、一堂に参集し、その中で投函し、結果を公表しており、十分に、透明性、競争性は担保されているものと考えている。

 また、最低制限価格の設定については、今後の課題と考えている。

 

二つめとして普通ゴミ及び粗大ゴミ収集の業務委託に係わる契約事務についておたずねいたします。党市会議員団はこの契約事務でも長年にわたって予定価格と端数もふくめて全くの同一価格で契約が行われ、契約の3者のみの特命随意契約が行われてきたことを指摘しその改善を求めました。そこで2007年度は2006年度と比較して、一部内容を変更したと聞いています。方法の変更内容により契約価格と予定価格との関係で金額的にどのようになったのかおたずねいたします。また2006年度の実績と比べて金額的にどのような経費の削減につながる予定なのかもおたずねいたします。しかし本契約事務の変更で結果的にはほとんど状況は変わっていません。3者のみによる見積もり参加、3者の委託収集予定量の比率はそのままです。見積もりあわせ指名のための委託業者38者の選考の条件設定にしても、選考の過程も不透明です。経過を明らかにするよう求めます。この契約でも透明性と競争性を高めるため公募型指名競争入札を行うこと、また事業執行の安定性や継続性の観点から最低制限価格の設定が必要と考えますが見解を求めます。

(赤土産業環境部長答弁)

「普通ごみ及び粗大ごみ収集業務委託について」

 平成19年度の普通ごみ及び粗大ごみの収集業務委託については、18年度までは、単価契約としていたが、19年度からは収集担当区域をブロックごとに区分し、そのブロックごとに全体の収集費用総額で契約しており、それぞれ予定価格以下の金額であった。普通ごみは昨年の単価より約27円、粗大ごみは昨年の金額より約9円低い金額で契約した。平成18年度と比べて、委託料総額としては普通ごみで約2,785万円、粗大ごみで約1,165万円の削減となる。

 ごみの収集業務は毎日の市民の生活に直結しており、市民生活に支障が生じないように確実に実施できることを最優先に考える必要があり、委託業者選考にあたっては、必要な機材と人員を有し、豊富な経験と実績を持ち、市内に営業所などがあり、緊急時の対応が可能であることを基準に、4月1日から支障なく収集業務が可能な業者を選考したところである。

 入札の導入については、資源化物選別処理業務委託についての答弁のとおりである。最低制限価格の設定についても、同様である。

 

三つめとして、障害者の相談支援業務委託の契約事務についておたずねいたします。

2007年度からこの業務の範囲が広がり従来の身体障害者、精神障害者に加えて知的障害者も項目として加わりました。この契約事務についても党市会議員団は1者特命による随意契約の改善を求めてきました。ところが2007年度も従来の身体障害者、精神障害者については1者特命による随意契約の方法は改善されていません。その理由について、「身体障害者、精神障害者の相談を専門に実施希望の法人は契約法人のみ」ということですが、実施希望の公募について、どのような方法でいつ頃実施したのかおたずねいたします。また委託条件にかなう法人は存在しないのかおたずねいたします。しかし新たな知的障害者については3者の見積もりによる随意契約となっています。問題は契約した法人との契約価格です。身体障害者、精神障害者の場合は予定価格に符合していますが、知的障害者の場合は予定価格の1075万円に対して、見積もり提出価格は350万円と約33%で契約価格となっています。もともと18年度の2者の相談事業実績報告書からみても本事業は赤字の事業です。こうした価格での円滑かつ適正な実施は常識的には考えられません。市の見解を求めます。この契約でも透明性と競争性を高めるため公募型指名競争入札を行うこと、また事業執行の安定性や継続性の観点から最低制限価格の設定が必要と考えますが見解を求めます。

(谷口健康福祉部長)

 障害者自立支援法に基づく相談支援事業については、市町村と都道府県に実施主体が分散していた状況を改め、昨年10月から、障害種別にかかわらず、市町村に一元化して実施することとなった。

 本市においては、すでに以前から実施していた身体障害者への相談支援事業や、これまで大阪府が実施主体であった精神障害者への相談支援事業について、昨年10月以降は本市が引き続き実施しており、この4月から新たに知的障害者への相談支援事業をスタートさせたところである。

 これらの相談支援事業のうち、身体障害及び精神障害の委託契約については、それぞれ一事業者からの実施希望があり、それぞれの事業者がこれまで本市における障害者の生活支援事業に関わってきた実績等を勘案し、今年度も引き続き相談支援事業者として委託することとしたものである。

 知的障害者の相談支援事業については、新年度予算にかかる事前準備として、随意契約により申し込みのあった3事業者への仕様説明に基づく見積もり合わせの結果、一般競争入札と同様に最低価格での落札者との契約締結を行ったものであり、適正な事務執行に基づく公正な契約であると考えている。金額は、低い額で落札したが、仕様書通りに適正に行われるものであると考えており、受託事業者との緊密な連携を図りながら、事業の円滑な実施に努めていく。

