[岡崎栄一郎] 6月定例市議会 一般質問

◎茨木市の国民健康保険制度の問題点と改善について

◎後期高齢者医療制度の問題点と改善について


大きな1点目として、国民健康保険料についておたずねいたします。

国民健康保険は社会保障制度であり、国民皆保険制度の根幹をなす制度であります。誰もがいつでも安心して医療にかかれる制度に改善を図ることから、3点にわたって質疑いたします。

一つ目として、保険料滞納者に対するペナルティの問題についてであります。

本市においては、保険料を滞納していることを理由に、短期保険証や資格証明書を乱発し、さらには差し押さえまでも行っています。大阪府下の現状を見ても茨木市のような過酷な制裁措置を行っている自治体はごくわずかです。吹田市では、「短期被保険者証交付要領」、「資格証明書の交付及び保険給付の一時差止め等に関する要領」が設けられ、17年度の交付状況は、短期保険証1036世帯、資格証明書23世帯、差し押さえ件数は0件となっています。本市における、18年度の短期保険証、資格証明書、差し押さえの交付状況をそれぞれお示し下さい。特に、資格証明書や差し押さえによる制裁処置は、国保法第9条2項「世帯主は、市町村に対し、その世帯に属するすべての被保険者に係る被保険者賞の交付を求めることができる」と、第67条「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができない」と定められた条文に違反している疑いが濃厚と考えますが、見解を求めます。国保法施行令第1条の3,4では、資格証明書発行の適用除外となる特別の事情が規定されており、各市町村が判断するとされていますが、どんな基準で資格証明書を発行しているのか、答弁を求めます。

(答弁)今村市民生活部長
 平成18年11月1日の更新時点で、短期被保険者証を4504世帯、資格証明書を2206世帯に交付している。また、差し押さえ件数については、銀行・郵便局の預貯金等130件の差し押さえを執行している。

 国民健康保険法第9条2項の規定は、滞納がない場合であり、同条第3項の規定で、一定期間納付がない世帯に対しては、被保険者証の返還を求め、同条第6項において資格証明書の交付が義務付けられている。また、第67条の規定は、保険給付の差し押さえをすることができないものであり、財産の差し押さえについてではない。以上のことから、なんら条文について違反しているものではない。

 資格証明書については、納期限後1年間保険料を納付しない場合について交付することを義務化されており、「特別の事情等に関する届け書」「弁明機会の付与に関する通知書」を送付するも、なんらその提出もなく、また、納付相談もない世帯に対して資格証明書を交付している。

 

二つ目として、保険料を引き下げ、減免基準の拡充についてであります。

今年度の国保料はわずかではありますが、引き下がりました。これでも低所得者にとっては支払い困難な金額となっています。茨木市の国保加入率は42%を超えています。その中で国保加入者世帯主が無職であるという世帯が約半数を占めており、大半が高齢者であります。このように国保は、無職者層、高齢者層、低所得者層が多く占めているのが実態です。こうした現状から、誰もが支払える保険料にする必要があると考えますが、答弁を求めます。一般会計繰入金をもっと増やすべきと考えますが、答弁を求めます。

法定軽減として7割・5割・2割軽減を行っていますが、7割・5割軽減については申請の必要がなく自動的に軽減されてきますが、2割軽減については申請が必要とされています。そこで2割軽減も申請不要にすべきと考えますが、答弁を求めます。

茨木市の国保料減免基準は、最近3ヶ月間に平均収入が生活保護基準の1・2以下になった場合に減免されるというもので、利用者が少ない。それに比べて減免制度利用率大阪府下トップの池田市では、天災、失業、事業休止や所得激減減免のほか身体障害者、非課税世帯にも対応したものとなっています。保険料の滞納者を増やさないためにも、利用しやすい減免制度に改善することを求めますが、答弁を求めます。

