[朝田 充]平成24年6月定例市議会 本会議質疑

◎議案第41号、一般職の職員の給与に関する条例及び茨木市職員管理職手当に関する条例の一部改正について

◎議案第47号 平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号)
  ○住宅リフォーム助成制度について
  ○職員基本条例について
  ○中学校給食について

[討論]議案第47号 平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号)

◎議員発第15号、尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書について


◎議案第41号、一般職の職員の給与に関する条例及び茨木市職員管理職手当に関する条例の一部改正について
(朝田一問目) それでは、議案第41号、一般職の職員の給与に関する条例及び茨木市職員管理職手当に関する条例の一部改正について、質問いたします。
 本件は、一般職の職員の給料、期末勤勉手当、管理職手当について、特例期間、すなわち平成24年7月1日から平成26年3月31日までの間、3%から10%の減額措置を実施するとともに、常勤の臨時的任用職員に対し、期末割増賃金及び通勤割増賃金を支給するという内容であります。
 最初にはっきりさせておきたいことは、従来から官製ワーキングプアの解消、臨時的任用職員の待遇改善を主張してきた我が党としては、今回の常勤臨時職員の待遇改善、この部分については賛成であります。しかし、公務員バッシングを背景にした今回の一般職の職員給与の減額措置には賛同するわけにはいきません。この立場で順次、質問をしていきます。
 まず第1に、今回の提案の理由であります。私たちは公務労働者の労働条件について、そもそも論でいえば、公務労働者にも労働基本権を付与することこそ我が国の最高法規である憲法の要請するところであるし、世界の流れであると主張してきました。労働基本権が奪われたもとで、その代償措置としてあるのが人事院勧告制度であるというのが国のこれまでの公式な見解であると考えます。
 そうした中、地方政治、地方議会での議論としては、人事院勧告制度も含め、地方公務員法第24条3項、すなわち「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方自治体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」にある法の趣旨を十分に踏まえ、各自治体がそれぞれの要素について客観的に把握し、自主的に決定すべきであると考えます。そうした立場で、これまでこの種の給与等の問題も議論してきたわけであります。しかし、今回の提案は従来の提案と違い、事の是非、客観性というよりも非常に政治性、主観性が先に立っているという印象を受けています。
 そこでお伺いしますが、一般職の現行の給与を最大10%もカットするというのは、議会に提案する以上、それ相当の理由がなければならないと考えます。今回の提案の理由について、答弁を求めます。
 第2に、今回の提案の影響についてであります。本提案により、給料、期末勤勉手当、管理職手当に大きな影響が生ずるわけですが、それぞれの影響額とその総合計について、本年度の影響額と単年度ベースでの影響額について、答弁を求めます。
 第3に、非正規職員への待遇改善についてであります。今回、常勤の臨時的任用職員に対して一定の待遇改善がなされるわけですが、この部分は賛成ですが、気になる点を幾つか質問いたします。
 まず、今回の対象について、常勤の臨時的任用職員の定義を確認のため、答弁を求めます。また、今回対象となる常勤の臨時的任用職員は、全体何人のうち何人おられて、その比率は何%なのか、答弁を求めます。
 影響額についても、期末割増賃金、通勤割増賃金のそれぞれの影響額と総合計について、本年度と単年度ベースについて、答弁を求めます。
 第4に、マニフェストとの関係についてであります。マニフェストへの対応については、施政方針で表明されたとおり、プロジェクトチームをつくって、10月上旬をめどに具体策や工程等を決定するということですが、この問題は、そうした段取りから外して6月議会即提案となっているのはなぜか、その理由について、答弁を求めます。
 第5に、労使の合意についてであります。こうした案件の場合、労使交渉合意も重要な要素であることは言うまでもないことですが、職員組合への対応の経過、結果についても答弁を求めます。

[小林総務部長] まず、今回の提案の理由でございますが、今回の減額措置は職員の給与を2割から0.5割削減するという市長の公約に基づき、民間の状況、国の状況、また市税収入が減少傾向にある本市の厳しい財政状況を踏まえ、市民福祉の向上のための施策や事業の財源を少しでも確保する必要があることから提案したところであります。
 提案の影響額についてであります。一般会計、特別会計及び水道事業会計を含めてお答えいたします。
 本年度の職員への影響額としては、給料2億5,540万3,000円、地域手当2,552万5,000円、期末勤勉手当6,883万3,000円、管理職手当1,710万2,000円、合計で3億6,686万3,000円となります。また、単年度ベースでは、給料3億4,054万5,000円、地域手当3,403万9,000円、期末勤勉手当1億3,259万2,000円、管理職手当2,280万7,000円、合計で5億2,998万3,000円となります。
 次に、臨時的任用職員の待遇改善でございますが、常勤の臨時的任用職員の定義でございますけれども、正規職員の勤務時間の4分の3以上の時間を勤務している者で、1週間の勤務時間が30時間以上の者となります。
 臨時的任用職員の人数でございますが、平成24年4月1日現在で1,263人、そのうち対象となるのは538人で、比率は42.6%となります。
 影響額ですが、平成24年度は期末割増賃金4,109万円、通勤割増賃金2,041万5,000円、合計で6,150万5,000円、単年度ベースでは、期末割増賃金7,631万円、通勤割増賃金2,722万円、合計で1億353万円となります。
 次に、6月議会に提案した理由でございますが、市税収入が減少する本市の厳しい財政状況を踏まえ、市民福祉の向上のための施策や事業の財源を少しでも早く確保する必要がありましたので、市長公約のうち、特別職の給与減額措置及び一般職の職員の給与減額措置を先行して実施するものであります。
 また、プロジェクトチームは、職員で構成されておりまして、職員みずからがみずからの勤務条件について議論するというのはいかがなものかというふうにも考えております。
 労使交渉の経過等についてでございます。今回の提案につきましては、2つある職員団体に対して、これまで計6回にわたり交渉や折衝をいたしました。市としては、現在の厳しい財政状況等も説明しながら、職員団体との合意を得るための努力をしてまいりました。
 その結果、1つの職員団体は、現状から考えて苦渋の判断ではあるが、最終回答を受け入れるとの意思表明をしておりまして、もう1つの団体とは、最後まで合意を得ることができませんでしたが、議会の日程等を伝えまして交渉を終えております。十分に協議には応じたものというふうに考えております。

