[朝田 充] 平成21年三月定例市議会 本会議質疑および討論

◎単行議案=市内公共施設駐車場の有料化について(09.03.11)

◎反対討論=市内公共施設駐車場の有料化について(09.03.11)

◎一般質疑=@同和行政の完全終結について
      A緊急雇用対策について(09.03.12)

◎一般会計組み替え動議討論(09.03.26)


議案第10号及び議案第27号から第38号 公共施設駐車場の有料化について

(1問目)議案第10号及び議案第27号から第38号、すなわち公共施設駐車場の有料化等の提案について質問いたします。

@今回の提案の経過および目的について
 まず第一に、今回の提案は、市役所来庁者駐車場、クリエイトセンターや保険医療センター、公民館などの今まで無料であったところの駐車場を有料化する、あるいは駐車場使用料を引き上げることが主な内容であります。そこで、今回の提案に至った、経過と有料化する目的、考え方について答弁を求めます。特に2つの観点として「受益者負担の適正化」と「市民サービス向上」を挙げていますが、それぞれ具体的に説明してください。さらに、私は今回の提案自体、やめるべきという立場でありますが、しかし議案や新旧対照表を見させていただいて疑問がわいてくるのでお尋ねしますが、今まで無料だったところを有料化するといっても、有料化する施設とそうでない施設とがあります。例えばコミュニティセンターや斎場などは今回はずれていますし、同じ施設であっても例えばいのち・愛・ゆめセンターでは沢良宜のみの有料化で豊川、総持寺は除外されています。図書館では、庄栄図書館の駐車場は、庄栄コミュニティセンターと共同使用ですので除外されたのかと思いきや、現地にいくと「この駐車場は4月1日から使用できなくなります」の貼り紙がはっていますし、有料化の基準、それぞれの施設の対応の基準がまったくわかりません。技術的なことなのか、新年度でいっぺんにはできないから等の時間的なものなのか、あるいは政策的、政治的な基準があるのか、明確にするよう答弁を求めます。また、有料化だけにとどまらず、駐車場そのものを廃止する施設があるのかどうか、答弁を求めます。

A今回の影響額と使用料、手数料の考え方について
 次に、今回の有料化あるいは料金引き上げによる市民への影響額は全体でいくらと見込んでいるのか答弁を求めます。また、法的根拠についてもお尋ねいたします。こうした使用料徴収の法的根拠というのは地方自治法第225条であり、しかし、そういうものは天井知らずで、無原則で徴収できるというものではなくて、地方財政法第27条の4において本来市が負担すべき経費を住民に対して転嫁してはならない旨をさだめています。こういう法体系であるわけですが、確認のため、市の法的根拠について見解、答弁を求めます。

 今回の提案は、使用料や手数料、いわゆる税外負担に対する市の考え方、政策のさらなる大きな後退と私たちは見ています。使用料、手数料については、私自身が経験しているものとしては平成14年12月のいっせい引き上げであります。それ以前では昭和52年、昭和57年と大きな改定があったと先輩議員、あるいはOBの方から聞いているわけですが、使用料、手数料についての議論で、一貫して中心に座っていたのが原価主義による料金設定でありました。原価というものをどうみるかというのはそれぞれの公共施設でとらまえ方がちがうわけですが、とにもかくにも、第一に最初の投資的経費も含めて、全部ひっくるめて原価とみるもの、第二に人件費も物件費も含めて原価とするもの、第三に物件費のみを原価とするもの、第四に物件費も取らずに、福祉的、教育的要素で相当な減額あるいは免除するもの、とにもかくにも、四つに分類し、この施設はこのケースで原価のここまで使用料としていただきます、という行政側もいわばそれなりのルールに基づき、徴収あるいは料金改定の提案、説明をしてきたわけであります。ところが、これを投げ捨てたのが私の経験した平成14年のいっせい引き上げで、このときから人件費に食い込もうが、これまでの説明と相反することであろうが、それぞれの施設の原価から説明するという姿勢を投げ捨てたわけであります。その時は、前回改定時より消費者物価が30%上がっているので、一律に使用料も30%上げさせてもらいます。これを唯一の理由として引き上げを強行したわけであります。しかしその時でも、基本的に残ったのが第四番目の福祉的、教育的要素で相当な減額あるいは免除するものであったわけですが、今回、これもいよいよ投げ捨てようとされているわけであります。景気悪化を口実にすれば、何をやっても許されるというものではないと厳しく指摘するものですが、この間の議会での議論の経過も踏まえて、市長の見解を求めます。