(答弁)今村市民生活部長
 誰もが支払いやすい保険料にすべきであるということについて、国民健康保険料は、世帯や被保険者数に応じた応益割と世帯の総所得に応じた応能割により、負担してもらっている。応能割は所得に応じてもらうものであるが、応益割については、低所得世帯を対象に7割軽減、5割軽減、2割軽減と負担軽減を図っているので、負担能力に応じた保険料を負担をしてもらっていると考えている。

 一般会計の増額について、本市では、国民健康保険財政の補てんのため、平成19年度も当初から一般会計繰越金を予算化している。これは結果的に保険料の負担軽減にもつながっているものであるが、本来、医療給付費から公費負担を除く部分については、保険料でまかなうこととされており、年度途中において特段の理由による療養給付費増や保険料の収入が予定通り見込めない場合などに財政補てんとして一般会計から繰り入れるものと考えている。従いまして、保険料の軽減を目的とした繰り入れは考えていない。

 保険料の2割軽減について、前年と比較して所得状況の著しい変化等により、国民健康保険料の減額が適当でないと認める者を除く必要があるが、当該年度の所得状況が確認できないため、申請書類の提出を求めるものである。

 減免は、客観的に見て保険料負担能力が著しく低下または喪失している者に対して個々に行われるものであり、特定の者に一律に適用すべきでなく、保険料の一部または全部について、その納付義務を免除するものであることから、それ相応の条件を付すことは、公平性確保の観点からも必要であると考えている。また、滞納者を増やさないために保険料を減免することは、減免の趣旨と相入れるものではない。

 

三つ目として、高齢者に対する影響についてであります。

高齢者のみなさんにとって、「年金控除の引き下げ」「老齢者控除の廃止」「高齢者の非課税措置の廃止」などによって負担が重くなっています。こうしたことによる影響額はどれぐらいなのか、答弁を求めます。高齢者に対する高齢者減免も必要と考えますが、見解を求めます。

(答弁)今村市民生活部長
 高齢者に対する影響については、国民健康保険料算定に当たっては公的年金控除の引き下げのみであり、その影響は一人当たり月額で、平成18年度は500円程度、平成19年度は800円程度となる。

 高齢者については、それぞれの負担能力に応じて、保険料を負担してもらっているが、給付面において現役並の所得がある方を除き、医療機関の支払いを1割にするなど、負担の軽減を図っているものである。

 

〈2問目〉
 1、国民健康保険料についてでありますが、本市においては滞納者に対する制裁措置が強化されているわけでありますが、いくら過酷なペナルティを科しても収納率向上には、まったく役立たず、住民のいのちと健康を壊すだけのものです。「払わないから悪いんだ」と、払えない加入者を悪者扱いにしていますが、そもそも不当に高い保険料に問題があります。払いたくても払えない人がたくさんおられます。こうした実態の中で、命を削ってまで保険料を払えというのは本末転倒といわざるを得ません。吹田市の例を挙げましたが、吹田市では制裁措置でなく、少しでも支払いやすい対策に努力を払っているのです。北海道旭川市資格証明書除外規定には、「保険料を納付することにより、生計を維持することが困難な場合」こういう規定も定められています。本市においてもこのように改善を図るように努めるべきと考えますが、答弁を求めます。

(答弁)今村市民生活部長
 滞納解決については、催告書、督促状などを発送することにより、滞納者特定把握を図るとともに、年々分納等、それぞれの実態に応じた適切な措置を講じながら納付促進を図り、滞納世帯の現況に努めているところである。しかしながら、なんら応答のない滞納者については差し押さえの実施や資格証明書の発行など滞納処分を実施しているところである。今後とも国保財政の健全化と被保険者の公平性の確保からいっそうの努力を重ねていきたいと考えている。

 

大きな2点目として、後期高齢者医療制度についておたずねいたします。

一つ目に、保険料についてお尋ねいたします。

厚生労働省の試算では、年金額が年120万円から300万円までの7段階に区分し、月平均6200円になるという試算を示していますが、保険料の算定方法について説明願います。また、試算金額よりも高くなることはないのかどうか、お答え下さい。

