[朝田 充] 9月定例市議会 本会議質疑・討論

◎PFI事業について

◎同和行政の終結について

反対討論 平成18年度大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計決算認定について


(朝田1問目)
 それでは、今回は市が市民会館建て替えに当たって、選択肢の1つだとしているPFIについてと、従来から一貫して求めている同和行政の終結について、質問いたします。

 まず、大きな1点目のPFI事業についてであります。私は6月議会において「市民会館建て替えに当たっては、補強で対応すべし」という議論とあわせて、PFIの手法についても「問題点が山積みであり、導入すべきでない」という議論を一定してきました。今回はその続きであるわけですが、そうした議論に入る前に、現在、導入例はそれなりに出てきているとはいえ、PFI事業というものが、政府のかけ声とは裏腹に、全体としては低調と言えるわけで、いろいろ話題にのぼる割には、その事業プロセスについて、よく知られているという状況ではありません。そこで、まず最初に、今回のケースでPFIを採用するならば選定事業者との協定等の締結まで、どのようなプロセスを経なければならないのか答弁を求めます。

 次に、PFI事業のプロセスにおいて、PFIを採用するか否かは、自治体が直接事業を実施する場合とPFIで実施する場合とを比較するVFMと呼ばれる評価を行うことになっています。すなわちPFIで実施する場合のほうが安くならなければ採用できないということになるわけですが、はたしてPFIで事業費を削減できるのかというのは、大いに疑問であります。私たちは、せんだって、消費生活センターと計量検査所の公共複合施設整備に当たって、PFI特定事業を採用し、実施している千葉市に視察に行きました。 事業の概要としては、PFI事業を受けるために、SPCという特殊な会社がつくられ、千葉市のこの複合施設の場合は、前田建設、マツモトキヨシ等で構成された株式会社ちばシティ消費生活ピーエフアイ・サービスというSPCがPFI事業者になっていました。 長期の事業期間にわたり、施設の所有、維持管理、運営をSPCが行う方式のため、SPCによる施設の有効活用ということで、1階部分にマツモトキヨシと、それから、つるかめランドというスーパーマーケットが入っているという状況です。説明によると、千葉市のこのPFIの事業期間は30年なのですが、市が直接事業を実施する場合は、事業期間の財政負担は29億円なのに対し、PFIの場合は、最終契約額が22.2億円で、かなりの財政削減になるというのです。私が今回の視察で最も疑問に思ったのが、この比較に客観的な根拠があるかということであります。そこで、これらの額の積算根拠を尋ねましたが、肝心なところは、当時の担当者は人事異動によりもういないということで、答えてくれませんでした。しかも、当初、前田建設が2次審査のときに示した額は13.2億円であり、マスコミも、当時、費用負担半額以下にと、大いに報道したものです。結局、なぜ従来型ならば29億円なのか。もともと積算価格が高いのではないか。当初の13.2億円が、なぜ22.2億円なのか。今後も予定どおり、22.2億円で済むのか等々の疑念については、何ら明らかになっていません。本市のPFIの説明でも、コストの削減、低廉な、良質な公共サービスの提供が期待できると言い切っていますが、その根拠はどこにあるのか、答弁を求めます。また、VFMという方式に問題点はないのか、その認識もあわせて答弁を求めます。

 次に、その他の問題について、幾つか尋ねておきたいと思います。PFIにおいて、そもそも公共性の高い事業は収益性が低く、民間事業者が参入するうま味がないと言えるわけで、このうま味を引き出す上で、特に民間の収益施設と抱き合わせで実施するケースがふえており、こうした収益施設が破綻するケースも出てきていること、さらに、PFI方式は資金調達、契約から運営まで一体で発注されることから、中小企業が参入できない仕組みであり、こうしたことが導入、拡大すれば、地元中小企業の仕事を奪う中小企業排除の手法であることも、前回、問題点として指摘しました。視察した千葉市においても、複合施設にスーパーが入るため、周辺地域の商店街で店を閉めるところが出てきている等の問題が発生しているようです。また、実績としても、PFI事業は、事業を受けるためにSPCという特殊な会社をつくらざるを得ないので、地元中小業者が参加できないシステムになることも当局も認め始めているということであります。これらの問題についても、認識を問うておくと同時に、本市として、メリットについてはよく答弁しますが、反対に、PFIのデメリットについてはどう認識しているのか、答弁を求めます。