(朝田二問目) まず、答弁を聞いて驚くのは、これだけの賃下げを迫るということならば、やっぱり相当の理由がないとだめであります。ところが、この理由は、ご答弁では市長の公約と。マニフェストに書いたことやからということと、市税収入が減少傾向で厳しい財政状況の中での財源確保やと、この2つであります。それだけでは正当な理由にならないということを強く指摘するものであります。
 その議論に入る前に、これまでこの種の議論をしてきて、幾度となく答弁されてきたのが、本市の給与改定につきましては、「従来から一貫して国公準拠、人勧尊重を基本として実施をしてまいりました」という答弁であります。この今までの考え方はどうなったのか、答弁を求めます。
 この間の国家公務員の給与問題でいえば、民主党、自民党、公明党、3党の議員立法によって、ことし2月末において国会で成立した国家公務員の賃下げ臨時特例法、すなわち2012年度、2013年度の2年間、平均7.8%削減するというのがありました。今回の提案は国公準拠ということで、これに準拠しているのではとも推察するものですが、答弁を求めます。
 本筋に戻って、市長公約と市税収入減少の中での財源確保という2つの理由、さらには財源を少しでも早く確保する必要があるということで、特別職の給与削減と一般職の給与削減を先行してやるんやという、そういう答弁もありました。私は、市会議員も含めた特別職についてはそういうことは言えると思いますけども、一般職の給与については違うと思います。これまでのマイナス人勧の忠実な実行をはじめ、さまざま給与カットを本市独自でやってきたと考えますが、見解を求めます。
 影響額もお聞きして、単年度ベースで議論したいと思いますけども、今回の削減で合計約5.3億円の削減額と、臨時職員の待遇改善で合計約1億円の増額、差し引きで約4.2億円の財源が生まれるんだと、こういう理屈だと思います。
 今回に限らず、賃金カットによって、これこれの財源を生み出せたということがよく言われます。しかし、これについても最近、大いに疑問視されています。先ほどの国家公務員の賃下げ臨時特例法についても、政府はこれで年間2,900億円の財源が確保できると宣伝しています。しかし、労働総研の国家公務員賃金7.8%削減の経済に対する影響という試算があります。これによると、賃下げの影響を625.8万人が受けて、税収の減少は国と地方合わせて4,213億円となるとのことであります。財源確保にも逆効果であるわけであります。同じく家計消費減少額は約2兆円の減少、国内生産減少額は約4.5兆円の減少、付加価値、GDP減少額は約2.3兆円の減少となっています。結局、回り回って税収の大幅な減少、国内需要に大きなマイナスの影響を及ぼすわけであります。
 同じことが今回の提案にも言えるわけで、4.2億円の財源確保などという単純なことは言えないと思います。そういうことで、これでは、さらなる市税収入の減少を招くのではないでしょうか。これを悪循環と言わずして何と言うのかと思います。
 公務員は、立場が変われば納税者であり、そして消費者でもあり、ここを踏まえた冷静な、一面的でなく立体的な検証が必要であると考えますが、提案者はどう考えておられるのか。財政的、経済的影響についての検証はどうであったのか、答弁を求めます。
 さらに言えば、市税収入が減少傾向というのは事実でありますが、イコール厳しい財政状況である、財政危機だというのは実態として違うと思います。代表質問でも指摘した黒字圧縮のための当初予定にはなかった財政調整基金の取り崩しの中止や積み増し、駆け込みで道路用地買収や適正な事業債発行まで抑制するといった大規模プロジェクトの財源づくりを目的とする財政運営こそが、市民にとって厳しい財政状況をつくり出している元凶であります。
 財政調整基金という貯金も、平成21年度に32億円、平成22年度は39億円、平成23年度には50億円にも積み上がっています。貯金がどんどん膨らみながら、厳しい財政運営、財政危機と宣伝するのは誤りであります。こうした大規模プロジェクトの財源づくりの財政運営こそ改める、改革すべきであるのに、一般職に犠牲を持ってくるというやり方は間違いであるし、改革でも何でもないと指摘するものですが、答弁を求めます。
 次に、市長公約、マニフェストに書いてあるからというのも正当な理由にはならないと考えます。一般的に公務員バッシングという世論は確かに強いわけで、選挙なんかで給与削減ということを言えば拍手喝采ということになるのかもしれません。しかし、実際やっていく段になれば、さまざまな検証が必要でしょう。
 1問目でマニフェストとの関係をお聞きしましたが、他の施策においては施政方針で市長みずからが述べたように、「事業効果や課題等を十分に検証し、今後4年間での施策や事業の優先順位付けを行います」としている一方で、この件に関しては、そうした慎重かつ立体的な検証が加えられたという形跡がないように思います。
 さきに述べた財政的、経済的影響に加えて、やっぱりこれだけの大幅な給与カットを強行するだけの、府下自治体と比べて茨木の職員の給与が高いのか、職員の数が多いのか、そういうことは検証すべきことだと考えます。茨木市の給与月額の平均支給額は幾らか。それは府下政令市を除いた41自治体の中で低いほうから何番目なのか、北摂地域では何番目なのか。また、茨木市の人口1,000人当たりの職員数は何人で、それは同じく府下41自治体で少ない順に数えて何番目なのか。北摂地域での順位はどうか、それぞれ答弁を求めます。
 さらに、茨木市職員の懲戒の手続及び効果に関する条例では、第3条に減給の効果として、「減給は1日以上6月以下給料及びこれに対する地域手当の合計額の10分の1以下を減ずるものとする」とあります。ですから、10%もの賃金カットは減給でも最も重い懲戒処分と同じ水準にあります。だれもそんな処分されるほどの重大な違反行為をしていないのに、それと同じ仕打ちを受けるというのは納得がいかないのではないでしょうか。8%から3%のカットも同様です。職員のモチベーションも大いに下がってしまうだろうと考えますが、見解を求めます。
 次に、臨時的任用職員の待遇改善については、答弁では今回の対象は538人で、比率は42.6%ということでありました。となると、残りの57.4%の臨時職員に対しても何らかの待遇改善があってもしかるべきではないかと、こういう点での不満が残ります。このデフレ経済克服のためにも、非正規職員の雇用の安定化と賃金の底上げは焦眉の課題であると考えます。この点についても答弁を求めます。