B提案を撤回することについて
 以上の経過を踏まえ、使用料、手数料の問題については、改めて平成14年いっせい引上げ前の原価主義の議論に立ち返ること、福祉的、教育的要素での減免の考え方は堅持すること、すなわち今回の提案の撤回を求めるものでありますが答弁を求めます。

 


◎議案第10号及び議案第27号から第38号、公共施設駐車場の有料化等の提案・討論

議案第10号及び議案第27号から第38号、すなわち公共施設駐車場の有料化等の提案について日本共産党茨木市会議員団を代表して、反対の立場から討論いたします。

 反対の理由の第一は、今回の提案はこれまで福祉的、教育的要素から無料であった施設の駐車場まで有料化する、市民犠牲の提案であるからです。

今回の提案は、市役所来庁者駐車場、クリエイトセンターや保険医療センター、公民館などの今まで福祉的、教育的要素から無料であったところの駐車場を有料化する、あるいは駐車場使用料を引き上げるもので、その有料化、料金引き上げによる市民の新たな負担増は(1億9千万円?)にも及びます。現下の経済情勢下のもとでの市民負担増は、市政への不信感をさらに広げ、市民活動や生涯学習への意欲を減退させるばかりで自治体の責務の放棄にほかなりません。不況が深刻化し、ともすれば市民の活動意欲も沈滞しがちな今こそ市民の自立的活動を応援すべきであります。

反対する理由の第二は、有料化の理由も景気悪化と厳しい財政状況を唯一の口実にしたもので、しかも取りやすいところから取るという逆立ち財政運営が貫かれており、このような考え方、財政運営を許すわけにはいかないからであります。

質疑を通じても、景気悪化を口実にすれば何をやっても許されるという態度がありありであります。もともと使用料などの税外負担については、市当局も一定の考え方、理念ともいうべきものを持っていました。

使用料の徴収を定めた地方自治法第225条ついて、地方自治法の逐条解説には「使用料は、その行政財産又は公の施設の維持管理費または、減価償却費に当てられるべきもので、公営企業を除く一般の公共用財産は収益を目的とするものではないから、当該財産又は公の施設につき必要とする経費を賄(まかな)うに足ることをもって限度とし、なるべく低廉(ていれん)であるべきことはいうまでもない。」と法の趣旨を解説しています。さらに、地方財政法27条の4においては、市民にその負担を転嫁している使用料などの税外負担について、政令で定めた「市の職員の給与に要する経費」と「市立の小・中学校の建物の維持及び修繕に要する経費」については、「直接、間接を問わず、その負担を転嫁してはならない」と、税外負担がどんどん膨らんでいくことがないように規定しています。さらに、これまでの政府の通達においても「政令で定める以外の経費であっても法の趣旨に従い住民の税外負担の解消について格段の努力をされたいこと」としています。ここに明解に示されているとおり法の趣旨は住民の税外負担の解消をこそ求めているのであります。かつての市政もさすがにこの趣旨、原則は無視できず4つの分類による原価主義の立場をとっていたのであります。今回の提案は投げ捨てられた原則のうちかろうじて残っていた4つ目の分類、「物件費も取らずに、福祉的、教育的要素で相当な減額あるいは免除するもの」この部分もいよいよ投げ捨てようとするものであり、全く許しがたいといわなければなりません。