 なお、ご指摘の公募型指名競争入札や最低制限価格の設定については、関係課とも調整し、研究していく。

 

大きな2点目として、業務委託の契約についての現状と改善について、おたずねいたします。

この問題についても市政の基本的な問題の一つとして、一貫して改善を求めてきました。しかし若干の個々の契約における改善はみられるものの基本的には変化はありません。あらためて国や地方団体の契約事務に係わる不正や不肖事件が続発する現状から見て、現状と改善についての見解を市長より答弁を求めます。

一つめは委託業務における特命随意契約の現状です。2007年度実施または予定の特命随意契約の事業名と金額、その理由について、明らかにするよう求めます。

二つめは建設工事や委託事業も含めて改善の具体的項目の一つめは自治体が賃金労働条件の実態を把握して、業者に改善を指導する問題です。2000年に「公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札及び契約適正化法)が制定され、国会では「国は地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者の受注機会を確保するよう配慮するとともに事業に従事する労働者に適切な賃金・労働条件の確保が行われるよう努めること」と付帯決議があげられました。こうした事を根拠にして、自治体は受注者に対して、労働者に契約時の積算単価にもとづく適正な賃金を確保するよう文書で指導することができます。大阪でも受注業者と契約を結ぶ際に事業に従事する労働者に対して、「二省協定単価に留意した賃金を支払う」よう文書で指導している自治体が11あります。賃金実態の把握についても、「一部把握している」という自治体が15あります。茨木市の見解を求めます。

具体的改善項目の二つめは委託業務の最低制限価格の設定です。過度の競争やそれによる労働者条件への影響からみて必要です。すでに堺市や豊中市では「ダンピングの防止」を目的に庁舎の清掃や警備業務について実施しています。少なくとも9自治体で実施されている低入札価格調査制度の実施を茨木市でも実施すべきです。見解を求めます。具体的改善項目の三つめは総合評価方式の採用です。大阪府が庁舎の清掃について、「価格」の評価点数100点満点中50点にとどめる一方「障害者の雇用についての方針」を評価項目に取り入れ、障害者の雇用促進を図っています。豊中市では庁舎の清掃と警備に「総合評価型入札」を導入し、「既雇用者に対する継続雇用」「雇用予定者に対する雇用条件(賃金・手当・休暇)」を評価項目に加え継続雇用や賃金・労働条件の向上に努める企業を有利に評価するシステムを設けています。また新規雇用者の内、半数を地元雇用にする」を評価基準にしているところもあります。とくに委託業務において、予定価格の大半を労務費が占める特質から見ても、価格の競争性と透明性を確保しながら、安定した雇用の確保を両立させるために、本制度の採用が不可欠です。茨木市の見解を求めます。茨木市では本庁舎管理の委託業者が変わったと聞いています。そこで働く労働者の雇用や労働条件にどのような影響があつたのかも併せておたずねいたします。

(野村市長)
 業務委託契約の現状と改善ということであるが、契約の基本原則は公正・公平かつ合理的機会の均等である。地方自治法第203条の規定に基づき適正な事務執行に努めているところである。なお、ご指摘のような契約事務に係わる不正などについては生じないように今後とも十分注意をしていきたいと考えている。

(松本企画財政部長)

○2007年度実施または予定の特命随意契約の事業と金額、その理由

 特命随意契約している理由としは、

  @他に取り扱い業者がない場合:自動交付機保守業務など

  A価格面等において有利な条件で契約できる見込みがある場合:設備の設置の関係によります各施設の機会警備業務など

  B政策目的の場合:小中学校の施錠業務や駅前広場等の清掃業務など

である。

 なお、業務委託については、それぞれ各課で事務執行していることから、2007年度実施または予定の特命随意契約の金額等については把握していない。

○建設工事・業務委託に係わる賃金労働条件の把握と業者の指導

 労働者の賃金労働条件については、労働基準法等が定める法定労働条件に反しない限り、受託業者の自主的な取り組みに委ねられるべきものとなっていることから、実態等の把握は行っていない。 しかし、適正な労働条件確保の重要性は、十分認識しており、労働者の労働条件等の確保を図るため、建設工事については、請負業者に対し、文書による指導を行っているところである。

○最低制限価格の設定

 平成14年に地方自治体法施行令が一部改正され、最低制限価格を設けることができる範囲を清掃等業務やソフトウエアの構築業務等「その他についての請負業務」にも設けることができるよう範囲が拡大された。

 本市としても、「請負の契約」に該当する業務委託については、最低制限価格を設定する意義は十分理解しているが、実施にあたっては積算の根拠等、庁内的に統一したルール作りが必要であることや、財源の効率的運用という側面のあることから、各市の実施状況やその内容を調査したうえで研究していきたい。

○低入札価格調査制度

 本市では、極端に低い価格での入札があった場合、一旦「保留」とし、当該業者から積算価格内訳書等の提出を求めるとともに、関係法令の遵守や本市が示した仕様内容を確実に履行する旨の誓約書の提出を求め、適正に履行されると判断した時点において、契約締結していることから、現時点では、低入札価格調査制度を導入する考えはもっていない。