 次に、大きな2点目として、同和行政の終結にかかわって、幾つかお尋ねします。まず第1に、施設の目的外使用の問題であります。この問題で、特に取り上げたいのが、総持寺のいのち・愛・ゆめセンターにおける茨木市人権三島地域協や支部事務所の目的外使用であります。たとえ目的外使用の手続をとり、使用料を払っていたとしても、このような実態は他の施設では見られない、独占的使用、同和優遇そのものだと指摘し、この間、直ちに中止をと求めてきました。これに対し、部長の答弁は、「これらの団体につきましては、茨木市立いのち・愛・ゆめセンターの設置目的に合致しており、加えて、本市の人権問題の解決及び福祉の向上にも寄与しているので、問題ない」というものでありました。しかし、そんな理屈は通用するものではありません。3月議会では、八尾市が丸尾事件をきっかけに、人権ふれあいセンターからの解同支部事務所の撤去を決めたことを紹介しましたが、大阪市も、大阪市立人権文化センターから解同支部事務所の撤去を決めています。昨年8月、外部委員らでつくる地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会が、広く市民を対象とする施設に特定の団体が事務所を置くのは不適切と、支部事務所の退去を提言し、これを受けた大阪市が、6センターに入居する6支部について、今年度の目的外使用の許可を更新しないことを決めています。既に2支部は、ことしの3月から5月にかけてセンターを退去しましたが、残り4支部が居座り、大阪市は明け渡しを求める訴訟を起こしていると新聞報道されています。実は大阪市では、昨年5月の定期監査報告でも、人権センターにおける部落解放同盟大阪府連合会各支部事務所の目的外使用許可の見直しについてとして、広く一般の利用に供する市民利用施設という性質にかんがみ、使用許可の見直しについて、早急に検討されたいと指摘されています。3月議会において、この問題について、「八尾市と本市とどのような違いがあるか、今後、研究してまいります」と答弁しているわけですから、さらに、大阪市のケースも加えて、どういう見解を持っているのか、違いなどないはずであります。直ちに、本市も特定団体の事務所の撤去に踏み出すべきですが、見解を求めます。あわせて、いのち・愛・ゆめセンターそのものについても、昨年8月の大阪市の調査・監理委員会のまとめでは、こうした旧解放会館についても、一般施設として、市民からの理解が得られるかどうかについて、検証がなされていないと指摘しています。そうしたことを踏まえれば、同センターは、いわゆる同和施設としては廃止すべきが妥当と改めて主張するものですが、答弁を求めます。

 次に、施設の管理運営の問題について、お尋ねします。委託事業として、あるいは指定管理者で管理運営されている老人憩いの家、あるいは憩いの間、市立共同浴場、市立診療所については、市の施設としては廃止すべきと主張してきましたが、改めて見解を求めます。特に、共同浴場については、この間、「指定管理期間が終了する平成20年度末をもって、廃止に向け、検討してまいります」という答弁がありました。したがって、現在、検討状況はどうなっているのか、答弁を求めます。
 また、旧三島幼稚園跡地で、同和事業として行われていた生きがい菜園の市民農園への転用の問題についても、公平性の観点から、生きがい菜園利用者への優遇、優先措置は、一切とってはならないと指摘してきたところですが、その後どうなったのか、答弁を求めます。

 次に、児童生徒支援加配導入後の同和加配教員の茨木における現状について、お尋ねいたします。平成14年4月1日から、地対財特法が終了したことを受け、従来の同和教育推進教員の加配制度を廃止し、新たに児童生徒支援加配教員の加配制度が設けられました。文部科学省通知では、「児童生徒支援加配は、従来の同和加配とは異なり、地域を限定して加配するのではなく、児童生徒の状況に着目し、学習指導上、生徒指導上又は進路指導上、特別の配慮を行う必要性に照らして措置するものであること」とされています。ところが、その後の対応は自治体によってばらばらで、残念ながら、旧同和加配が残っているところも少なからずあるようです。そこで、茨木の現状はどうなのか、名実ともに同和加配がなくなったと言える状況なのか、答弁を求めます。

 次に、人権センターの委託事業についてであります。
 昨年12月議会の答弁では、青少年センターで行っている事業を人権センターに委託することも選択肢の1つと答弁しました。同和事業の見直しどころか、さらに委託事業をふやそうとしており、逆行するものであります。人権センターの法人化も含めて、こうした委託事業の拡大も検討しているということであれば、その検討スケジュールを明確にするよう、答弁を求めます。いずれにせよ、人権センターの委託事業は、きっぱりとすべて廃止すべきであります。あわせて答弁を求めます。

 最後に、この機会に、同和事業の見直しを思い切って進めるためには、やはり庁内組織ではなく、第三者機関・組織が必要だと考えますが、答弁を求めます。
 1問目、以上です。