 法の趣旨を堅持したうえで、厳しい財政状況に対応するならば、取るべき道はただ一つであります。私たちが代表質問で指摘したとおり何よりも大事なことは歳出の見直しであり中長期的観点から投資的経費の精査・見直しを行い旧来の大型開発関連の土木・投資的経費財政から脱却すること。歳入面、財源確保においては積立金の取り崩し、地方債の積極的活用、普通財産の処分検討などの方策をとることであります。
 今回の提案は、今我慢すべき不要不急の大型公共事業は推し進め、本来第一義的に守らねばならない庶民生活に対しては我慢と負担増を強いる逆立ち財政運営による提案であると厳しく指摘するものであります。

反対する理由の第三は、今回の提案では、市民サービス向上の観点も挙げていますが、この考え方は間違いだということであります。

公の施設の駐車場における市民サービス向上の一番の眼目、一番大切にされなければならないことは、その施設の利用者にとってのサービス向上であります。有料化することによって施設利用者以外の使用が抑制できるとおっしゃるわけですが、しかし、来庁者駐車場は、現に今でも来庁者以外の使用を防止するために、駐車券発行と駐車券に担当課や関係者のハンコなりサインをするという対応をされています。それが有料化で金さえ払えば誰でも利用OKということになれば、かえって、本来最優先されるべき来庁者が、優先されないということが危惧されます。さらに、もともと駐車スペースが少ない障害福祉センターや公民館では、施設利用者以外の車でいっぱいになって、結果的に、本来確保されるべき施設利用者の車が確保されないということが危惧されます。これではサービス向上どころか、施設利用者にとってはサービス剥奪であります。特に交通弱者でもある障害者にとってはその弊害は深刻であります。そして、あぶれた車が路上駐車するということになれば、これでは路上駐車促進の提案ではないかと指摘するものです。

反対する理由の第四は、・・・

以上、大きく4点にわたり反対対する理由を述べました、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、討論を終わります。

 


◎一般会計予算質疑

 いくつかの問題について質問いたします。

1.同和行政の完全終結について

@同和行政の終結を宣言することについて
 まず大きな柱の1点目として、同和行政を完全終結させることについてお尋ねいたします。その第一として、市長として同和行政の終結を宣言することについてであります。
市長は施政方針でも「同和問題につきましても心理的差別の解消に向けた啓発等に取り組んでまいります」と表明されています。しかし、同和問題の解決は最終段階というのが今日の到達点であり、特殊な立場で行われる「同和行政」や「同和教育」はその妨げとなっています。改めて茨木市として「同和行政」の終結を宣言し、その立場で弊害を取り除く、特に行政の主体性を放棄し、不公正な状況を温存、拡大させる「部落解放同盟」追随路線からの決別は不可避だと考えますが、答弁を求めます。

A今回の青少年センターをめぐる問題について
 次に、今回の3つの青少年センターといのち・愛・ゆめセンターとの統合問題についてお尋ねします。最初に、この問題をめぐって新聞報道されて、施政方針でも「府と協議する」ことを表明されているわけですが、どういう協議を行うのか、今回の方針に何か変更があるのか、府が何か条件でもつけてきているのか、答弁を求めます。

 今回の統合問題で肝心なことは、青少年センターで行われていた事業がどうなるのか、正規、非正規を問わずにここに配置されていた職員はどうなるのかということであります。青少年センターで実施されている事業については代表質問で「事業のほとんどを廃止いたしております」と答弁しているのですが、今回の統合の措置で、青少年センターで実施されている事業すべてについてどうなるのか、具体的にお答えください。また、今回の統合で正規、非正規を問わず職員配置がどう変化するのか、経費削減額はいくらか、これも具体的な答弁を求めます。

B部落解放同盟支部事務所退去問題について
 次に、3つのいのち・愛・ゆめセンター内の部落解放同盟支部事務所退去問題についてお尋ねいたします。大阪市の支部事務所退去問題での控訴審の和解、すなわち今年9月2日までの退去確定を受けて、本市においても今年3月末までの自主退去を求めたとの答弁がありました。これは文書によるものか、口頭によるものか、その回答はいつまでとなっているのか答弁を求めます。いずれにせよ、新年度は目的外使用の不許可処分をすべきです。答弁を求めます。

