物価に見合う年金引き上げを求める意見書(案)

 昨年来の消費者物価の高騰は、原油価格などの低下により一定、沈静化したかに見えるが、依然、高止まりの状態である。政府の消費者物価統計は、上昇を続ける税・社会保険料が含まれず、価格低下を続けている家電やIT機器が含まれるなど、庶民、特に高齢者の生活実態を正しく反映したものではない。
 高齢年金受給者の生活は、物価上昇に見合う年金額の引き上げがなければその水準を維持することができない。しかるに政府は、昨年の消費者物価上昇率から、過去の「年金引き下げ保留分(1.7%)」を相殺するとして、今年4月からの年金額を、物価の上昇に見合った引き上げをせず、据え置いた。公的年金控除、老年者控除の縮小、廃止、定率減税廃止や国保、介護保険料など社会保険料増で実質的な可処分所得が急減している高齢者、特に低額年金者、無年金者の生活は深刻な状況となっている。
 年金の目減りが高齢者の将来不安を増大させ、地域住民の購買力減退となり、不況を深刻にし、自治体財政を逼迫させ、日本経済、特に地方経済に甚大な打撃を与える重大な要因の1つになっている。
 この悪循環を断ち切るためには、国民所得の10%を超える年金を目減りさせず、高齢者の生活を保障して将来不安を取り除くことである。
 よって、本市議会は、国及び政府に対し、下記の事項について、強く要望する。

1.2009年度年金改定で年金額据え置きとされた措置を改め、ただちに緊急措置として一律3%年金額引き上げを行うこと。
2.その際、無年金者・低額年金者に「生活支援金」を上乗せして行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成21年6月18日
大阪府茨木市議会

※09年06月18日賛成少数で否決                     


後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書(案)

 多くの国民、関係者からの批判がありながら強行実施され、1年余り経過した後期高齢者医療制度(以下、「制度」とする)は、ますますその矛盾を露呈し、悲劇をも生み出してきている。
 多方面からの「制度」についての指摘を受けた現厚生労働大臣は、「制度」の抜本的見直しを表明している。また、昨夏、参議院で「制度」を廃止する法案が可決され、衆議院に送付されていることは周知のことである。まさに憲政上まれに見る事態であり、「制度」が「人を大切にする」憲法の趣旨を逸脱していることを示している。
 しかし、この「廃止法案」は、ほとんど衆議院では審議が手つかずの状況で、国民の願い、高齢者の願い、そして参議院の「意志」にこたえていない状況である。
 昨年4月の同制度実施以来、医院、病院で診察を受ける後期高齢者の人数は減少してきていることが明らかになっている。また、本市内の75歳以上の高齢者の「後期高齢者医療保険料普通徴収」の「滞納者」がふえ続けている事態も憂慮される。従来の健康保険制度では、「滞納の高齢者」は「保険証のはく奪」はなく、医療が保障されていたが、この「制度」では、滞納1年を過ぎれば、保険証がはく奪される仕組みになっている。
 歳を重ねれば病気にかかりやすくなるのは当然である。年齢のみで別枠の「不十分な医療制度に高齢者を囲い込む世界に例を見ない」この「制度」には、75歳以上の高齢者を医療機関から遠ざける「うば捨て制度だ」という批判があるのは当然である。
 世界第2位の経済大国日本で、国と企業が十分な負担を行い、高齢者が安心して医療が受けられるよう法的措置をとることは可能である。
 よって、本市議会は、国及び政府に対し、下記事項の実現を強く要望する。

1.後期高齢者医療制度は、撤廃すること。
2.70〜74歳の窓口負担の2割への引き上げをやめること。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成21年6月18日
大阪府茨木市議会

※09年06月18日賛成少数で否決                     


新型インフルエンザの感染防止対策等を求める意見書

 新型インフルエンザの感染拡大がオーストラリアなど南半球でも確認されたとして、6月12日未明、WHОは警戒レベルを最高水準の「フェーズ6」に引き上げ、世界的な大流行(パンデミック)の発生を宣言した。
 我が国においても、感染者は24都道府県で600人を超え、今後、さらに感染が拡大することも懸念されている。
 よって、本市議会は、国及び政府に対し、国民の安全・安心を確保するとともに、不安解消のため、下記の対策に全力を挙げて取り組むよう強く要望する。

1.感染ルートの解明に全力を挙げるとともに、感染拡大防止対策の強化を図ること。
2.国民への正確な情報提供に努め、相談窓口の充実を図り、風評被害防止のための対策に努めること。
3.新型インフルエンザ対策に取り組む地方自治体に対し、十分な財政的支援を行うこと。
4.危機管理の最前線となる保健所の医師をはじめ専門職の確保など、対応体制拡充のための財政支援を行うこと。
5.発熱外来を開設する医療機関等に対する支援を行い、診察に当たる医師等が感染した場合の補償制度を創設すること。
6.まん延期において発熱外来のみでは対応が困難であることから、原則として、すべての医療機関において対応できるよう、国において早期に方針を示し、検査キットや感染防護装備、タミフル等、抗ウイルス薬など、十分に提供できるよう支援するとともに低所得者世帯への医療費負担軽減を図ること。
7.季節性インフルエンザワクチンの製造準備に加え、新型インフルエンザの予防用ワクチンを早期に開発・製造すること。
8.行動計画の運用を見直し、都市機能への影響を最大限に配慮しつつ、国民生活に支障を来さぬよう努めること。
9.保育所の臨時休業で託児できずに休業せざるを得ない従業員への不当な処分の防止と母子家庭の保育の確保を講じること。
10.新型インフルエンザの感染拡大に伴う国民生活や経済活動の制約によって生じる経済的な損失補償を検討すること。
11.最前線になる市町村が迅速に対応できるように、国、都道府県、市町村の情報の相互連携について検討すること。また、個人情報保護法の例外事項の規定と取り扱いについて再度、周知徹底すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 平成21年6月18日
大阪府茨木市議会

※09年06月18日全会一致で可決