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[阿字地洋子] 平成23年9月定例市議会 本会議質疑
◎議案第61号 平成23年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号)
   ○茨木市の財政運営について
◎議案第61号 平成23年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号):平成23年 9月 2日


議案第61号 平成23年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号):平成23年 9月 2日
(阿字地一問目) それでは、茨木市の財政運営について、お尋ねをいたします。
 大きな1つ目として、22年度、すなわち昨年度の財政運営について、お尋ねいたします。
 22年度決算は、昨年を上回る7.7億円の黒字を計上しました。特に歳入面、とりわけ歳出に充当する一般財源総額の状況は劇的に改善されました。当初予想からふえた財源が市民サービスの充実に使われたのかどうか、ただただ財政の健全性が優先されて使われたのではないかを検証する必要があると考えています。
 そこで、第1に、歳入全体の当初予想増の内容とそれが何に使われたのかをお示しください。また、当初予想から歳出に充当する一般財源総額の増の内容と何に使われたのか、その費目と額をお示しください。
 第2に、22年度の予算編成方針、企画財政部長通達では、政策推進プラン採択事業実施には28億円の一般財源が必要、経常一般財源の余剰財源は約19億円、したがって9億円が不足しているとしています。結果的にはどのような措置をとったのか、お示しください。
 大きな2つ目として、23年度、すなわち今年度の財政運営について、お尋ねいたします。
 同じく23年度の歳入全体も当初予想より現在でも約53億円の増となっています。充当一般財源総額では約12億円の増を見込んでいます。それぞれの増の内容と額をお示しください。特に、充当一般財源総額で約12億円の増は、相変わらず普通建設事業の積み増し約7億円と基金積み増し約4億円に主として使われようとしているのではありませんか、お尋ねいたします。LED照明推進事業なども含まれていますが、毎年同じような財政運営です。見解を求めます。
 また、年度末までには、市税収入の現在の予測439億円からの増が見込まれます。見通しと見解を求めます。
 また、用地取得と基金積立、起債の発行抑制と判を押したような財政運営が見込まれます。根本的な転換を求めますが、見解を求めます。
 1問目、以上です。

[楚和企画財政部長] 平成22年度及び23年度の財政運営について、ご答弁申しあげます。
 まず、平成22年度における当初見込みからの歳入全体の増につきましては、繰越金、普通交付税の交付、市税収入の増、事業実施に伴う国庫補助金の追加などによるものでございます。その使途につきましては、小・中学校の耐震化、生活保護費の追加及び予防接種事業の実施などの市民サービスの充実に努めるとともに、将来の財政負担を考慮の上、財政調整基金繰入金の取りやめ、市債発行の抑制、土地開発公社保有資産の買い戻しなど、財政の健全性の確保に活用いたしましたところでございます。また、歳出充当一般財源総額の増につきましては、建設債の発行を抑制したことにより、普通建設事業費が27億円増となっております。
 次に、平成22年度予算編成における財源不足の解消についてでございますが、歳出における徹底した経常経費の抑制、また既存事業の見直しと財政調整基金の活用により、市民サービスの充実を図る政策事業予算の財源の確保を図ったところでございます。
 次に、平成23年度におけます当初見込みからの歳入全体53億円の増の内容につきましては、前年度からの繰越金で49億円、普通交付税で11億円の増、市債で6億円の減などであります。歳出充当一般財源の増につきましては、今回、補正予算で予算措置をお願いしております生涯学習センターきらめきをはじめとする公共施設の照明機器のLED化の推進、またJR茨木駅周辺整備事業費等で1億7,000万円を追加するものでございます。また今後の行政需要の対応、また建設債の発行を抑制というふうに考えております。したがいまして、充当一般財源の使途につきましては、市民サービスの充実施策と後年度の財政負担を考慮した健全な財政運営に資するものと考えております。
 次に、平成23年度の市税収入の見込みでございますが、現時点では、ほぼ当初予算どおり推移するものと考えております。
 最後に、現行の財政運営の転換ということでございますが、行財政運営に当たりましては、常に財政の健全性の確保に努め、市民福祉の充実と行政水準の向上を図ることが地方公共団体の基本的な使命であると考えております。また、地方公共団体の基本的な使命は永遠に続くものでございますので、健全な行財政運営とは、単年度限りではなく、長期的な視点に立って、後年度の財政負担に十分配慮しながら進めていかなければならないと考えております。したがいまして、年度当初から歳入において増加があった場合は、後年度の財政負担を考慮の上、財源を留保することが肝要であると考えております。その方法としまして、基金への積み立て、市債発行の抑制、土地開発公社保有資産の買い戻しなどを行うことであり、今後とも、これらの方法を適切に活用し、健全な行財政運営に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(阿字地二問目) 2問目の第1に、歳入全体及び充当一般財源の当初予想増の内容と、それが何に使われたかについてです。
 歳入全体の当初予想増は、市税、臨時対策債、国庫支出金、地方交付税、府支出金、財産収入、その他で、合計59億円を超えています。また、ここから事業債の減額が25.5億円されまして、差し引きまして、実に約34億円になっています。特に、当初予想から歳出に充当する一般財源予想額の純増は約14億円です。増減の内容は人件費、物件費、繰出金で18億円減です。普通建設事業、扶助費、基金積立で32億円増です。結局、一般財源総額の増は、普通建設事業、とりわけ総持寺駅周辺用地の買い戻しと都市計画道路用地取得、駐車場・道路用地、浄水場跡地で約16億円と基金の取り崩し中止と積み増しで約14.4億円ではないでしょうか。これでは、せっかくの歳入増のほとんどは、市の言ういわゆる財政の健全性優先となり、すなわち大規模プロジェクトに備える財政運営と言わざるを得ません。改めて見解を求めます。
 また、茨木市は22年度も約7.7億円の黒字を計上しました。しかし、当初予算見込みから見ると、今述べたように、補正による道路用地の取得と買い戻しで約16億円、財政調整基金の取り崩し中止と積み増しで約14.4億円、事業債発行の減額で約25.5億円を含めると、実質的に約63億円の黒字になったのではありませんか、見解を求めます。
 第2の予算編成方針の問題、9億円不足に対してとった措置等についてですが、22年度は医療費単独助成削減、下水道会計への繰り出し削減による料金引き上げなど、市民負担をふやし、市民サービスを切り捨てました。結局、市民負担の増と市民サービス切り捨てがあったのでありませんか、お尋ねをいたします。
 また、市は、市税収入の落ち込みと低迷を大宣伝していますが、市税収入は平成19年度から22年度の4年間平均で、平成15年度から18年度の4年間平均に比べて29億円増と着実に回復しています。また、市税を含む経常一般財源でも7.9億円増となっています。一時に比べて、かなりの好転と見るべきではないでしょうか、お尋ねをいたします。
 茨木市はいつも市債残高、特に臨時財政対策債等の残高を、今後の財政運営を圧迫する要因となると主張しています。しかし、臨時財政対策債等を含む市民1人当たりの地方債現在高は、北摂7市の中で3番目に低いランクです。もっと客観的に言うべきではないでしょうか、お尋ねします。
 あわせて、減税補てん債、臨時財政対策債を赤字補てん債と呼び、臨時財政対策債の発行を続けたことにより残高は大幅に増加しておりますので、今後の財政運営を圧迫する要因となりますと、制度の仕組みを曲げて、誤った主張で市民に説明するのは正しくないと指摘するものですが、見解を求めます。


