2011年10月2日(日) 日本共産党市政報告 bS76
2011年9月定例市議会報告
10年度決算=普通会計7.7億円
国保会計1.6億円
介護保険会計2.4億円の黒字を計上
大規模プロジェクト推進より市民のくらし優先の財政運営へ
9月定例市議会が9月2日から22日までの会期20日間で開催され、昨年度の各会計決算認定と今年度の補正予算を審議するとともに、「年金制度の改善を求める意見書」等の採択も行われました。党市議団は、すべての審議を通じて、市民犠牲を推し進め、大型プロジェクトに備えた財政基盤づくりにまい進する行財政運営を転換せよと迫りました。
「後年度の財政負担の軽減」と称して56億円を支出!
10年度決算は、普通会計の実質収支は約7・7億円でしたが、本来ならば約63億円の黒字でした。茨木市の歳入は10年度から地方交付税交付団体となることで21・4億円をはじめ、大きく好転しました。しかし好転した歳入を市民に還元するのではなく、将来の大規模プロジェクトに備えて「後年度の財政負担の軽減」と称して道路等の用地の取得や積立金の積み増し、市債発行の抑制などのために56億円も支出しました。また一方で市民サービスを切り捨てて、老人・障害者医療市単独助成削減、下水道会計への繰り出し減額による料金引き上げを強行しました。市は税収の落ち込みを大宣伝していますが、税収は着実に回復しており、財政危機を強調して「受益者負担の適正化」をスローガンに市民犠牲を押しつける道理はありません。党市議団は増えた財源は少なくとも大半は翌年度に繰り越して市民要求に応える施策実現にあてるべきと追及しました。
昨年度、みなさんと力を合わせて実現できた主なもの
○小学校普通教室エアコン設置
○妊婦検診公費助成初回2千円増額
○病児保育の実施(済生会病院に委託)
○学童保育の年末年始休会日の短縮、 お盆休会日の廃止、土曜と長期休 業期間の朝45分拡充
○私立保育園での放課後小学校低学 年児童受け入れ拡充(5園)
○知的障害者相談支援事業所の増設
○障害者自立支援法改正による影響 緩和のため、障害者地域活動支援 センターV型事業を実施
○認知症高齢者院内介助を新たなサー ビス対象に
○血液検査による胃がん検査を実施
○乳がん、子宮頸がん検診自己負担 を年齢により無料化
○府基金を活用して、緊急雇用22 事業127人を創出
○市内業者のため小規模工事等予算 を2億円増額
○10%プレミアム付商品券を発行
○授業力向上指導員配置とスクール ソーシャルワーカーを増員
○小中学校の耐震補強、エレベーター 設置等施設整備の推進
安威川ダム、彩都開発など大規模プロジェクトは市民の立場で抜本的見直しを
安威川流域全体の治水対策については、橋下知事がダム本体工事着工を茨木市長に伝えたとされています。しかし治水対策から見て、ダムの優先性や安全性について、何一つ府民や流域住民の疑問に答えたわけではありません、いずれにしても自然災害の多発や財政状況からして安威川ダム本体工事着工にはまだまだ紆余曲折があると予想されます。原発と同様にダム依存から脱却して、堤防強化中心の総合治水対策に転換すべきです。
彩都では国文会社の状況、区画整理事業の保留地、仮換地の処分状況を見ても破たんは明らかです。国の財政状況や東日本大震災の影響で国の補助も困難な状況です。赤字を増やす中部地区開発の凍結と中止を強く求めました。
公立保育所8箇所民営化の財政効果7・1億円はでたらめ、実は6・3億円の経費増に
07年度から始まった市内公立保育所8カ所(三島、中条、松ヶ本、郡、水尾、玉櫛、庄、東)の民営化により7.1億円の財政効果があり、子育て予算の増額に回したと市が発表しました。しかしその計算式と数字は明らかに意図的、欺瞞的であり実態を正確に表したものではないと党市議団は議会質疑でも指摘しました。第一に8カ所の民営化による国からの地方交付税額減額分3・9億円を算入する必要があります。第二に正規職員保育士等の退職や配置転換による人件費9・5億円を財政効果として算入することは適切ではありません。この二つの要素を加味した上で、市全体の収支を再計算すると、民営化により市の財政負担は減るどころか、むしろ6.3億円の負担増となっています。こうした茨木市の市民犠牲の「行革」の効果を、でたらめな計算で、さらに強行しようとするやり方を止めさせましょう。