[小林総務部長] 人事院勧告と国の特例法に準拠しているんではないかというご質問ですが、本市では、これまで職員の給与、勤務条件につきましては、人事院勧告の内容に準拠することを基本として改正してきたところでございます。しかしながら、今回の減額措置につきましては、市長の公約や市税収入の減少傾向にある本市の厳しい財政状況を踏まえて、市民福祉の向上のための施策あるいは事業の財源を少しでも確保するということで実施するものでございます。国の特例法に準じるということではなく、本市独自の減額措置でございます。
 次に、今まで給与のカットを独自でやってきてはいないかという見解ということでございますけれども、本市では、先ほど申しあげましたように、人事院勧告の内容を準拠するということを基本としてまいりました。ただ、本市独自で実施したものとしましては、過去に期末勤勉手当の役職加算について2年間凍結いたしましたが、現在では行っておりません。
 今回、公務員に対する厳しい市民の目が注がれる中で、市長の公約に基づきまして、厳しい財政状況を踏まえ、市独自の減額措置を実施するものでございます。
 それと、地域経済の影響についてということで、国の特例の減額措置を例を種々ご指摘をいただいたところでございますが、確かに本市の職員の収入は減少いたしますけれども、規模が違うといったらおかしいですけども、やはり地域の経済全体に対しては、今のところ、ほとんど影響がないというふうに考えております。
 あと、財源づくりのための改革ではないかということですが、人件費の削減はもとより、今後とも行財政改革をより一層推進することで、将来の茨木市にとって重要な事業はもとより、市民福祉の向上のためのさまざまな施策や事業にその財源を活用してまいりたいと考えております。
 本市の平均給与額等の数値と順位でございますが、すべて平成23年4月1日現在の数値しかございませんので、これでお答えさせていただきますが、平均給料月額は31万5,000円で、府内では27番目、北摂では6番目に低い形になっております。また、人口1,000人当たりの職員5.4人、府内で7番目、北摂では一番少ない数字となっておりますが、これは平成23年4月1日現在のものでございますので、これ以降も各市において減額措置が行われておりますので、多少変動するのではないかなというふうに思います。
 あと、どのような場合にということで、懲戒処分というふうな形で例をあげられていましたが、減額処分を含めた懲戒処分、これは職員の一定義務違反に対して道義的な責任を問うものであり、規律と秩序を維持するという目的でするものでございまして、今回の減額措置とは減額率が同じであったとしても、全く意味合いが違うというふうに考えております。
 なお、職員のモチベーションにつきましては、頑張った職員が報われる人事制度の構築、あるいは働きやすい職場づくりに努めることで、モチベーションの維持、向上に努めてまいりたいと考えております。
 それから、今回対象とならない臨時職員に対してもということでございますが、今回、正規職員とほぼ同様の勤務時間、重要な戦力として頑張っていただいている常勤の臨時職員の方の労に報いるため行うものでございまして、現時点で考えられる可能な限りの非正規職員の待遇改善に努めたところでございますので、どうぞよろしくお願いを申しあげます。

[木本市長] 朝田議員のご指摘の、いわゆるマクロ経済の話、当たってる面もあると思います。私は、これ、もう好きこのんで削減をしたわけではなく、やっぱり20年続いたデフレ経済が我々にも影響しているというふうに認識をしております。ぜひ、国のほうでマクロ経済のデフレ解消に向けてやっていただけたら、また、もとに戻る時期も早まるんではないかというふうな認識を持っておりますので、ご理解を賜りたいと思います。

(朝田三問目) 2問目の答弁もお聞きしましたが、経済的な影響についてなんですけども、結局、規模が違うということで、ほとんど影響がないと、根拠なく、そういう答弁をされました。その点は、やっぱりそう言うならば、もう少し根拠を示していくべきだと思うんです。
 茨木市の平均給与月額だとか職員数もお聞きしましたけども、平均給与月額31万5,000円ということで、27位と、北摂市では6位と、そうなっているんですけども、特に職員の数、これは府下41自治体の少ないほうから7位と、北摂市では1位という、こういうご答弁でありました。決して府下でも、そして北摂でも高いとは言えん賃金だと思うんです。さらには、茨木は特に少ない人数で頑張っていると、こういうことが言えると思います。そういう点は評価すべきでありまして、ここに痛みを押しつけるというのは、やっぱり私は避けるべきだと考えるものであります。
 市長もデフレ経済の問題をおっしゃられました。しかし、このデフレ経済、国の責任だけではないと思います。国の悪政とともに地方の政治もそれに追随するという、こういうことがやはり大きな原因であるというふうに私は考えます。そういう追随してはやっぱりならんという、こういうことも指摘したいと思います。
 2問目で指摘したとおり、一面的な成果に目を奪われるというのではなくて、もっと立体的に経済循環の中で物事を見るべきであります。一般の公務員を攻撃して、ここを痛めつけても実際には何の解決にはならない。これは、さらなる格差と対立を生むだけで、改革でも何でもないというのを重ねて指摘したいと思うんです。
 本当の改革は、負担能力に応じた負担の原則ということからいえば、一部の富裕層、ここに適切な負担を求める、そういうことと、それから、巨大企業ばかりが潤って、下には回ってこないという、そういう大規模プロジェクトへのむだ遣いと大盤振る舞い、こういうのをやめる。市民の暮らし、教育、身近なまちづくりに回すことであると考えます。そうしないと、真の財源確保もできないし、茨木の再生もないと思います。
 ですから、今回のようなやり方は、瞬間的には財源が入ってくるかもしれませんけども、さらなる市税収入の減少を生む悪循環、しかも瞬間的に入ってくる財源も、福祉に回るというのは残念ながら申しわけ程度だと思います。あとは大規模プロジェクトの財源に消えてしまうというのが、この間の財政運営を見ても明らかであります。そのことを厳しく指摘して、質問を終わります。