[楚和企画財政部長] まず、一般財源の使い道ということでございますが、まず、その使い道につきましては、普通建設事業というところに確かに充当しております。その充当というのは、当初、起債の発行ということを予定しておりましたので、起債の発行の取りやめということで一般財源が普通建設事業においてふえているのではないかと。事業費自体はそれほどはふえてないということでございます。これは健全化に資するということを目的として実施しております。
 中身といたしましては、普通建設事業の中で取り組んだ事業といたしましては、学校施設の耐震化、これは学校においても、また市民の方からも最も望まれている事業でございますので、こういうことに重点的に取り組んでおります。また、道路・街路事業につきましては、本市の東西交通の基幹であります松ケ本線、こういうところの事業の推進をするという目的で道路・街路事業に充当ということをしております。
 次に、実質的な黒字ということで、大きい数字をおっしゃっていただいたわけですが、黒字というのは歳入歳出、結果のところで出てくるものでございますが、形式収支とかいう、そういうことでとらえるんじゃなしに、実質的な黒字というのは事業も実施し、その結果としての純繰越金、これが実質的な黒字になるんではないかと思っております。ですから、その結果としての形式収支から翌年度へ繰り越す分については除いたり、そういうことの結果になりますので、今回、黒字の額といたしましては7億7,000万円が実質的な黒字というふうに判断しております。
 次に、3番目の市民負担の増ということでございますが、これは決してそういうことではございません。すべての福祉の関係、教育の関係、適切なサービスの水準、こういうことに視点を当てながら適正に見直しを行っているということでございます。ですから、扶助費等につきましても、個人給付というところに視点も当てながら、またセーフティネットという視点も当てながら、福祉事業については見直しというところを適切な形で行っております。その見直しの財源は、また適正なサービスを実施するための見直しというふうに考えております。
 次に、4点目、市税収入の関係でございますが、市税収入というのは一般財源の約8割を占めるというところの部分でございます。この部分の減少というのは、本市財政運営を進めるに当たって、非常に根幹的に影響を及ぼすものでございます。過去からの経過を見ますと、減ってきているのはそういう状況でありますので、一般財源に占める割合が高いことも含めまして、やはり市税収入の減りというのは大きい影響があるのではないかと思っております。
 次に、臨時財政対策債の関係でございますが、北摂7市との比較で数字的には3番目ぐらいということで、客観的な判断が必要ではないかということでございましたが、これは交付税の振りかえで発行を許可されている部分でございます。
 これらにつきましては、各市それぞれでございますので、その財源を活用するところ、また活用しないところもございます。例えば、摂津市でありますと市税収入が非常に多いと、こういうところは発行を控えているんではないかと思います。本市にとりましては、やはり市税収入が根幹となっておりますので、その減少分については、22年度からはまた交付団体になりましたが、それまでは一定、財源の確保という観点から臨財債の発行ということを実施しましたので、その辺についてはやはりふえていくということは、将来的にも償還ということが義務づけられますので、財政運営の圧迫になるんではないかというふうに考えております。
 以上でございます。


