[畑中たけし] 9月定例市議会 質疑および討論

◎財政運営について

◎民間保育園運営市補助金の増額と民間保育園の運営について


議案第67号平成19年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第1号)質疑

(一問目)大きな一点目に茨木市の財政運営の基本についておたずねいたします。

 平成18年度の決算数字が明らかとなり、また19年度の最終の予算執行の見通し数字も今議会に示されていますので、その数値にもとづいておたずねいたします。第一に歳入全体ですが18年度は約729億円と17年度の740億円より減額になっていますが、市税収入では17年度の420億円から18年度は430億円と増収となり、さらに19年度は471億円と空前の増収が予想されています。もともと不交付団体ですから、「税制改正」の影響もありませんので、まるまるプラスになります。市民は「税制改正」で増税となる一方、市の財政は潤うという皮肉な現象です。経済の変化に伴うもの、定率減税の縮小・廃止等の庶民増税、所得税と住民税の見直し等、いくつかの要因がいわれていますが、18年度、19年度の諸要因の具体の内訳数字について、答弁を求めます。

 第二に地方債(事業債)の発行額は18年度48億円と17年度62億円から相当減額しています。また18年度当初の発行予定額からも同様です。さらに19年度も44億円とさらに減額しています。これは市税収入の増収と関係があるのかおたずねいたします。

 市民犠牲の増税による増収が、投資的経費の財源に回されるだけでは、かつての山本市政時代のやり方とかわりません。市民犠牲の市税収入の増収はくらし・福祉・教育の充実や商業の振興に財源を投入すべきです。市長からの答弁を求めます。

 第三には市税収入の増収ですが、増収の大きな部分は個人市民税です。17年度の141億円から18年度は152億円、さらに19年度は183億円とこれも空前の増収です。これを見ても庶民増税の犠牲となったのは一般市民です。これも一問目同様、18年度、19年度の諸要因の具体の内訳数字について、答弁を求めます。また固定資産税償却資産の税額が税制改正の影響があるといわれていますが、答弁を求めます。

 第四には財政調整基金の取り崩しについて、おたずねいたします。17年度も18年度も当初では10億円の取り崩しで財源に充てる予定をいずれも、ゼロとなっています。これも市税の増収と関係があるのか、おたずねいたします。

 第五には経常収支比率の減について、おたずねいたします。18年度の経常一般財源額が472億円と17年度の458億円と増収となり、さらに19年度は486億円となる予定です。そのことから18年度の経常収支比率が10数年ぶりに減となりました。これも先ほど指摘した点が主要な要因です。当然、大型公共事業や市民会館など箱物の投資的経費ではなく扶助費、補助費等の増額に回すべきです。市長の見解を求めます。

 第六には、充当一般財源総額の性質別財源配分について、おたずねいたします。18年度の充当一般財源総額は548億円で、17年度の540億円から増額となっています。さらに19年度は574億円と大幅増額です。とくに18年度は当初、充当一般財源総額は552億円の見積もりから4億円の減額となっています。ところがこうした中で、大幅に増額になっているは普通建設事業でなんと61億円と約19億円も増額となっています。一方、扶助費は4億円、繰り出し金は9億円の減額となっています。普通建設事業の大幅増額は年度末の道路用地の大量買い戻しや地方債の発行額の減額によるものと考えられます。繰り出し金の:減額は国民健康保険会計への繰り出しの減額と思われます。それぞれ、その経過と理由についておたずねいたします。19年度も同様な措置を執るのかも併せておたずねいたします。

 あらためて、市民犠牲の増税の財源の配分の方法が間違っていることを指摘いたします。見解を求めます。

○市税収入の増加の要因について

(答  弁)市税収入の増加の要因としまして、平成18年度は、
・ 個人市民税は税制改正等により、約11億2千万円
・ 法人市民税は企業収益の改善で、約2億8千万円
・ 市たばこ税の税率改正での、  約9千万円
が、増の大きな要因であり、
・ 固定資産税は評価替えにより、 約6億4千万円
の減である。
 次に、平成19年度は、
・ 個人市民税が税制改正等で、    約30億円
・ 法人市民税が企業収益改善で、   約8億2千万円
・ 市たばこ税においては、      約9千8百万円
・ 固定資産税の新築家屋の増等により、約8千万円
となることが主な要因である。