国保制度:加入者一人あたり1万3千円相当の料金軽減のための繰り入れの堅持を
昨年度の国保料は、賦課限度額が63万円へと引き上げ、所得割率が8・19%へ、均等割額が34,680円、平等割額も27,480円へとそれぞれ大幅な引き上げとなり、前年度に引き続きすべての所得層において保険料の負担増が行われました。ところが保険料を引き上げすぎた結果、実質4・2億円もの黒字となるところ、「必要がなくなったから」と年度末に保険料抑制のための繰入金を減らして黒字額を1.6億円に終わらせました。
党市議団は、予算化した繰り入れは減額せず、黒字はそのまま繰り越して翌年度の保険料の抑制に活用して市民に還元すること、また国保当初予算では被保険者一人あたり1万3千円の保険料軽減繰入額を復元・堅持して保険料抑制に努力すべきと主張しました。
水道料は少量使用家庭にさらに値下げを
下水道会計への料金抑制繰入金を復元せよ
10年度決算審査において、水道会計は昨年秋からの料金値下げにより当初試算では5千5百万円の単年度赤字、累積黒字は17.9億円に減る見込みが、実際には値下げしてもなお2.5億円の単年度黒字、累積黒字は20.8億円に積み上がっていることが明らかになりました。今後、大阪広域水道企業団(旧府営水道)の給水原価もさらに下がる見込みであり、一層の値下げも展望できます。引き続き、大口使用者を大幅に引き下げ、小口使用者には逆に値上げという不公平なやり方でなく、市民公平に値下げすることを求めていきましょう。
一方、下水道は、同時期の料金値上げ等により、前年度実績比で、2.6億円の使用料収入の増額であり、諸経費の減もあって3.4億円も一般会計からの繰入金を減額させていることが明らかになりました。党市議団はこのような大型プロジェクトの財源づくりを最優先し、市民生活を更に窮地に追い込むことは許されない、来年度予定されている下水道使用料(再)値上げも中止することを強く主張しました。
意見書、決議採択
『年金制度のさらなる改善を求める意見書』意見書を全会一致で採択
9月議会では4件の意見書採択が審議され、「年金制度のさらなる改善を求める意見書」と「子どものためのシェルターの公的制度化を求める意見書」については日本共産党市議団も賛成して可決されました。
行動力抜群の日本共産党3人で
住民犠牲の市政をきびしくチェックし,
市民の声が生きる市議会に
市会議員 あじち洋子
安威川ダム貯水池周辺地すべりの危険性の究明を
12号台風による紀伊奈良山地部の深層崩壊により多くの人命が失われました。昨年8月に国土交通省が全国深層崩壊危険マップを発表しましたが、茨木市の山地部も「高い」地域と指摘されています。詳細な調査を実施するとともに、ダム津波発生の危険性を指摘しました。市は「重大な問題であるが学術的には未解明」と消極的な態度に終始しました。
市会議員 朝田みつる
JR新駅設置は歓迎だが、駅前周辺地の容積率大幅緩和はすべきでないと主張
フジテック跡地のJR新駅設置について「歓迎だが、これに伴う準工業地域から近隣商業地域への用途変更については、容積率300%では超高層マンション乱立で近隣住民との紛争が多発する可能性がある。現況の200%に据え置くべき」と主張しました。市は「超高層は建たないというふうに理解している」と実態とはかけはなれた答弁に終始しました。該当地用途地域は日照権保護のある住居系が望ましいと考えます。また、質疑の中でJRガード(五反田架道橋)について3.8mにかけかえする予定であることも明らかになりました。
市会議員 畑中たけし
住民の日照権など住環境の保護を
ホテル日航跡地の高層マンション建設計画について、近隣住民の日照権や住環境を守るために市は積極的に対応すべきであり、日照権問題について一切改善に応じられないというかたくなな態度をとる事業者に対しても指導要綱の趣旨に従った誠実な対応をとるよう厳しく指導すべきであると求めました。市は「法律等の基準に適合していれば事業者と具体的な協議を進めていくことになる。事業者に対しては近隣住民の理解を得られるよう十分説明し、対応するよう引き続き指導していく」と消極的な答弁でした。