◎議案第47号 平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号)
(朝田一問目) それでは、幾つかの点について、質問いたします。
 まず、大きな1点目として、全国で制度創設が広がっている市内業者発注住宅リフォーム助成制度について、お尋ねいたします。
 この間、制度創設を一貫して求めているわけですが、社会資本整備総合交付金を活用しての制度創設ということも提案してきました。答弁としては、効果促進事業として位置づけられれば、それは可能ということでありました。ところが、大阪府がきちんと位置づけないために、これが活用できない状況になっているということもこの間の議論でわかったところであります。
 まず初めに、改めて府に住宅リフォーム助成について、他の自治体と同じように効果促進事業として位置づけることを求めるべきだと考えますが、答弁を求めます。
 次に、この間の状況の変化というと、府下でも、ついに藤井寺市で住宅リフォーム助成制度が創設されたということであります。このことについて、お尋ねいたします。
 大阪府がそういう態度なので、府下の市町村では、本市も含めて住宅リフォーム助成制度の創設というのは進んでいなかったわけですが、やっとその壁を破ったということです。
 そこで、どういう内容か藤井寺市の商工観光課に問い合わせをいたしました。目的は、経済対策として地域経済の活性化を図るため、また、あわせて市民が安心して住み続けられる住まいづくり及び居住環境の向上を図ることであります。助成対象となる改修工事は、市内に事業所を有する施工業者で行う対象工事費30万円以上の工事で、助成額は対象工事の10%で、最高限度額が10万円ということで、この6月11日から29日までが第1次の事前申請期間だそうです。残念ながら、府が交付金活用の道を閉ざしてるので、財源は100%単独事業だそうで、予算規模は500万円ということであります。予算規模は小さいですけども、こうした規模からでも始める、市単独ででも始めるということが肝心であると考えますが、見解を求めます。
 大きな2点目として、職員基本条例について、お尋ねいたします。
 施政方針において、プロジェクトチームによる検証、10月上旬に市としての方針決定という流れとは独立して、職員基本条例について研究すると表明されたわけですから、どういう方法、段取りで、いつぐらいまでをめどにこうしたいと考えているぐらいは明らかにすべきではないでしょうか。もう少し具体的な答弁を求めます。
 次に、職員基本条例に関する代表質問の答弁をお聞きしていると、この間、大阪府、大阪市でこの問題をめぐって起こっている批判に対して、答弁でも、そんなに強権的なものではないと打ち消すのに心を砕いてるという印象を持ちました。しかし、事が事だけに大いに、危惧するわけであります。
 その不安、危惧を現実化ならしめているのは、ほかならぬ維新の会、橋下氏の実際の言動であります。すなわち、府や大阪市の職員基本条例の根底にあると言える橋下氏の特異な民主主義観、公務員観であります。「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任」という発言に代表されるように、選挙で勝ちさえすれば何でもあり、選挙で勝った者の言うこと、やることが民意と言わんばかりの特異な民主主義観がむき出しであります。さらには、4月の大阪市の新入職員に対しての発言では、「皆さんは国民に対して命令をする立場に立つんです。皆さんの命令には、これから大阪市民はみんな従うんです。命令を出すなんて公権力を持った皆さんしかできない」、議会答弁でも、職員が「市長の顔色をうかがわなくてだれの顔色をうかがうんですか」、これらの発言は明らかに憲法の精神に背く特異な公務員観であります。
 憲法は、主権在民をうたうとともに、第15条では、「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定しています。一連の発言は、公務員を全体の奉仕者から国民、市民への命令者へ、その命令者を市長が支配するという最悪の公務員づくりにほかなりません。その具体化が府や大阪市の職員基本条例であり、その評価についてネガティブになるのは当然であります。
 我が国の最高のルール、法規である憲法と相入れない維新流の公務員改革を進めよう、具体化しようというのなら、それは中止すべきです。答弁を求めます。
 木本新市長もこれらの橋下氏の特異な、憲法とは相入れない民主主義観、公務員観と同じ立場なのか、市長の答弁を求めます。
 また、市長の憲法15条の解釈について、市長の公務員観についても答弁を求めます。
 府や大阪市の条例で批判された相対評価の導入や2年以上最下位評価とされた者の免職や同一職務命令違反3回での免職などの新たな処分制度の導入、大阪市の条例ではさらにエスカレートして、民営化による整理解雇など、本人に何の落ち度がないとしても首にできるという公務員の身分を著しく不安定にするところまで来ています。こうしたことを研究対象とするのか、答弁を求めます。
 大きな3点目として、中学校給食の実施について、お尋ねいたします。
 まず、昨年の12月に中学校給食の実施について、教育委員会で家庭弁当との選択制、民間調理場を活用した弁当箱によるデリバリー方式と決定した経緯、経過があります。施政方針での検討表明と代表質問での答弁は、これを白紙に戻して検討するという理解でいいのかどうか、答弁を求めます。
 また、教育委員会が検討するに当たって、自校方式、共同調理方式(給食センター)、親子方式(小学校等の調理場の活用)、民間調理場活用方式の4方式について検討し、学校給食実施方法の経費比較という文書を作成しています。それによると、親子方式のみが経費を試算せずになっています。なぜ試算しなかったのか、その理由について、答弁を求めます。
 お隣の高槻市が親子方式での中学校給食を実施するとしており、実際に採用するところが出てきており、この方式も検討に値するのではないかと考えますが、答弁を求めます。
 いずれにせよ、保護者の強い願いである全中学生対象の直営、完全給食の方向で検討すべきと強く指摘するものですが、答弁を求めます。
 次に、中学校給食実施の問題も独立して施政方針の中で検討すると表明しているわけですから、どういう方法、段取りで、いつぐらいまでをめどに結論を出そうと考えているのかを明らかにすべきではないでしょうか。これももう少し具体的な答弁を求めます。

[田中産業環境部長] 住宅リフォーム助成制度の創設についてでありますけれども、社会資本総合整備計画の効果促進事業は、府全体の交付金利用に関するものであり、市単独でその実施を府に働きかける考えは持っておりません。
 次に、市単独で補助制度を創設することについての見解ということでございますけれども、補助制度の創設は公共性、公益性、有効性とともに、市の施策目的を達成するために創設、実施するものであると考えております。本市におきましても、市単独予算によりまして、さまざまな補助制度を実施するなど、市内商工業の振興と地域経済の活性化に努めているところでありますので、住宅リフォーム助成制度を創設する考えは持っておりません。

[小林総務部長] 職員基本条例、どういう方法で、いつぐらいというご質問でございますが、大阪府などの議論や内容を参考に、本市で既に運用している制度を踏まえまして、必ずしも罰則に重点を置くわけではなく、意欲と能力のある職員の労に報いる人事制度の構築を基本に研究してまいりたいというふうに考えております。
 なお、既存制度の研修とともに職員の勤務条件にかかわることから、職員団体との交渉も必要となってきますので、その所管といたしましては、基本的に総務部が中心となって策定するものというふうに考えております。
 いつぐらいというか、そのスケジュール等につきましては、現時点では未定でございますが、できるだけ早期に策定してまいりたいと考えております。
 それから、公務員改革の中止等を言われましたが、公務員改革につきましては、意欲と能力のある職員の労に報いる人事制度の構築を基本として行ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、免職等の規定ということで、そういうものを研究してるかというような形でございましたが、免職の規定はもとより、能力とやる気のある職員が市民のために全力を尽くすことができる組織の実現を目指して大阪府等で取り入れられている制度、また本市独自の制度も含めまして、あらゆる角度から検討し、研究してまいりたいと考えております。