 

○個人市民税の増収と固定資産税償却資産の影響について

(答  弁) 個人市民税収入の増加の要因として、
平成18年度は、
・ 定率減税の2分の1の縮減により、約6億5千万円
・ 老年者控除廃止等に伴う改正で、 約2億4千万円
である。
次に、平成19年度は、
・ 税源移譲によります税率改正で、約16億6千万円
・ 定率減税の廃止により     約7億円
・ 退職所得の増加による     約3億6千万円
が主な要因である。

 なお、平成19年度固定資産税償却資産の税制改正は、課税標準の特例措置の延長等が行われたが、税額に影響はない。

 

○市税収入の増収と地方債発行との関係について

(答  弁) 18年度の地方債発行額が、17年度と比較して減額となっているのは、地方債発行の対象となる建設事業の減が主な要因である。また、18年度当初からの減額については、歳入において市税収入などの増や歳出において児童手当等の対象人数が当初見込より少なかったことや委託業務や工事費での契約差金により財源が発生したことから、将来の財政負担を考慮し、発行額を抑制したものである。さらに、19年度については、市税収入の増加が見込まれることから、同様の理由で発行額を抑制している。

 

○市税収入の増収と財政調整基金の取り崩しについて

(答  弁) 財政調整基金の取り崩しについては、当初予算の編成時に、各種市民サービス事業を実施するにあたり、財源が不足したことから、予算措置を行ったものであるが、17年度は児童手当の対象人数の減や委託業務や工事費等の契約差金により財源が発生したこと、また、18年度は、これらの理由に加えて、市税収入が増加したことから、取り崩しを取り止めたものである。

 

○充当一般財源の性質別財源配分について

(答  弁) 平成18年度の当初と決算における充当一般財源の性質別財源配分についてであるが、普通建設事業の約19億円の増加は、道路・街路事業の積極的な推進と土地開発公社の健全性を考慮し、事業用地を買い戻したことが主な要因であります。また、繰出金の約9億円の減少は、国民健康保険事業会計や公共下水道事業会計において、特定財源が増加したことや事業費が減少したことが主な要因であり、扶助費の減少は、児童手当などの対象人数が当初見込みより減少したことなどによるものである。19年度においても、事業完了等に伴い生じる財源は、将来の財政の健全化を念頭において、土地開発公社保有資産の買戻しや特別会計への繰出金の適正化、また地方債の発行の抑制などに活用していきたいと考えている。なお、必要な事業については、今回の9月補正においても、一般財源である繰越金を活用し、小中学校施設の補修や公共施設の耐震診断経費等を実施している。

 

○市税収入増収分の配分について

野村市長:答  弁) 市税収入増収分はじめ一般財源の目的別及び性質別への配分については、財政の健全性を念頭に、将来の財政需要や負担を十分考慮し、時代の変化や市民ニーズを的確に捉える中で、市全体の行政水準が高まることを基本に配分すべきものと考えている。この考えをもとに、この3か年においては、子育て支援策をはじめ、学校教育の充実、また都市基盤整備等の投資的経費についても、効果的・効率的に配分したつもりである。また、質問の中で投資的経費から扶助費や補助費等へ一般財源を充当という指摘であるが、投資的経費には、私立保育所への建設補助や小中学校のエレベーター設置など充実の面と、あるいは道路・街路の都市基盤整備などの茨木市に住む全ての人を対象に、生活の利便性や安全性の確保を目的とするものがあり、それら投資的経費の着実な推進は、将来のまちづくりの基盤となる大変重要な費目である。従って、市税を中心とする一般財源の配分については、今後ともまちづくり全体を見据え、バランスよく効率的効果的に配分していくものである。

 