(阿字地三問目) それでは、3問目は市長にお尋ねをいたします。
 臨時財政対策債の返還については、国が基準財政需要額に算定し、地方交付税等で見るという制度になっています。こうした制度になっていることを市民になぜ説明しないのか、その理由をお示しください。将来の償還という言葉が今出ましたけれども、それも含めて地方交付税で手だてされているのではありませんか。もし不交付団体になったときは、それなりの市税収入があるというときになるわけですから、きちっと財政的保証があるということです。
 次に、平成22年度の決算の概要、これですね。主な財政指標では、茨木市は依然として厳しい財政環境の中、市民サービスの充実と財政の健全性に努めたとして、具体的には、「市税収入が減少し社会福祉経費が増加する厳しい財政環境の中で、徹底した事業見直しや経常経費節減への取り組みと普通交付税の交付等により、“小中学校施設の耐震化”、“子育て支援及び健康福祉施策の拡充”、“学校教育環境の充実”、“都市基盤整備の推進”、“地域経済の活性化”などの市民サービスの充実と市債発行の抑制や基金への積立、土地開発公社保有資産の買戻し等の財政健全性の確保に努めました。その結果、経常収支比率等の財政指標の改善が図られました」としています。確かに小・中学校施設の耐震化や子ども医療費助成の拡充、商品券の発行等がありましたが、一方で医療費単独助成削減、下水道会計への繰り出し削減による料金引き上げで市民サービスを大きく後退、切り捨てたのではありませんか、お尋ねします。
 また、市債発行の抑制や基金への積み立ては大規模プロジェクトに備えるためではありませんか、お尋ねをいたします。
 市は、財政調整基金は災害等の予期せぬ事業や急激な財源不足に備える、法令で設置を義務づけられている基金ですと制度説明をしていますが、茨木市の実際の使われ方は大規模プロジェクトに備えるためではありませんか、お尋ねをいたします。
 また、土地開発公社保有資産の買い戻しとは、国・府の方針転換によるツケを払っただけで、国・府のプロジェクトによる土地の先行取得は、山麓線をはじめ、もうやめるべきではないでしょうか、お尋ねいたします。
 結論的に、経常収支比率の低下は公共事業の用地買い戻しと取得、優先性の低い道路建設を進めた結果で、成果を自慢する内容ではありませんか、お尋ねをいたします。
 さらに申しあげますと、今、深刻な格差社会を生み出している国政のもと、地方公共団体の行財政運営のあり方は将来を見据えてということですが、経常収支比率を低くするということは財政の健全性に努めたと胸を張って言えることでしょうか。投資的経費をひねり出すため、本来、市民のためにどうしても経常的に必要な経費を無理無理圧縮させ、市民の窮状に目を閉ざし、悲鳴に耳をふさぐ財政運営と言わねばなりません。また、少子高齢化がさらに進行している現在、時代おくれの不毛な財政運営は方向転換が求められております。
 以上、市長の見解をお尋ねいたします。


[野村市長] 各方面からのいろんな質問をいただいておりますが、まず初めに、臨時対策債の交付税算入になっているのを、なぜPRしないかということでございますが、臨時対策債を借りますと決して償還はしなくていいということではございませんので、交付税は交付税の制度として、その単なる算入になっているということでございます。
 次に、平成22年度の厳しい市税収入、また財政の健全性を確保するために下水道料金ということでございますが、御存じのとおり、市税収入は決して増加しているわけではございませんで、減少傾向にございます。そして、茨木市の将来の発展を確保するためにも財政の健全性というのは、まず地方財政を運営する基本でございますから、それに向かって努力するのは通常のことだと考えております。
 また、市債発行の抑制、あるいはプロジェクトに対応するのではないかというようなお話もございますが、これは市債発行が抑制できるものなら、できるだけ抑制するのが私は好ましいと思っております。その結果が本市の将来の発展に役立つということであれば、十分、それは意義のあることではないかと思います。
 それから、経常収支でございますが、経常収支はあくまでも財政の柔軟性を図る指針でございますから、経常収支が低いから、高いからということでございますが、経常収支は高ければ高いほど柔軟性がないわけでございますから、その財政運営につきましても厳しさが増してまいります。また、経常収支がたまたま、ここ一、二年は減っておりますが、これは交付税の交付を受けたりする、いわゆる分母が大きくなった結果、そういう形になっておりまして、決してその内容が経常収支の内容として健全かといいますと、まだまだ十分留意する方向があると思います。
 それと、そういった財政運営についてのことでございますが、どういった財政運営をせえということを言っておられるのかよくわかりませんが、少なくとも現在の行政の水準を上げ、そして将来の茨木市を見据えて財政運営はしていくべきであるとの考えで運営しているところでございます。
 以上でございます。