C人権センターとその委託事業、各地域人権協について
 次に、人権センターとその委託事業、各地域人権協についてお尋ねいたします。人権センターの委託事業はきっぱり廃止せよと主張してきたわけですが、地域就労支援事業と進路選択支援事業について代表質問では「廃止」と答弁していますが、実際は、人権センターの委託事業からはずれるけれども、形を変えて継続というのが実際のところだと考えます。それぞれどうなるのか、これも具体的な答弁を求めます。また、2つの事業が形式的にでも「廃止」されたわけで、人権センターに残っている事業は何か、答弁を求めます。いずれにせよこうした解同追随路線こそ、同和問題解決の一番の障害物です。寝屋川のように人権協を自主解散する所も出てきています。人権センター及び各地域人権協への補助金や市職員の職務免除の廃止、公の施設からの退去及び解散の働きかけを改めて求めるものですが答弁を求めます。

D各センター実施の相談事業について
 次に3つのいのち・愛・ゆめセンターで実施されている人権相談、総合相談などの相談事業についてお尋ねします。これに関しては「今後とも引き続き実施していく」と答弁していますが相談事業についてどうなるのか、相談員の人員配置では各センター正職員一人、非常勤嘱託員一人の計二名づつの配置だったわけですが、職員配置面ではどうなるのか、これも具体的に答弁を求めます。

E市営住宅について
 次に市営住宅すなわち「同和住宅」についてお尋ねいたします。毎年空き家戸数や滞納件数をお尋ねして、解決せよと求め続けてきたわけですが、改めてそれぞれの数の答弁を求めます。確定した数字で議論したいので平成19年度決算での数字でお願いします。さらに滞納件数については3か月以上の滞納は何件で、最長の滞納年数はどれくらいになるのか、答弁を求めます。更にこうした滞納の中に公営住宅法第19条及び市営住宅条例第21条に基づき家賃等の徴収猶予をしているケースがあるのかどうか、答弁を求めます。

2.緊急雇用対策について

@国からの交付金事業について
 大きな柱の2点目として、緊急雇用対策についてお尋ねいたします。
 まず第一に、国からの交付金事業についてであります。国の一連の「経済対策」なるものの中身は、その大部分が大企業・大銀行への支援策であり、国民・中小企業向けの景気対策の規模はスズメの涙で、「景気対策」としては、的はずれもいいところであります。しかし、たとえ、申し訳程度のスズメの涙であっても地方に交付金事業としておりてきたからには、徹底して市民に役立つ使い方、活用をはかるのは当然のことであります。

 そこで、お尋ねするわけですが、第二次補正において創設された「ふるさと雇用再生特別交付金」と「緊急雇用創出事業交付金」について、2つとも基金は、都道府県で創設され、金額の配分については、雇用・失業情勢が悪化している地域に重点的に配分されると聞いているわけですが、茨木市のそれぞれの配分の限度額はいくらなのか、答弁を求めます。また、この2つの交付金で行う事業の要件はどうなっているのか、それぞれどういう段取りで事業決定されていくのか、答弁を求めます。さらに、茨木市としてどう活用しようと考えているのか、答弁を求めます。

 「地域活性化・生活対策臨時交付金」についてもお尋ねいたします。この交付金の本市の上限額はいくらか、答弁を求めます。こちらの制度は、自治体が作成する「実施計画」の提出期限は2月12日ですので、茨木市においても対応は基本的に済んでいると思います。当然、景気対策や住民要求実現に活用することが求められるわけですが、「インフラ整備などを進めるため」とされているので、ハード、すなわち建設事業に限定されていると解されがちですが、ソフト事業も幅広く対象となりえます。答弁では橋梁の耐震化や歩道整備等を挙げておられましたが、それはそれで大いに結構なのですが、本市においての活用は、建設事業のみなのでしょうか、ソフト事業での活用についても答弁を求めます。また、この交付金は、上限額の3割以内について、基金に積んで新年度の単独事業にあてることもできる仕組みとなっています、本市の場合、そういう対応はされたのでしょうか、また限度額いっぱい活用したのか、それぞれ答弁を求めます。また、この交付金を活用した事業について、実施中の事業あるいは新年度以降に実施を準備していた事業に充当したのか、あるいは新しい交付金が活用できるということで、まったく新しい事業を急きょ計画して充当したのか、本市の場合、どちらなのか答弁を求めます。