 大きな二点目に民間保育園への市単独事業市補助金の増額と民間保育園の運営の改善についてお尋ねいたします。

 第一に民間保育園への市単独事業補助金の増額を求める立場から質問いたします。平成16年度の私立保育園への市単独事業補助金総額は約2億1千万円で児童一人あたりは約1万4百円、17年度は総額で約2億2千万円で児童一人あたりは約1万3百円、18年度は総額約2億3千万円で児童一人あたりは約1万百円と総額では、わずかに増えていますが、民間保育所への委託児童数が増えているので、児童一人あたりに換算するとむしろ減額になっています。19年度は民営化の関係で増額していると言われていますが、19年度の見込み総額と児童一人あたりの額でそれぞれどのように見積もっておられるのかお尋ねいたします。いずれにしても民間保育所の決算書類から換算すると18年度は平均児童一人あたりで約9万5千円と15年度の約10万3千円より減額となっています。一方、公立保育所の場合は13万1千円とその格差は歴然としています。その差の最大の要因は保育士等の人件費です。これが民間保育所の場合、児童一人あたり約6万7千円と減額傾向にあります。一方、公立保育所の場合、同じく約11万3千円と約2倍近くの格差があります。民営化等による民間保育園への委託児童の増加に見合う補助金の増額、また民間保育園の保育士等の給与水準の改善を視野に入れた補助金制度の改革と増額を強く求めます。見解を求めます。

 第二に民間保育園への市単独補助金の支出にふさわしい民間保育園の運営の改善について、おたずねいたします。先ほどの数字のように、茨木市は民間保育園へ年間約2億3千万円の単独補助金を支出しました。ところが18年度の私立保育園の運営収支黒字額総額は約2億2千万円と折角、茨木市が努力して単独の補助金を支出している事が必ずしも生かされていません。また決算書によると少なくない数の民間保育園が毎年その経常収入額に対して1割を超える次年度繰越額を計上しています。中には2割近くまでも繰り越している民間保育園も存在します。厚生省児童家庭局長通知「保育所運営費の経理等について」では、経常収入額の5%相当を超える積立や収支差額は望ましくないとされており、運営費の弾力運用については適切な施設運営が確保されていることが前提であり、認可保育所および保育制度に対する信頼と期待に十分応えていくために保育園においては適切な保育を実施されるよう」としています。最近の府の監査でもこうした不適切な経理に対して指導措置が行われている園も存在します。市の補助金支出の効果や適正な運営費支出の確保の観点から改善の余地があると考えますが、見解を求めます。また近年、こうした運営費の黒字額の増加の要因として、公立保育所の民営化があると言われています。市の見解をお尋ねいたします。

 また直近の一年間で、茨木市の民間保育園で府の監査を受け、法人及び施設の運営状況について不適切であると指導を受けている内容を見ますと、障害のある児童について個別の保育指導計画を策定すること 2園、定員を超える私的契約児の解消 5園、最低基準に定められた医務室がないと指摘されている保育園 1園、屋外遊技場が最低基準の面積を満たしていないと改善の指導 1園、給食の栄養給与目標を満たすよう指導 2園、「保育充実費」と言ったような名目などで保護者から一律に不適切な寄付金等を徴収しているとして解消を指導 5園などなど数々の問題点が指摘されています。茨木市はこうした事実を把握しているのか、おたずねいたします。こうしたことが発生する原因は国や府や市が十分な財政措置を執っていないことと同時にずさんな運営のあり方と両面を持っています。府に任せきりで知らんぷりではなくこうした状況をしっかりと把握した上で、民間保育園と密接に連携して問題の解決に向けて茨木市は取り組むべきではないでしょうか?見解を求めます。

○民間保育園運営市補助金の増額と民間保育園の運営について

(答  弁) 平成19年度の市単独補助金としては、予算ベースで、3億7,221万7千円を計上しており、年間延べ児童数を2万8,644人と見込んでいるので、児童1人当たり月額で約1万3千円となる。私立保育園への補助金については、公私協調して保育内容の向上や課題解決に努めていることから、私立保育園の円滑な運営と保育内容の充実を図るため、これまでから、民営化にかかわらず、入所児童の増加に対しましては、補助金要綱に基づき、増額している。なお、私立保育園の保育士の給与改善に対する補助金については、国の保育所運営費制度の中で、「民間施設給与改善費」の加算があることから、市単独補助金を創設する考えはない。

 

○民間保育園の運営改善について

(答  弁) 私立保育園に対する市補助金については、障害児保育実施対策費や給食材料費など保育内容の充実を図るために支出しており、補助事業に対する実績報告書を市へ提出してもらい、審査を行っている。一方、保育園全体の運営費の指導監査については、府の所管となることから意見は差し控えるが、市補助金については、必要な補助を適切に支出し、有効に活用されていると考えている。なお、繰越金については、運営資金として繰り越されているものと考えている。また、市の補助金支出の効果や、適正な運営費支出の確保の観点から改善の余地がある、との指摘もらっているので、今後は市補助金の効果を十分検討し、より厳密に審査するとともに、目的と内容を検討し見直していく。