 

<松本企画財政部長>
 1点目のPFI事業について、市民会館の建て替えの際に、PFI事業を採用した場合の協定までのプロセスということだが、これはPFI事業のプロセスについては、種々方法がある。しかし、市民会館については、現時点においてこの手法を採用するかどうか決定をしてないので、具体的なプロセスは示せない。
 しかし、一般的に申しあげると、国が示しているPFI事業実施プロセスに関するガイドラインにおいて事業プロセスは7つのステップに分かれており、1点目が事業の発案、2番目が実施方針の策定及び公表、3点目が特定事業の評価・選定、公表、4点目が民間事業者の募集、評価・選定、公表、5点目が協定等の締結等、6番が事業の実施、監視、7番が事業の終了となる。

 次に、2点目、VFMの問題。PFI事業は、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」俗にPFI法という法律に基づく事業で、この事業を最適な事業手法として決定した場合には、その法の目的とするコストの削減、低廉かつ良好なサービスの提供が期待できるという内容である。VFMについては、PFI事業におきます最も重要な概念の1つで、支払いに対して、最も価値の高いサービスを供給するという考え方。したがって、PFI事業としての実施を検討するに当たっては、当該事業を効率的かつ効果的に実施できるかを判断するため、このVFMを評価することが基本である。

 次に、3点目のその他の問題。PFIへの地域の企業の参加等については、複数の企業からなる企業連合体として、応募グループの代表企業、構成員、協力企業として参加している事例もある。むしろ、優秀な技術を保有している中堅中小企業にとっては、ビジネスチャンスになることもあるというふうに考えている。なお、デメリットであるが、これは従来から申しあげているとおり、契約内容が非常に詳細で、専門性が非常に求められることから、綿密な計画が必要であろうということ、また、事業期間が長期に及ぶため、その間に種々リスクが生じるおそれがあるということであろうと考えている。

<南副市長>
 大きな2点目の1番の施設の目的外使用の問題。支部事務所等については、部落差別解消のための自助組織として、本市の同和行政推進に協力する組織であり、地域住民の福祉の向上に寄与していることから、目的外使用につきましては、従来どおり許可をしていく考えである。なお、八尾市、また大阪市の例は、八尾市の場合は、支部みずから撤去を申し出られたというふうに聞いている。大阪市の使用許可また廃止等については、それぞれの市の状況、また取り決め、また判断があった内容かというふうに思う。本市については、法また条例に基づいた手続に基づいて目的外使用の許可をし、また使用料等も徴収をしているという状況である。いのち・愛・ゆめセンターの廃止ということだが、いのち・愛・ゆめセンターについては、社会福祉法の第2種社会福祉事業のうちの隣保事業を行う国が定めた隣保館ということで事業を行っている。また、平成14年8月には厚生労働省事務次官通知におきまして、「隣保館は、地域社会全体の中で福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行う」施設であるというふうに示されている。したがって、本市としては、今後とも、いのち・愛・ゆめセンターは、必要な施設であるというふうに考えている。

 次に、大きな4点目の人権センターだが、人権センターへの委託を活用するほうが、より事業等の効果的な推進が図れるということから、今後とも、委託については計画してまいりたい。委託事業の拡大に向けたそれぞれの検討スケジュールということについては、現在持っていない。その年度年度、その事業の必要性に応じて、対応を考えていくという内容のものである。

 大きな5点目の第三者委員会の設置ということだが、同和問題解決に関する諸施策の見直しということについては、昨年より進めてきた。その結果、一定の見直しもできており、改めて第三者機関を設置する考えは持っていない。

<谷口健康福祉部長>
 大きな2点目での2番目、施設の管理運営について、健康福祉部が所管する事項について答弁する。老人憩いの家、憩いの間、市立診療所の廃止についての見解だが、老人憩いの家、憩いの間は、国の老人憩いの家設置運営要綱に基づき、高齢者の教養の向上や健康の増進を図ることを目的に設置しており、広く地域の高齢者に活用されていることから、今後も事業を継続する考えである。
 また、市立診療所については、平成18年度から指定管理者となった財団法人茨木市保健医療センターが、地域に密着した診療所として運営している。今後とも広く地域の方々の健康管理を行う診療所として、引き続き運営をしていく考えである。

<今村市民生活部長>
 施設の管理運営にかかわる共同浴場の廃止の検討状況ですが、共同浴場については、山下温泉、総持寺温泉とも、現在の指定管理期間が終了する平成20年度末の廃止に向け、現在、協議を行っている。