 第二次補正予算は、このほかにも中小企業の雇用維持支援や内定取り消し学生への就職支援強化等のおもにハローワーク等が窓口になるだろうと思われる事業、補正では「制度要求」で、09年度本予算で措置されるもろもろの事業もあるわけですが、この中で茨木市におりてくる事業があるのか、また、本市としてこれらの事業にはどう関わろうとしているのか、答弁を求めます。

A市単独の事業について
 次に、茨木市独自の緊急の雇用・景気対策についてお尋ねします。この間、緊急雇用対策として、臨時職員の募集と市営住宅への一時入居相談を実施されましたがその結果について答弁を求めます。また、市営住宅への一時入居相談などは受付期間は2月2日〜13日のわずか12日間でこれでは効果が薄い、現下の経済情勢のもと常時受付に改善すべきでありますが、この点についても答弁を求めます。

 新年度における市独自の雇用・景気対策についてお尋ねします。
 緊急雇用対策は、その性質上、即効果が得られる事業でなければならないのはいうまでもないことです。新年度予算において、そういう基準で期待できる事業ということになれば、市内事業所への正規雇用に対する奨励金交付事業と路上喫煙禁止等のマナー啓発員の雇用ですが、それぞれの内容について、また、雇用創出効果はどれくらいと見ているのか、答弁を求めます。代表質問で指摘したように里山整備や道路・公園の清掃などの公共施設の維持補修事業、市内業者発注・民間住宅リフォーム助成事業の創設など市独自で雇用創出、仕事おこしに即効果が期待できる事業にさらに積極的に取り組むよう求めるものでありますが、答弁を求めます。

 

 


議案第47号 平成21年度大阪府茨木市一般会計予算・組み替え動議賛成、原案反対討論

日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、議案第47号 平成21年度大阪府茨木市一般会計予算について、予算の組み替え動議に賛成し、原案に反対する立場から討論を行います。

 今、景気悪化のもと、大企業は、膨大な内部留保がありながら競い合って非正規労働者の大量雇い止めをすすめ、国・府の悪政がそれに追い打ちをかけるもと、市民の生活は、極めて深刻な状況に追い込まれています。だからこそ、住民にとって最も身近な市政においては、あらゆる手段を使い、市民生活を最大限守る新年度予算編成が求められていました。ところが、厳しい財政状況を口実に、これ幸いとばかりに国・府の悪政に追随した市民犠牲路線に突き進むというのが、今回の予算原案の中身であります。税収面での当初予測との大きな違いは法人市民税の15億円減とたばこ税の3億円減ですが、これとても早期に予測は可能であり、新年度の歳出充当一般財源総額は、約531億円の見込みであり、平成16年度の544億円、平成17年度の541億円と同程度の数字であり、基金の取り崩しや適切な起債の活用があれば、変わらない数字であり、さらに経常一般財源と臨時財政対策債の合計数字の水準は平成17年度と同程度の数字であり、大騒ぎするような数字ではありません。深刻さはありますが過大にいう必要はない、というのが冷静な財政分析であります。
したがって、厳しさは確かにあるわけで、この点で大事なことは厳しいのは茨木だけではないということです。「100年に一度の経済危機」と国が言うならそれにふさわしい市税収入落ち込みを補てんする措置を国に求めるべきです。同時に茨木市自身の問題としては市民の暮らし、福祉を守るためにあらゆる措置を講じたかという点がポイントであり、本予算原案は、とてもそういうものではない、予算の組み替え動議の立場こそ、市民の目線に立った立場であると訴えるものであります。以下、具体的に理由を述べます。