 

○府の指導監査に対する市の取り組みについて

(答  弁) 大阪府の民間保育園に対する指導監査については、市職員も現場に立ち会いをして、指摘内容の概要についておおまかな把握はしている、正式な監査結果については、府から文書での報告はもらっていない。しかし、指摘を受けた社会福祉法人からは、栄養給与目標や私的契約児童の解消などについて個別に相談を受けており、それぞれの課題解決に対し適切に対応し、問題解決に努めている。なお、十分な財政措置をとっていないとの指摘があるが、保育所運営費国庫負担制度や本市の私立保育園運営補助制度において、十分な財政措置をとっている。また、ずさんな運営という指摘については、市の補助にかかわるものについては市の責任で精査し、法人全体のことに関しては、適切な指導を大阪府に申し入れていきたいと考えている。

 


平成18年度大阪府茨木市介護保険事業特別会計決算認定について(07.09.27)

 日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、認定第5号 平成18年度大阪府茨木市介護保険事業特別会計決算認定について、認定すべきでない、反対の立場から討論を行います。

 平成18年度の介護保険事業は、保険料においては、前回の改定時には151円の引き上げであったものが、基金をわずか2億円しか取り崩さず、結局、23%、718円もの大幅引き上げを行った年でありました。

 反対する理由の第1は、保険料引き上げの根拠となった保険給付費等が過大見積もりであり、適正に見積もられていたならば、少なくとも保険料を据え置くことが可能であったからであります。この問題で、特に顕著なのが、介護予防サービス等諸費であり、4億5千万円の見込み違いがでています。国の介護保険制度改悪により従来のサービスを後退させながら、鳴り物入りで導入された介護予防サービスでありますが、需要は伸びなかったわけであります。改めてこうした過大見積もりを前提にした保険料の引き上げを市民に押し付けた責任が問われるのであります。

 反対する理由の第2は、保険料大幅引き上げ抑制のために、基金積立からの適正な活用が図られていないからであります。結局、平成18年度の収支は、2億6千万円の黒字であり、これまでの基金現在高は7億8千万円にものぼることが明らかになりました。取り過ぎた保険料や積みあがった基金を市民に還元する必要があります。そもそも厚生労働省ですら「介護保険制度は計画期間内に必要となる保険料については、各計画期間における保険料で賄うこと」を原則としており「保険料は不足する場合には、財政安定化基金から貸付等を受けることができること、さらに、当該基金を有している保険者においては、第三期介護保険計画の策定に当たりその適正な水準について検討し、当該水準を超える額の取り崩しについて十分検討されたい」と、保険料設定について「当該水準を超える額の取り崩し」を留意事項として強調していたところであり、こうしたことを鑑みれば積みあがった基金は全額、保険料抑制に活用すべきであります。ところが、答弁では「一定額を取り崩し、その抑制に努めたものでありまして、今後、たとえ3年間でその基金が、ある程度の基金を保有するとすれば、おなじようなことは想定していただくということになります。」と、今後とも基金は、申しわけ程度に取り崩すだけで、保険料抑制のための積極的な活用を拒否し、次期の保険料引き上げについてもほのめかすような発言をしたことは言語道断であります。

 反対する理由の第3は、低所得者への実効ある保険料、利用料の市独自の軽減策の拡充あるいは創設が図られていないからであります。 市民への還元ということでいえば、保険料抑制とあわせて、基金を活かして、本市独自の低所得者に対する実効ある保険料軽減制度の拡充、あるいは利用料の軽減制度の創設を図る必要があることを指摘をしました。しかし、現在の第3段階保険料軽減に限った、しかも所得96万円まで、預金額350万円以下という不十分な、条件が厳しい現在の保険料軽減策以上のことはするつもりはないという答弁に終始しました。しかし、全国では、低所得者への実効ある保険料、利用料の軽減制度の創設はされに広がってきています。今回の決算状況を見ても、その拡充、創設は十分可能。あとはやる気だけということが明らかになったと考えます。改めて、そのことを強く求めます。

 以上、3点の理由を述べ、反対する立場からの討論とします。議員各位のご賛同をよろしくお願い致します。