[木本市長] 先ほど小林総務部長が申しあげたとおりでございますが、私へのお尋ねということでございますので、橋下流ということで、私は、別に大阪市長でありませんで、茨木の市民に選ばれた茨木市長ですので、私は私流の職員基本条例をつくらせていただきたいと思います。
 きのう申しあげましたように、茨木市の職員は非常に優秀でございまして、もう私自身は全幅の信頼を寄せているということが基本でございます。そういう意味では、小林部長が答えましたとおりでございます。
 公務員の本質、全体の奉仕者、これ、全体の奉仕者というのは、まさしく茨木市民のいわゆる奉仕者である。言いかえたら、やっぱり市長の、ある意味では命令に従うということも入ってくると私は思います。やっぱり市民に選ばれた市長ですから、そういう意味では、いろんな複雑な要素がそこに絡んでくると思いますが、全体の奉仕者であることには変わりございません。


[小西管理部長] 中学校給食の実施についてでございます。
 白紙に戻して検討するのかということでございますが、施政方針では、中学校給食を実施するということであり、その実施に向けて、昨年度の教育委員会で決定したことを踏まえ、今年度はその実施形態や実施時期等について具体的に検討してまいります。
 次に、親子方式の経費の試算の関係でございますが、小学校、中学校の親子や、中学校同士の親子、さらには2校、3校の親子方式と、何通りも考えられます。そのことから、それらの施設設備の現状や、あるいは生徒・児童数の違いもありますことから、試算に当たってはさまざまな要素が絡み合い、一律に計算できないことから試算はいたしておりません。
 その他の内容につきましては、これまでも検討はいたしております。
 次に、直営完全給食とのことでございますが、経費面や実施時期、運営などさまざまな課題がありますが、本年度は、現在、本市で実施しております中学校ランチを検証し、その結果も含め、中学校給食実施に向け、具体的に検討してまいります。
 次に、スケジュールの関係でございますが、代表質問におけます市長答弁のとおり、今年度はマニフェストプロジェクトチームによる検証結果、また現状の中学校ランチの検証も踏まえ、中学校給食実施に向け、実施形態、実施時期、1食当たりの負担額などについて具体的に検討し、その結果をできるだけ早い時期にお示ししたいと考えております。

(朝田二問目) まず、第1点目に、住宅リフォームの助成制度についてであります。相変わらずのこの答弁でがっかりするわけですけども、引き続き強く要求していきたいと思います。
 住宅リフォーム助成をめぐるこの間の特徴は、実施自治体での実績と調査結果、いろいろ実施自治体で調査されてるんですけども、そういう結果がますますこの制度の経済波及効果、地域経済活性化策としての有効性を証明してるということであります。
 例えば、長崎県佐世保市の年間交付件数は1,521件で、交付額は約1億3,000万円、対象工事額は18億5,500万円ということで、交付額の15倍の経済効果であります。さらに、同市の調査では、リフォーム助成が創設されたことで工事に踏み切ったのは638件、約41%に上ります。
 こういうことで、実施自治体で行われてる調査がますますこの制度の有益性を証明し続けているわけですけども、こうした経済波及効果、地域経済活性化策としての有効性はお認めになるのかどうか、答弁を求めます。
 最後に、職員基本条例、必ずしも罰則に重点を置くものではないとか、免職の規定はもとよりと、明確に否定しないというのが重大だと感じました。そういうことでありますから、こういう面でのネガティブ面というのは明白でありまして、そういうことは検討すべきじゃないということを再度、求めておきたいと思います。
 中学校給食は、経費の面だけでなくて。
 学校給食法に掲げられている目的、目標を踏まえて検討されるように要望して、終わります。

[田中産業環境部長] 住宅リフォーム助成制度の経済効果ということで、他市の事例ということでご紹介をいただいて、その有効性についてどう思うかというご質疑でございますけれども、確かに建設業等への業種に対しての効果というのは一定あるものとは思っております。
 しかしながら、やはり個人住宅の維持管理は所有者の責任で行うべきものであるというふうに考えております。
 また、他市の事例で15倍の経済効果があるという内容でございますけれども、これについては、やはり一番ポイントになるのは工事対象事業費に対する補助率の問題であるというふうに思っております。本市で実施しております店舗改装あるいは創業促進補助につきましては、50%の補助率という非常に利用者の方への配慮ということを重点に置いておりますので、そういうことから、この効果という倍率につきましては、やはり補助率が関連しているものと考えております。
 以上でございます。