 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第1は、本予算原案が、景気悪化、厳しい財政状況を口実にこれまでの市民犠牲の「行革」を前倒し的に実行する、大幅な市民負担増、市民サービス後退の予算となっているからであります。

 本予算原案では、乳幼児医療費助成の拡充や妊婦健診助成の拡充、小・中学校施設へのエアコン設置などの市民要求が実現する内容もありますが、全体としては、大幅な法人市民税等の減収見込みに乗じて、これまで進めてきた市民犠牲の「行革」を一気かせいに実行するという、「市民の目線」とはうらはらの予算編成であり、市民サービス切り捨ての総額は3億円以上にものぼります。そのやり方も、福祉的、教育的見地から相当な減額あるいは免除していた部分もついに投げ捨てる、あるいは、福祉、中でも高齢者、障害者といった社会的弱者を狙い撃ちにするといった情け容赦のないやり方です。また、こうした制度的見直しばかりでなく、質疑の中で明らかになったように、投資的経費の中でも維持補修費を一律2割削減するなど、予算編成時に削られたものも含めると、相当の額になります。さらに、より一層の公立保育所民営化や小学校学校給食委託化といった市民サービス切り捨ての施策が推進され、「施設利用等の適正化及び減免制度の見直し」など、更にひどい市民犠牲を計画、準備していく予算になっています。こうした市民犠牲強行の言い訳として「持続可能な制度にしなければならない」というようなことをいうわけですが、制度の仕組み、骨組みだけ残っても中身が空洞化してしまっては何の意味もありません。

 予算の組み替え動議では、こうした誤ったやり方を改め、市民生活を守る立場から、歳出面では、施設利用等の適正化及び減免制度の見直し検討の中止や、小学校学校給食委託化促進の中止、身体障害者・知的障害者福祉金削減の中止、在宅寝たきり老人等介護見舞金縮小の中止、ふれあい入浴事業の復活、そして、新年度も国民健康保険料を引き下げるための繰り出しの増額などを求め、歳入面では、公民館講座受講料徴収の中止、小・中学校施設使用料の見直しの中止、公共施設駐車場の有料化の中止などを求めています。

 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第2は、厳しい財政状況といいながら、本予算原案では、彩都や安威川ダム、新名神などの大型開発や不要不急の公共事業の推進、もうやる必要のない同和行政に固執する逆立ち財政運営の予算となっているからであります。

 本予算原案では、市民に対してはがまんを強いながら、彩都開発関連事業では、彩都東部地区も都市再生機構が撤退を決定し、西側もゴルフ場にはばまれる欠陥道路といわざるを得ない都市計画道路「山麓線」整備に固執しています。また、「彩都西コミュニティセンター建設事業」についても、私たちは彩都西コミセン自体の必要性は認めるものでありますが、既存コミセンと整合性のとれるよう、特に土地は無償の所をなど、財政的負担を最小限にとどめるよう求めてきましたが、最小限にとどめるどころか、わざわざ民間企業の所有地を土地開発公社により先行取得するという対応であり、そのことに対する答弁も「関係課と協議したけども無償というのは不可能と認識している」と答えるのみで、まじめに交渉・努力した跡がありません。さらに、市長は全地区における彩都事業の継続を求めていくことを表明したのであります。安威川ダム建設事業においてもダム本体工事が早期に着手されるよう、大阪府に求めていく態度を改めて表明し、「水源地域における広場整備事業等基本計画の策定」など、新たな無駄遣い推進の予算となっています。さらに、阪急茨木市駅東側の茨木鉄筋住宅跡地を使途不明のまま無計画に大阪府より先行取得するなど新たな不要不急の大型公共事業に踏み出そうとしています。

 同和行政の完全終結に関しても、同和行政にかかわる職員の削減などの改善点はあるものの不十分であり、相談事業も再構築のうえ継続、すべての維持補修費が一律2割カットを強いられる中で、市営住宅の維持補修費だけは、新年度も含めここ数年、一貫して増額され、右肩上がりになっているなど、同和優遇が温存されているといわざるを得ません。

