2010年3月26日(日) 日本共産党市政報告 bS70

2010年3月定例市議会報告

 

大型開発とハコモノ建設止めて
市民の暮らしと学童保育指導員の雇用を守れ!

 

 3月定例市議会は、さきの総選挙の国民の審判を背景に誕生した鳩山新政権が、悪政継続の姿勢を顕著化させているもと、住民に最も近い市政が暮らしと雇用を守るため最大限の手立てをどうとるかが問われた議会でした。日本共産党茨木市会議員団は、市民に負担ばかり押し付ける現市政に対して具体的、建設的提案で市民要求実現のため全力で奮闘しました。


自民・民主・公明など 
高齢者・障害者の市単独医療費助成制度削減等
一層の市民犠牲を強行

 市は09年度において、約3・5億円にも及ぶ市民負担増・市民サービス切り捨てを強行しましたが、10年度は「ビルド・アンド・スクラップ」などと称して、大がかりな市民犠牲路線に突き進みました。

 市は「財政危機」を言いますが、結局、09年度も10数億円の大きな黒字になるため、年度末に約5億円の用地取得と4.5億円の財政調整基金を積み立て、「黒字隠し」をはかる状況です。

 党市議団は、こうした黒字は次年度に繰り越し、「暮らし」、「福祉」、「教育」の充実に回すべきと要求しました。

 茨木市は「97年度に比べて、70億円も市税が減少している」と宣伝していますが、トータルの経常一般財源総額では29億円の減だけで、しかも職員人件費は35億円も減らしており、明らかにタメにする宣伝です。ようするに「ビルド・アンド・スクラップ」とは、大型開発やハコモノ建設を続けるために、暮らし・福祉・教育を犠牲にするものに他ならないことがあきらかになりました。

 

みなさんと力をあわせて実現できた主なもの

   ○小学校普通教室にエアコン設置(10年度と11年度の二カ年計画)
   ○妊婦検診公費負担初回助成を2千円増額(7千円→9千円)
   ○病児保育の実施(定員6名、済生会病院に委託)
   ○学童保育の年末年始休会日の短縮、お盆休会日の廃止、土曜と長期休業期間の朝45分拡充
   ○私立保育園での放課後小学校低学年児童受け入れ拡充(5園)
   ○知的障害者相談支援事業所の増設
   ○障害者自立支援法改正による影響緩和のため、障害者地域活動支援センターV型事業を実施
   ○認知症高齢者院内介助を新たなサービス対象に
   ○血液検査による胃がん検査を実施
   ○乳がん、子宮頸がん検診自己負担を年齢により無料化
   ○府基金を活用して、緊急雇用22事業127人を創出
   ○市内業者のため小規模工事等予算を2億円増額
   ○10%プレミアム付商品券を発行
   ○授業力向上指導員配置とスクールソーシャルワーカーを増員
   ○小中学校の耐震補強、エレベーター設置等施設整備の推進

 

市民犠牲を財源に、彩都・安威川ダム・新名神関連事業や阪急茨木市駅東口府営住宅跡地買収などを推進

 彩都開発では凍結していた中部地区開発を何が何でも強行しようと、用途地域を「第二種住居地域」から「準工業地域」に変更し、それにともなう「彩都地区計画」の変更も強行し、関連道路整備の山麓線第二工区整備事業に全体工事費として約2・3億円も予算化しました。

 阪急茨木駅東口前府営住宅跡地についても、使用目的も曖昧なまま、約18億円をかけて購入し、商業ビルを建設しようとしています。また新年度予算においては、当面の土地利用のためだけに駐車場駐輪場整備として約1億円を予算化しました。

 市民会館建て替えについても、事業着手時期不透明なまま、今回新たに2億円も積み立て、合計11億円としています。

 また、事業効果が極めて薄い、大手企業優遇策である企業立地奨励金に約2.9億円も予算計上しています。市は雇用波及効果があると該当企業10社に対する調査を持ち出しますが、これは単なる一部分の聞き取り調査であり、同じ奨励金を出すなら正規雇用を増やす直接効果が期待できる「正規雇用促進奨励金」のような施策に重点を移すべきと主張しました。

 党市議団は、市民に我慢を強いながら、大型開発関連事業、不要不急の施設建設費などは「聖域化」し、放漫財政を続けるこうした逆立ち予算を厳しく批判しました。

 

新たな解同優遇策を止めよと追及

 解同優遇行政の是正については、共同浴場や診療所、老人憩いの家の廃止などの改善点はあるものの、いのち・愛・ゆめセンター(旧解放会館)を独占的に使用している解同系NPO法人の優遇是正は進んでいません。それどころか沢良宜愛センターでは法的問題をクリアさせるため、指定管理者制度を使ってほぼ同様の事業を継続させるという対応をとり、「沢良宜と総持寺老人憩いの家(間)」については、「街かどデイハウスとして事業者に貸与する」としたため、「新たな優遇策やめよ」と批判しました。

 

4 国保料の一層の引き下げと高齢者医療制度の速やかな廃止を!