[討論]議案第47号、平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算について

 私は、日本共産党茨木市会議員団を代表いたしまして、議案第47号、平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算について、予算の組み替え動議に賛成し、原案に反対する立場から討論を行います。 
 今、あらゆる面で、古い政治、経済が行き詰まり、二大政党による政治体制に多くの方が失望しています。橋下維新の会もその実態と目指す方向が明らかになるにつれ、期待も不安に変わりつつあります。 
 消費税大増税の破滅の道を進むのではなく、今こそ社会保障を充実し、日本経済の再生、財政再建を果たしていくために、むだ遣いの一掃とともに、大企業、大資産家への適切な負担、すなわち応能負担の原則に戻していくことと、260兆円にも及ぶ大企業のため込み金の一部を労働者派遣法の抜本改正、正社員化の促進、賃上げ等で国民の懐を温めることに使わせる内需主導の経済成長政策への転換が求められています。 
 地方政治においても同様で、大規模プロジェクト推進、そのための財源づくり、市民サービス切り捨てと市民負担増路線という行財政改革の押しつけをやめて、暮らし、教育環境整備、身近なまちづくり最優先で地域経済を活性化し、市税収入の復元、茨木再生を図ることこそが真の改革であると強く主張するものであります。 
 ところが、いわゆる茨木でのオール与党市政の終えんと、それにかわり出現した維新市政は、従来の彩都や安威川ダムだけでなく、立命館進出、JR新駅など新たな大規模プロジェクトを推進するために、一層大規模に、強権的に市民犠牲でその財源づくりを進める市政であると言わざるを得ません。そのことが新市長のもとでの6月補正予算でも端的にあらわれています。 
 以下、具体的に理由を述べます。 
 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第1は、本補正予算原案が、これまでの市民犠牲路線を反省するどころか、引き続きこれを推し進める予算になっているからであります。
 本補正予算原案の中には、臨時職員への一定の待遇改善、高齢者肺炎球菌ワクチンの公費助成、訪問歯科健康診査の拡充、障害者基幹相談支援センターの設置、街かどデイハウスの口腔ケア実施回数増などの介護予防事業の充実、妊婦健診公費負担の充実、太田学童保育室の拡張、プレミアム付商品券の発行などの市民要求を反映し、実現するものもあります。しかし、全体としては、これまで進めてきた市民犠牲の行革をさらに進めようという路線には変わりなく、一層大規模に推し進めようという方向であります。 
 その第1弾として、公務員バッシングを背景にして、一般の職員への3%から10%への給与カットを強行しました。「公務員は、立場が変われば納税者であり、そして消費者でもあり、ここを踏まえた冷静な、一面的でなく立体的な検証が必要」、「結局、回り回って税収の大幅な減少、国内需要に大きなマイナスの影響を及ぼす」、「これでは、さらなる市税収入の減少を招く」、「悪循環」との我が党の指摘に対して、マクロ経済としては「当たってる」と答弁しながら、強行したのであります。 
 さらに、新市長の119項目のマニフェストは、コミュニティバス運行や救急医療体制整備なども含まれていますが、30項目を超える法律無視、市民犠牲、大規模プロジェクト推進の項目がメジロ押しです。マニフェスト推進検討部会、プロジェクトチームを設置し、それらが効果や課題を検証し、10月上旬をめどに改革の具体策と工程表を決定するという方向が示されました。しかし、既に障害者施設、高齢者施設の運営については、今後の運営として、障害者施設で直営のともしび園、かしの木園、ハートフルについては指定管理者制度に、現在、指定管理者で運営されているしみずについては民営化に、高齢者施設については、直営の老人福祉センターについては指定管理者導入の方針が示されるなど、10月を待たずして市民犠牲、市民サービス後退の提案が次々となされる可能性大であります。 
 改めて、こうした大規模プロジェクトの財源づくりのための誤った行革は中止し、暮らし、教育環境整備、身近なまちづくり最優先で地域経済を活性化し、市税収入の復元、茨木再生を図る真の改革路線に転換すべきであります。補正予算の組み替え動議では、その第一歩として、市内業者発注住宅リフォーム助成制度の創設と乳幼児医療費助成制度の小学校6年生までの対象年齢の拡大を求めています。 
 組み替え動議に賛成し、原案に反対する第2の理由は、大規模プロジェクトの必要性や優先性について、改めて精査が必要であるにもかかわらず、本補正予算原案は、無条件推進の立場を改めて鮮明にし、もうやる必要のない解同優遇行政についても何ら見直さず、固執する予算になっているからであります。 
 大規模プロジェクトメジロ押しという状況に対して、その必要性や優先性について、改めて市民参加で精査する必要が生じているのは言うまでもないことです。 
 彩都開発については、東部地区はもちろん、赤字を拡大する中部地区も開発と関連事業は中止に転換し、国文会社は早期解散を求め、西部地区内の事業は最大限圧縮するとともに、国に事業破綻の責任をとらせるべきです。また、個人地権者、新住民の声を反映する機関を設置すべきであります。 
 安威川の治水対策については、ダム本体工事着工の延期を府に求めるとともに、ハイブリッド堤防など安威川本川の堤防強化と支川の改修及び堤防強化で対応すべきであります。 
 立命館進出については、市と大学の常設協議機関を設立し、徹底的な情報公開のもとで、広く市民の意見を募り、市民的合意形成が得られる形で協議を進め、市の負担額と市民への影響額を最小限にとどめるべきです。 
 JR新駅については、市の負担額を一層抑えられるように、JR西日本はじめ、関係各機関と再協議すべきであり、駅周辺地域開発について、市民参加によるまちづくり協議機関を設置すべきであります。 
 改革というなら、こうした市民的、財政的影響の大きい大規模プロジェクトにこそ、真摯な検証が必要であるにもかかわらず、ここは全くの聖域で、それどころか、本補正予算では彩都関連事業について、追加補正されています。 
 また、解同優遇行政についても、第三者による検討機関の設置は考えていないという答弁で、何ら見直そうという姿勢はありません。補正予算の組み替え動議では、こうした姿勢を改めるため、彩都関連事業の減額を求めています。 
 組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由の第3は、維新流改革を茨木に持ち込む予算になっているからであります。 
 プロジェクトチーム等によるマニフェストの検証とは別に、本年度において、職員基本条例の研究が表明されました。府や大阪市の職員基本条例で大きな問題とされたのは、相対評価の導入や2年以上最下位評価とされた者の免職や同一職務命令違反3回での免職などの新たな処分制度の導入、大阪市の条例では、さらにエスカレートして、民営化による整理解雇など、本人に何の落ち度がないとしても首にできるという公務員の身分を著しく不安定にすることであります。まさに、こうした強権的なやり方で、公務員を全体の奉仕者から国民、市民への命令者へ、その命令者を市長が支配するという最悪の公務員づくりであります。こうしたことも研究対象とするのかとの質問に、「必ずしも罰則に重点を置くわけではなく」とか、相対評価か絶対評価の選択や免職の規定はもとより、「あらゆる角度から検討」と明確に否定しない、はぐらかしの答弁に終始しました。こうした維新流強権政治の茨木への持ち込みについて、日本共産党市会議員団は、今後とも、市民とともに大いに監視していくものであります。 
 以上、大きく3点にわたり、組み替え動議に賛成し、原案に反対する理由を述べました。議員各位のご賛同をお願い申しあげ、討論を終わります。