財政状況が大変だというなら、本来、こうした見通しのない大型開発、不要不急の公共事業、もうやる必要のない同和行政こそ真っ先に見直すべきであり、まさに逆立ち財政運営の予算と言わざるを得ません。

組み替え動議では、そうした立場で、山麓線整備事業や安威川ダム・新名神推進事業、阪急茨木市駅前用地の利用検討、同和人権関係補助委託料等の減額を求めています。また、今のやり方は中止し、仕切り直しする意味で、彩都西コミュニティセンター建設事業の減額を求めています。

 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第3は、厳しい財政状況といいながら、大手企業関連、彩都関連の商工予算では大盤振る舞いで、この点でも逆立ちしているということです。

 本予算原案において、事業効果が極めて薄い、大手企業優遇策である企業立地奨励金については、答弁でも「企業等の状況を勘案して予算をお願いした」と答えているように、この厳しい財政状況のなかでも2億7,800万円と、前年度当初予算対比で3千万円も増額しています。さらに彩都関連のバイオインキュベーション施設賃料補助事業は約3千万円、バイオインキュベーション施設集積促進事業は約2千万円の予算となっています。同じ商工予算でも、商店街活力アップ事業は3百万円、小売店舗改築改装助成事業は4百万円、創業促進事業は7百万円と、地元経済・地元商工業向けの事業は、百万円単位の事業しか組まないにもかかわらず、大手企業、彩都関連、バイオ関連になると億、千万円単位の事業を組む、この点でも原案は逆立ちしており、茨木の商工予算を非常にゆがめていると指摘するものであります。

 組み替え動議では、そうした対応をただすため、企業立地奨励金、バイオインキュベーション施設賃料補助事業、バイオインキュベーション施設集積促進事業の減額を、そして、仕事おこしとして、産業活性化緊急支援事業として市内業者発注・住宅リフォーム助成制度の創出を、歩道整備、バリアフリー化等推進、道路舗装・道路簡易舗装事業といった生活密着型の公共事業の増額を求めています。

 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第4は、厳しい財政状況といいながら、財源確保のためにあらゆる努力をしたとはいいがたいからであります。

 私たちは、今の経済危機のもと、基金の取り崩し、地方債の適切な活用、普通財産の処分検討などあらゆる方策をたどって財源確保に努力すべきであることも訴えました。特に基金の取り崩しでは「財政調整基金」はもちろん、「衛生処理施設整備等基金」についても衛生環境センター維持補修事業7億円にその一部を取り崩して充当することを提案しましたが、答弁では「大変不透明な財政運営という形なので考えていない」とかたくなに拒否する答弁でした。しかし、基金取り崩しまでは考えられないというのであれば、せめて、新年度基金積み増しは中止すべきです。衛生処理施設整備等基金の積み増し2億円、文化施設建設基金の積み増し1億円を中止するだけでも今回の市民犠牲、制度見直しは回避できるのであります。あらゆる財源確保の手段を使い、市民の暮らしを守るという点でも本予算原案は不十分であると指摘するものです。

 最後に、本予算原案のような大幅な市民負担増、市民サービス後退に対し、大企業の撤退もあり財政が大変だからと、東芝、サッポロビールといった大企業の撤退を理由の一つにあげるという議論が、本議会の中でもありました。しかし、質疑を通じて、東芝、サッポロビール撤退による法人市民税の平成20年度の影響額はわずか、6百万円に過ぎないことが明らかになりました。確かに社会的影響の大きい大企業の撤退というのは深刻な問題であり、対策が必要です。しかし税収面に限っていえば過大にいうのは間違いであり、ましてや撤退問題を市民負担増、市民サービス後退の言い訳にするなどという議論は、本当に無責任であるということも指摘しておくものであります。

 以上、大きく4点にわたり組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由を述べました。組み替え動議の立場こそ、市民本位の財政運営であると重ねて訴え、討論とさせていただきます。

 議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。