年金を月15000円以上給付されている人は、保険料が年金から「天引き」されます。保険料と介護保険料を合わせれば月平均1万円を超えることになり、年金から引かれれば手元に残るお金はほんのわずかです。配慮や軽減策はどのようになっているのか、お示し下さい。

(答弁)今村市民生活部長
 後期高齢者医療制度の保険料の算定方式については、今後政省令で定められる基準に基づき、都道府県単位で設立された各広域連合が条例により定めることになるので、現時点では詳細はわかっていない。ただ、保険料算定の考え方としては、広域連合が医療給付等を行うために必要な経費を基にして、被保険者の均等割すなわち応益割が50%、所得に比例する応能割が50%となるように設定されるとなっている。

 厚生労働省では、208万円という平均的な厚生年金受給者にあっては、月額6200円の保険料が見込まれるという試算を出しているが、都道府県の各広域連合間で生じる差がどの程度となるのか未定であること、また、保険料算出に必要な諸条件が整っていない現在の状況では、試算金額との比較は困難である。

 後期高齢者医療制度の保険料を年金から天引きする特別徴収につきましては、高齢の被保険者の方々にとって、月々金融機関の窓口に足を運ぶ必要がなくなり、利便性を図ることができる利点を有しているものである。なお、介護保険と合わせた保険料が年金の2分の1を超える場合には、天引きの対象としないこととするほか、低所得者には支払能力に応じて、個人の均等割額に対し、7割・5割・2割の軽減措置が設けられている。

 

二つ目に、保険料滞納者に対するペナルティについておたずねいたします。

従来、75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者などと同じく、『保険料を滞納しても保険証を取り上げてはならない』とされてきました。ところが、後期高齢者医療制度は、保険料を滞納すれば容赦なく保険証を取り上げ、短期保険証、資格証明書が発行されます。このような無慈悲な仕打ちをすべきでないと考えますが、答弁を求めます。

(答弁)今村市民生活部長
 後期高齢者医療制度における資格証の交付については、国民健康保険と同様に、保険料を納めていない方の未納分は他の被保険者の負担となり、被保険者間の公平が損なわれることから、「高齢者の医療の確保に関する法律」第54条の規定により、一定期間以上、保険料を滞納している方には、資格証明証を発行することになる。短期証については、今後、省令で規定がなされる予定である。いずれにしても、今後、広域連合が発行基準などを定めることになるものと考えている。先ほどの質疑の中で、これらの発行について無慈悲な仕打ちといわれたが、これは私ども担当する者にとって、事務執行する上で規定されるものであり、そのような発言をすることは適切でないと考えるものである。

 

三つ目に、市民への影響として、現在、子どもの健康保険などの扶養家族になっておられる75歳以上の高齢者にとっては、新たに保険料を負担しなければならず、また、扶養家族から外れることによって世帯主にとっては増税となります。このような市民に与える影響についてどのような見解を持っておられるのか、答弁を求めます。また、健保から外れる人はどのくらいと見込んでいるのか、お示し下さい。

(答弁)今村市民生活部長
 市民への影響についてでありますが、これまで75歳以上で被用者保険の被扶養者として保険料を負担してこなかった方にあっては、新たに保険料の負担が生じることになります。これは、国民健康保険加入者が、所得のない人も含めて保険料を負担していただいている現状があり、これとの均衡を踏まえて、被用者保険の被扶養者にも保険料を負担してもらうこととなっておりますが、急激な負担とならないよう、加入時から2年間は、応益割が5割軽減される激変緩和措置がとれられることになっております。なお、被用者保険の被扶養者がはずれることが、税の扶養控除につながるものではありませんので、影響はないものと考えております。
 被用者保険(健保)からはずれる被扶養者数についてでありますが、健康保険組合、政府管掌健康保険、共済組合など、それぞれの保険者が管理されていることでありますので、市としては把握しておりません。