◎議員発第15号、尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書について

(朝田一問目) それでは、議員発第15号、尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書について、質問いたします。
 まず、尖閣諸島問題について、一番肝心な領有権についての歴史的、国際法的な根拠について、確認の意味でお尋ねいたします。
 まず第1に、尖閣諸島の存在は古くから日本にも中国にも知られていましたが、いずれの国の領有にも属さず、いずれの国の支配も及んでいない、国際法でいうところの無主の地でありました。第2に、日本政府は、1895年1月14日の閣議決定によって、尖閣諸島を日本領に編入しました。歴史的には、この措置が尖閣諸島に対する最初の領有行為であります。これは無主の地を領有の意思をもって占有する「先占」に当たり、国際法で正当と認められている領土取得の権原の1つであります。第3に、中国及び台湾が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは1970年代に入ってからであります。台湾も、それから中国も、71年にそれぞれ声明を出して、領有権を主張します。しかし、1895年から1970年までの75年間、日本の領有に対して外国から異議を唱えられたことは一度もなく、中国も沈黙していました。
 日本共産党は、1972年にこうした根拠を明らかにして、中国の主張には道理がない、日本固有の領土であるとする見解を発表していました。さらに、2010年には、尖閣諸島問題、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当、日本政府は堂々とその大義を主張すべきとする見解を発表しました。2010年の見解では、中国側の主張の中心点、すなわち1895年の日本政府の尖閣諸島領有宣言が、時期的に日清戦争に重なることをもって、日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったものだという主張について、突っ込んだ検証を行い、尖閣諸島が、当時の日本が不当に奪った台湾と、その付属島嶼である澎湖列島には属さないことを歴史的事実をもって明らかにし、重ねて、中国の主張には道理がない、日本政府は堂々とその大義を主張すべきことを求めました。
 以上のことから、尖閣諸島が、歴史的にも国際法上も日本固有の領土であることは明白であります。その認識について、提案者の見解を求めます。
 次に、提案された意見書が求めている実効支配を推進するための法整備の内容について、お尋ねいたします。
 2011年8月の産経ニュースでは、「尖閣国有化を議員立法で 超党派議連 海上自衛隊基地建設も視野」との見出しで、「民主・自民両党など超党派でつくる『国家主権と国益を守るために行動する議員連盟』は、沖縄・尖閣諸島を国有化し、国境警備を強化するための議員立法案をつくり、来年の通常国会に提出する方針を決めた。将来的には、海上自衛隊や海上保安庁の常駐基地の建設も視野に入れる」と報じています。意見書案には1から3までの項目がありますが、1の「我が国の領土、主権を毅然たる態度で守る意思を内外に明確にするため、領域警備に関する必要な法整備を速やかに講じること」という中身は、報道にあるとおり、自衛隊の出動、さらには、尖閣に自衛隊の基地をつくるということであると理解しますが、このような軍事的対応で領土問題が解決できると考えているのか、内容の説明も含め、答弁を求めます。
 次に、尖閣諸島問題をめぐる日本政府の対応の弱点について、お尋ねいたします。
 尖閣諸島だけでなく、領土問題の解決の上で何よりも大切なことは、歴史的事実と国際法上の道理に立った交渉を行うということであります。この尖閣諸島をめぐる紛争問題も、何よりも重要なことは、日本政府が尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会及び中国政府に対して、理を尽くして主張することであります。
 ところが、歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという重大な弱点があります。1972年の日中国交回復の際の、当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相との会談記録が2001年9月に解禁になって、全文が公開されました。それを見ると、田中総理、「尖閣諸島についてどう思うか。私のところにいろいろ言ってくる人がいる」、周首相、「尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るからこれが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない」、驚くべきことに、このやりとりだけであります。領土確定を明確にするよい機会であった、むしろ、それをやらなければならなかった1978年の日中平和友好条約締結の際に、当時の鄧小平副首相は、尖閣諸島のような問題は「一時棚上げにしても構わない」と棚上げの立場を表明しました。それに対して日本側は、明確な反論も何も主張もしない。それどころか、条約締結に先立って、当時の福田首相は、「尖閣諸島の領有権が日本にあることについて中国側に確認を申し出ることは『全く要らざることである』」、これは78年10月16日の衆議院外務委員会の答弁でありますけども、つまり全く必要ない、いわゆる棚上げ論なんですね。
 日中平和友好条約締結から30年余、理を尽くしてという機会は幾らでもありました。1992年に中国が領海及び接続水域法という法律を採択して、尖閣諸島を自国領と明記した際にも、外務省は口頭抗議しただけで、ここでもそれで終わっているわけであります。民主党政権になっても、尖閣諸島には領土問題は存在しないと繰り返すだけで、結局、自民党政権からの棚上げ論を踏襲していると言わざるを得ないわけであります。
 尖閣諸島問題解決のための意見書ということなら、全然やってこなかった歴史的事実と国際法の道理に即して、尖閣諸島の領有の正当性を国際社会と中国政府に堂々と主張する外交努力を行うことこそ、求めるべきであります。
 同時に、中国政府に対しても事態をエスカレートさせたり、緊張を高める対応を避け、冷静な言動や対応を行うことこそ、求めるべきでありますが、見解を求めます。

(上田光夫議員) 朝田議員の質問に順次、お答えいたします。
 まず、1問目の日本の尖閣諸島領有の正当性につきましては、朝田議員のほうから、るる日本固有の領土である歴史的経過が説明されております。これにつきましても全く同意でございます。説明を補充する意味で答弁いたします。
 御存じやと思うんですが、1920年に漁民が尖閣諸島に遭難した事件がありまして、そのときに、中国からの感謝状の中に、日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島との記載があったということ、1933年に中国で発行された中華民国新地図や1960年、中国で発行された世界地図集では、尖閣諸島が日本に属するものとして扱われているという事実、これらの事実から、尖閣諸島が日本固有の領土であるということは歴史的にも国際法的にも朝田議員が示された根拠も含めて明らかであると考えております。なお、外務省も同様の見解をホームページで公開しているというところであります。
 2番目の法整備の内容についてであります。項目1の内容についての質問でありますが、不法の侵入を具体的に取り締まるために現実的に防衛する準備をするという内容であります。
 日本の対応における弱点について、3問目ですが、これにつきましては、過去、棚上げ論も含めて、日本が理を尽くして主張してこなかったのではないかという問題提起は、確かにそういう側面があるかなとは思います。今回提案させていただきました提案者として、日本の対応の弱点につきまして、以下、ご答弁申しあげます。
 すべての国家が自国の主張を激しく闘われる国際政治の現実の中で、自国の国益を守る、すなわち、海洋国家日本が排他的経済水域に莫大な海底資源や漁業資源を有するという現実に対する意識が低いこと、これは日本の弱点だなと思っております。
 さらに、具体的に厳然にあらわれている侵害行為等に対する現実に向き合わず、尖閣諸島を現実に防衛する準備等に着手が推進できてないというのが、その弱点の具体的な例かなというふうに思っております。