○総合評価方式

 平成11年の地方自治法施行令の改正に伴い、「価格」と「その他の要素」を総合的に評価し、落札者を決定する総合評価方式が可能となっている。

 本市においても、18年度に庁内検討委員会を設置し、現在、大阪府や他市の状況等を調査、研究しているところである。

 なお、庁舎管理の受託業者の変更に伴う労働者の雇用や労働条件の影響については、労働基準法等が定める法定労働条件に反しない限り、受託業者の自主的な取り組みに委ねられるべきであることから、把握はしていない。

 

(2問目)2007年度についてビン選別業務の委託料とペットボトル、缶の売却価格についての契約価格と予定価格の差が大きすぎるが、その理由を改めてお尋ねします。予定価格に問題があると考えるが、予定価格が妥当なものであるとの根拠を示されたい。この件の住民監査請求の監査委員の結果通知の付記で「業者選定から契約事務までの事務において業者選定で特命随意契約としたことについて、妥当性に欠けるものであったこと、また見積書と予定価格調書で日付の齟齬があった等、その手続きに不適切な事例が見受けられたので、契約事務にあたっては適切に対応されるよう要望する」と意見がつけられているが、どのように受け止めているのか。

(2問目)見積もり合わせの指名選考の条件設定を現行の様に、「市内全ごみの集積施設及び経路を熟知し、4月1日から支障なく業務が完璧に遂行できること」とし、現行契約制度のように新年度直前の見積もり合わせによる随意契約を継続する以上、3者だけの見積もり合わせで競争にもならない。競争原理を一定導入するよう、工夫すべきでありますが、見解を求めます。

(2問目)知的障害者の相談支援事業の契約価格が350万円となっているが、この金額で「地域における相談支援の実施について」の通知内容の職員配置等の常勤(専従)職員1名の配置が可能なのかどうか、見解を求める。

(2問目)委託契約のあり方を現状の随意契約制度から競争入札制度に根本的に転換することが急務であります。

第1の理由である「年度開始前の入札執行は法律上出来ない」と言うが、他市では「契約の締結は新年度予算が発行した時とする」という、条件をつけて入札を行っている例が多数あり、法解釈上も「違法ではない」との解釈が多数になりつつある。

第2の理由の「見積もり合わの手続きを指名競争入札と同様に実施し、競争性は確保できている」と言うが、随意契約の場合、見積もり指名の事業者が事前に明白で、談合の温床になるのは明らかである。

第3の理由の「随意契約の方が、事務的経費が節約できる」と言うが、競争すれば、契約価格が飛躍的に減少し、経費節減につながることは資源ごみの選別処理委託契約で明らかである。

委託契約も競争入札制度の採用をするよう、あらためて見解を求めます。

(赤土環境産業部長)
 2007年度のびん缶ペットボトルこれの選別の見積価格と契約価格に非常に大きな差があるということであるが、この選別業務については、以前の業者が自己の所有する選別ラインに人間をどれだけ配置するのかといったようなこと、またそれぞれの業者の企業努力等があるので、そのような違いが出たと考えている。こちらの方で設定した予定価格については、昨年までの業務の内容、そして今年変更になった業務の内容を踏まえての計算をしたものであり、適切であったと考えている。

また、住民監査請求の中で事務処理等についての一部日付が違う等の指摘がされている基本的な事務執行上のミスであり、その点については、そういうことが起こらないように取り組んでいきたいと考えている。また、ごみの収集の業者が現在のやり方であれば、三者のみに固定されるのではないかということであるが、ごみの収集については市民生活に直結している非常に重要な業務であるので、当然、人員・機材その他豊富な経験等有する業者でなければならない、そういったところから現在こういった形になっているところであるが、こういった問題について研究すべき問題であるとは認識している。

(谷口健康福祉部長)
 身体障害者の相談業務については、公募はしていない。

(南副市長)
 障害者の相談支援事業の件であるが、まず身体・精神については、本市内での事業者が一事業者しかなかったということであるので公募することには必然性がなかったということで、一者を  ということであり、知的障害者の相談施設については三事業者が受けて、これについてはということである。その応札した価格というのは、入札した事業者が年間の経費を積算された結果ということであり、年間350万ということですから当然この350万円は事業者の計算された年間経費だということである。

(松本企画財政部長)
 随意契約から入札へと、これは従来からいわれており、我々もそういう方向で極力とりくんでおり、契約入札というのは、事務負担行為一種であって、やはりこれは年度間の予算の編成上からはできないという従来型の考え方から変更していない。しかしながら、先ほども言ったように、透明性等の観点からもやはり入札に移行していくのは当然であろうという考え方に立っている。

 

[3問目]
 相談支援事業について、常勤の職員お費用が350間年で出来るという根拠はどこにあるのか

(南副市長)
 350万の金額はこれは事業者から出した金額でございまして、これは市が決めた金額ではございません。仮に350万を12ヶ月で割りますと1ヶ月29万円になります。