 今年も「国保制度をよくする茨木連絡会」より、約2万筆の「国保料の引き下げ等を求める請願署名」が提出されたこともあり、新年度の国保料は昨年度と比較すると均等割額と平等割額が引き上がったものの、所得割率が引き下げられたために8〜9割の加入世帯が少額ですが引き下げとなる見込みです。しかし市議会ではこの請願署名を自民・民主・公明の議員が反対し、不採択にしたため、一層の引き下げは実現できませんでした。

5府と市の水道会計黒字還元は公平に下水道料金の大幅引き上げ止めよ!

 茨木市水道会計は多額の黒字を計上しています。大阪府も同じ理由で黒字があります。そこで茨木市は料金改訂を6月議会提案・議決、10月から実施予定です。ところがその内容は大量使用者の料金は大幅に引き下げる一方、そのしわ寄せを単身家庭など少量使用者の料金に負わせる、つまり黒字還元(=料金引き下げ)を利用して、大口と小口の負担割合を変えてしまおうというものです。こんなやり方は止めさせ、黒字還元は「公平」に実施させましょう。一方、下水道料金は、財政危機を口実に平均20%の引き上げを同じく6月議会に強行しようとしています。今回、答弁でこの引き上げの影響額(増収額)は、年間「約6.3億円」にも及ぶことが明らかになりました。

 

6公共施設使用料改悪を計画

 茨木市は「受益者負担の適正化」などを理由に、公共施設使用料の有料化、大幅引き上げ、減免制度廃止・縮小を6月議会提案・議決、10月実施で進めています。 地方自治法では「公の施設とは住民の福祉増進のための施設」とし、使用料は「徴収することができる」と規定しています。即ち、規定では、通常の解釈としては「公の施設」の使用料は「無料」が原則。場合によっては「徴収しても差し支えない」という意味です。したがって市民のための公共施設が「高すぎる使用料」や「減免制度の廃止・縮小」のため利用を控えなければならないとしたら本末転倒です。また市は「住民は使用料も含めてその負担を分任する義務を負う」していますが、「分任」とは平等に分けて負担に応ずる意で、分け方は必ずしも均分を意味するものではない」と言うのが適正な解釈です。したがって、使用料は法律を根拠として制定される各種規程の定めるところにより決定するものです。さらに減免全廃を検討している市民会館、福祉文化会館、クリエイトセンターについては「3館共通の減免適用団体は約600団体」にのぼることが明らかになりました。

7今年も予算組み替え動議を提出

 今回提出した一般会計予算の組み替え動議は、彩都や安威川ダム関連予算、阪急東口前府営住宅跡地関連事業や市民会館建て替え基金積み立て、企業立地奨励金の他に、彩都限定のバイオインキュベーション施設賃料補助事業や同和人権関係補助委託料等、小学校給食業務委託料などの合計約12・8億円の予算の減額を求めるとともに、一方で、09年度市民サービス削減分の復元、高齢者・障害者医療費助成等市単独分継続、小学校給食の直営継続の合計約3.3億円の予算の増額を求めました。(詳しくはこちらのページをご覧ください。)


新年度も公約実現のため皆さんとともにがんばります

  

市会議員 あじち洋子

市図書館の直営堅持を

 「日本一の図書館をつくる」ことを目指し、市民と市、関係者が一体となって、現在の茨木市の図書館行政の姿を作り上げ、人口20万から30万人未満の都市では、貸出数は全国第1位、蔵書数は全国第2位と、市民の読書や文化を創る拠点として根付いている現状を踏まえ、今後も市の直営を堅持するよう求めました。教育長は「指定管理者制度の導入については、他市の動向を注視しながら研究していくが、現時点では考えていない」と答弁しました。

 

市会議員 朝田みつる

任期付短時間職員制度導入による学童保育指導員の事実上の「雇い止め」やめよ

 任期付短時間職員制度を学童保育指導員に導入し、ベテラン現役指導員など16名を不合格にした問題で、「期待権」の侵害にあたり、指導員には専門性・継続性があり、現役指導員の雇用確保を求めました。市は「新制度導入に伴う、職の廃止の通知をしているので期待権は発生しない」などと答えました。

 

市会議員 畑中たけし

医療費の窓口一部負担金減免制度の積極的活用を

 国保加入者が災害や失業等で経済的激変を被った場合、国保料の市独自減免や窓口一部負担金減免を受けられることがあります。どちらも同様の条件で適用される規定にもかかわらず、保険料減免は平成21年度の適用は673件、一方で窓口負担減免は0件です。市民への周知を徹底して制度利用を抑制しないよう求めました。市は「今後とも適切に対応していく」とだけ答えました。