(朝田二問目) ご答弁いただきまして、2問目、行きたいと思います。
 1点目の日本の尖閣諸島の領有の正当性については、上田光夫議員がご答弁されたとおり、基本的な認識は同じと、認識の共有はできたのではないかなと思います。答弁であげられた事実も含めて、それから、今回、2010年の見解では、そうした日清戦争との兼ね合い、これも全部、文献も調べて、事実もあらゆる角度から調べて、中国のその主張には道理がないと、こういうことも明らかにしたわけであります。そこら辺は共有できたのではないかなと思うんです。
 ただ、2点目以降、法整備が意味するところについては、抽象的な答弁だったと思うんです。実際、政治の舞台で起こってること、特に国会を中心にした舞台で起こってることというのは、理を尽くした外交、交渉をやってこなかった罪、これを棚上げにしての自衛隊の基地建設などの軍事的対応が、そういうのばかりが議論になると、防衛だということで、そういう軍事的対応に先鋭化してると。私は、この意見書はそういう動きに呼応するものだと思います。今の自民党や民主党をめぐるそういう動きというのは、そういうのしかないわけですから、だから、はっきりと指摘はしてないけど、書いてないけども、そして、答弁でもはっきり言わはれへんですけども、しかし、意味するところは、これしかないわけですから、やっぱり、そういう意見書はいかがなものかと私は思います。
 軍事的対応を振りかざすということは、国内的には勇ましく見えますけども、この問題の本質的解決をさらに困難にするだけであります。そうした対応は、いたずらに緊張を高め、さらには日本の正当性をも覆い隠すことになるだけであります。何度も言いますけども、日本の正当性を国際社会にも中国政府にもちゃんと主張していないんです。それは答弁でも上田光夫議員も認めはったところだと思います。反省すべき点という形で事実上認めたと思うんです。それが、ここまで事態をエスカレートさせてる原因とも言えるわけであります。
 逆に言えば、国際社会に日本領土の正当性の理解が広がらなければ、ここまでエスカレートしてきている事態を解決に向かわせることなどは不可能であります。領海警備に関する必要な法整備、つまり、自衛隊が出動できるように、もしくは常駐できるようにしてはという、こういう軍事的な対応、こういう軍事一辺倒の対応は結局、世界がこの問題を日中どっちもどっちというぐらいにしかとらえてない中で、そういうことをすれば、事態はさらにエスカレートするでしょう。中国もけしからんが、日本のやってることも何だと。せっかく大義は日本にありながら、みずからそれを掘り崩す有害な役割しか果たさないと思います。進出してる企業も、それから貿易も日中の交流事業も深刻な事態になると思います。それぞれどう考えてるのか、2問目として、答弁を求めます。

(上田光夫議員) 朝田議員の質問にお答えいたします。
 今回の意見書の内容が軍事的対応に先鋭化しているんじゃないかというような指摘であったかと思いますが、この点につきまして、見解をご説明させていただきます。
 まず、前提に、主権国家というものは、内政に干渉されない権利や領土不可侵の権利があります。また、他国から緊急不正の侵害に対する防衛の権利が、つまり自衛権なんですが、認められております。我が国日本も同様の主権国家として、国際社会でこれらの権利を互いに主張、尊重することが原則というふうになっております。
 我々日本国もこれらの権利を正当に主張するために、3つの視点が大切になると考えております。軍事的対応に先鋭化してるという答えがこの部分になるかと思います。1つ目は、現実的な状況に対して防衛していく法整備、現実対応の視点であります。2つ目は、我が国固有の領土であるということは共有してると思うんですが、固有の領土であるということを明確にする施策の推進をしていかなければいけないと思っております。3つ目が、国民の意識の喚起だと思っております。
 このように不断の努力で、みずからの国家の国益に対し、国民として、その実現を、守るという意識を持つために、あらゆる対策を講じて進めていかなければならないというふうに思っております。

(朝田三問目) 3問目ですんで、指摘にとどめておきたいと思うんですけども、ご答弁なさったんですけども、そういう主権国家論だとか、そういう観点から、るる述べられたんですけど、やっぱりちょっとそれは、はぐらかしではないですかと思うんです。
 やっぱりこの問題どう解決するかと。言われてる、そういう対応が有効なのかどうかということに尽きると思うんですね。何度も言いますけども、領土問題というのは歴史的事実と国際法上の道理に立った交渉を行うと、どちらの側に理があるかと、国際社会が、そのどちら側に理があるとなるかということが、これがすべてなんですね。逆に、領土問題を軍事力だとか、そういうものを背景にして主張するのは、一番やってはならん、まずい対応なんですね。道理に立った、理を尽くした交渉ということでいえば、歴代政府の対応というのは、その入り口にも立ってないわけですわ。だから、中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件でも、政府は最大の貿易国である中国との戦略的互恵関係をおもんぱかってということで、逮捕した中国人船長は釈放するという対応をしましたけども、こうした対応は、先ほど来から指摘している棚上げ論を引きずっている、そういう重大な弱点がその背景にやっぱりあるんですね。
 意見書の立場だとか、提案者が答弁されたそういう主張、その方向では結局、これを、こうした事態を繰り返していくと、そういう危険がある、危惧がある。ですから、私は、国際世論を味方につける方策こそが重要であり、有効だと考えます。日本の正当性を世界が理解するまで主張し続けると。道理は日本にあるのですから、自信を持って堂々と訴え続けると。中国がこの問題で突っ張ることが国際社会では孤立を招いて、国益にもそぐわないと思わせるところまで国際世論をつくっていく、その外交努力こそ解決の方向性であることを再度主張しまして、この意見書案には反対であることを明確にして、質問を終わります。

(上田光夫議員) 一言だけ補足させていただきたいと思います。
 国際世論を味方につけるということも大事やと思いますと同時に、国内の世論もしっかりと喚起していかなあかんと思います。そういう意味では、今回、議会の中で共同提案、本当に苦しい中でもしていただいたということに、改めましてこの場をおかりしまして、感謝申しあげまして、答弁といたします。
 ありがとうございました。