<赤土産業環境部長>
 施設の管理運営についての市民農園のことについてであるが、旧三島幼稚園跡地における市民農園の利用者の募集につきましては、公平性の観点から、全区画を市広報誌及びホームページにより一般公募し、申し込みが多数の場合は、公開抽せんにより選考する。

<八木学校教育部長>
 教員同和加配の茨木の現状についてであるが、府教育委員会は平成13年9月の大阪府同和対策審議会答申、「大阪府における今後の同和行政のあり方について」を受け、平成14年3月末をもって、同和加配教員の配置を廃止した。本市において、同和加配教員は配置されていない。

 

(朝田2問目)
 質問を絞ります。PFI事業についてです。VFMの問題についてなんですけども、答弁では、これは重要なPFIのかなめとなるようなあれだという趣旨の答弁やったと思うんですけども。私もそう思うんですけど、VFMの方式、やっぱり私は疑問を呈せざるを得ないということが幾つかあるんで、1つ具体的な例を紹介しておきたいと思います。東京の調布市の調和小学校建設のVFMを見ると、PFI実施の場合の施設整備建設費、施設修繕費、維持管理費について、PFIの場合は、一律に自治体実施の9割掛けとなっていました。同じように、神奈川県の近代美術館の建設の場合のVFMでは、自治体実施の85%のコストで同じようにできるということになっています。この割合、そういうふうに計算するということになっているわけですけども、この割合は公表しない自治体も多いそうですけども、こういうふうにVFMは、初めからPFI有利になるように誘導する仕掛けが幾つもあるということで私は大変問題だと思っています。もともと公共事業は、今の1割、2割は、従来型でコスト削減可能だと言われており、PFIの場合だけ、何の根拠もなく、安くする前提条件を組み込むのは納得できるやり方ではないと思います。この削減率も、自治体の裁量で決められる数字なので、結局、VFMは恣意的な判断にならざるを得ないと指摘するものですが、見解があるのならば答弁をお願いいたします。

 それから、同和行政についてですけども、施設の目的外使用についてですけども、結局、私は3月議会の質疑でも、この問題について、住民サイドからの法的な対応を含めて、この問題を是正しようとする流れは、さらに加速していくだろうというふうに指摘したのですけども、今回、大阪市の対応はまさに、そういう方向が裏づけられていると指摘するものです。毎回、この団体はセンターの設置目的に合致していますということを理由にするわけですけども、合致していようが、いまいが、大阪市の場合、広く一般の利用に供する市民利用施設という性質に鑑みれば、不適切だというふうにいっているわけです。だから、そういう理由は、もはや通用しない。百歩譲って、私は全然そういうふうに毛頭、思ってないんですけども、「設置目的に合致する団体」だとしても「不適切」だというてるんです大阪市は。その点についてさらに見解を求めておきたいと思います。

 それから、最後に、共同浴場については、これは私は苦い経験があります。沢良宜の共同浴場廃止の際には、結局、これは廃止などではなくて、約1億円もかけて、いのち・愛・ゆめセンターの別館として、つまり、新たな同和施設として改修してあり、廃止でなく、転用であったというようなことがありました。沢良宜ではそういう結末やったわけです。私は今、同じ結果になりはしないかと非常に危惧しているわけですけども、今回どうなのか、明確な答弁を求めます。

 

<松本企画財政部長>
 VFMの中で、その考え方は疑問であるということだが、先ほども申しているとおり、やはりVFMの考え方は、税金等の価値を最も高めるというような形の考え方であり、単に一定の設定をするだけやなしに、従来型の公共事業での部分をPFIというような形でするわけで、コスト的にダウンする部分が、逆に公共サービスにも反映されているという考え方であるので、経費だけで、それが安い高いと、何%であるという議論は、やはりちょっと危ないんではないかなと私は思っている。
 したがって、VFMの中には、当然、市民サービスのウエイトの部分も入っているというふうに考えている。

<南副市長>
 目的外使用の件であるが、大阪市の人権センターの建設の経過、使用の状況、その他が本市と全く一緒であるというふうには理解をしていない。

<今村市民生活部長>
 共同浴場の廃止の関係であるが、今現在、廃止に向けての協議をしているものであり、沢良宜等についてのそういう内容につきましては、その後の問題である。

 


平成18年度大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計決算認定について(07.09.27)

 私は、日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、認定第3号 平成18年度大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計決算認定について、認定すべきでない、反対の立場から討論を行います。

 反対する理由の第1は、平成18年度は、保険料において所得割で0.91%、均等割で1,920円、平等割で1,200円の引き上げが行われました。その根拠となったのは「保険給付費の過大見積もり」であり、適正に見積もられていたならば、保険料の引き上げは必要ないどころか、引き下げが可能であったからであります。

 一般分の療養諸費は当初予算では93億円と見積もられていましたが実際の決算では83億円で、10億円の見込み違いであります。医療改悪による影響が考慮されていないためこうした過大見積もりとなったのであります。こうして平成18年度の決算は、5.1億円の黒字となりました。しかも市は給付費の過大見積もりによって大幅な黒字が生じると分かると、独自の法定外繰入金、すなわち料金軽減繰入金を当初予算より3.7億円も減額、いったん繰り入れられたものを国保会計から一般会計に引き戻していることが審議を通じて明らかになりました。これを合わせると18年度の国保会計は8.8億円の大幅黒字であったということになります。更に重大なことは、今回の繰入金減額によって、これまでの市の言い分、説明をも後退させるものになっている点であります。「本市は厳しい財政状況のおり、一般会計の料金軽減繰入金の額を、被保険者一人当たり1万5千円と固定し、その考え方のもとに額を決定している」と説明してきました。ところが、今回、3.7億円も大幅に減額、引き戻しを行ったために被保険者一人当たりの額は1万円に後退してしまったのであります。私たちは、これまでの基準自体が不当であり、そうしたことにとらわれることなく、国民健康保険の制度上からも、もっと実態に見合った繰り入れを行うべきであるという立場でありますが、あろうことか、自ら掲げた基準をも紙くずのように投げ捨て、自らの立場を後退させたことは看過できるものではありません。これらのことを問われると「黒字になった以上、その繰入金について減額するのは当然であると考えております」という居直りの答弁に終始しました。大幅な黒字が生み出されるもとで市民から取りすぎた保険料は、保険料引き下げや軽減策拡充等の措置を講じ、市民に還元すべきであります。さらに、本市の財政状況からみても保険料引き下げのための更なる繰り入れは十分可能であり、こうした格差是正、市民の負担軽減にもっと努力を図るべきであります。このことは一般財源の支出の優先順位から見ても当然のことであります。

 反対する理由の第2は、本市の独自軽減制度が不十分だということであります。

 現在、国保加入者の多くが、年金生活者、企業による無法なリストラなど社会保険からの離脱者、不安定雇用の若年層などで占められ、また、滞納者の多くが低所得層に集中しているという傾向があるなか保険料が高くて払いたくても払えない世帯に対して、もっと利用しやすい減免制度に拡充すべきであります。平成18年度の本市の国保減免の実績でも、一般軽減は647件と他市に比べても低位で、しかも身障者減免も独自減免も制度そのものがないため件数0と、他市に比べても厳しすぎるといえます。被保険者の失業、事業の廃止、事業の不振、転職等により年間所得額が前年所得額より30%以上減少といった誰にでも分かりやすい内容に改善することや、障害者や非課税世帯に対する独自軽減制度の創設などにもっと努力を払うべきと強く指摘するものであります。

 反対する理由の第3は、国保滞納者に対するペナルティーがあまりにも過酷な事態となっていることであります。

 この問題でも北摂7市と比較すれば、茨木市の異常さは明らかであります。平成18年度の実態では、資格証明書の発行件数は、茨木市が2,206件。豊中市が388件。池田市が26件。吹田市が22件。高槻市が      313件。箕面市が11件。摂津市が66件。差し押さえ件数にいたっては、茨木市が130件。豊中市が      1件。池田市が0件。吹田市が1件。高槻市が5件。箕面市が0件。摂津市が0件。こうした茨木市だけが突出した数字を示すだけでそのやり方がいかに異常かというのが浮き彫りになっています。資格証明書、差し押さえの発行や執行は、収納率向上に効果が現れているとはいえず、中止すべきであります。今や、本市の半数近くが国保加入世帯であります。社会的弱者が多いといわれる国保加入者に負担をしわ寄せさせても問題の解決にはなりません。今日の国保会計の危機的状況は、国庫負担削減とあわせ、不安定雇用の拡大、経済、社会情勢の悪化に伴い、引き起こされたものであり、格差と貧困を広げている「構造改革」路線にあることは明白であります。この誤った路線を許さないこととあわせ、そうしたもとで本市の国保行政をめぐっても予算の優先順位を大胆に改革することこそが今、切実に求められています。

以上、大きく言って3点の理由を申し述べ、反対の討論とさせていただきます。議員各位のご賛同をよろしくお願い致します。