[畑中たけし] 平成24年6月市議会 本会議質疑、討論

◎議案第42号 茨木市立幼稚園条例の一部改正について=東幼稚園廃園について

◎議案第47号 平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算(第2号)
  ☆立命館大茨木進出について

◎[討論]茨木市議会議員の定数削減と報酬削減について


(一問目)茨木市立東幼稚園を廃止して、その土地と建物を民間保育園として活用していく方針の中での廃止条例と理解しています。そこでいくつかお尋ねいたします。
 第一点目として、東幼稚園廃園決定の直接の原因をお示しください。施設の老朽化、対象園児の減少による統廃合、経費の節減、保育所待機児童の解消のいずれでしょうか。また該当事項のそれぞれの効果の予測内容はどのようになっているのか答弁を求めます。
 第二点目として、市内部で幼稚園のあり方検討会議が持たれていると聞いていますが、その目的と、組織内容と、実施状況と、そこでの議論の内容と結果は現段階でどのようになっているのかお示しください。また東幼稚園廃園決定との関連性はあるのかどうか、あるとしたらどの点になのか、答弁を求めます。
 第三点目として、これまで茨木の幼稚園教育は、保護者負担の軽減調整を図りながら、公立幼稚園は原則2年保育、私立幼稚園は原則3年保育で、公私が連携して運営してきましたが、この方針に見直しがあるのかお尋ねいたします。
 第四点目として、市長のマニフェストでは、「公立幼稚園はさらに民営化」とありますが、この具体化の方針は10月を目途に出るとのことですが、この結果との整合性はどのように考えているのか市の見解を求めます。
 第五点目として、公立幼稚園の廃止と私立保育園への転用による基準財政需要額への影響はあるのか。あるとしたら押し上げ方向に働くのか押し下げ方向に働くのか市の見解をお聞かせください。
 第六点目として、東幼稚園勤務の就業者(正規職員、非正規職員)の廃園後の行き先の予定はどのように計画しているのか答弁を求めます。

[小西管理部長]
■1 東幼稚園廃園決定の原因について
 本市といたしましては保育所待機児童の解消が喫緊の課題となっており、「公の施設の有効活用」も強く望まれているところであります。そのような状況の中、教育委員会といたしましては、「あり方検討会」において、公立幼稚園の全体配置の検討から切り離し、「待機児童の解消」の観点から「就園率」「全体配置」等を含め検証した結果、東幼稚園を早期に転用可能な幼稚園として選定したものであります。また、待機児童の解消効果は十分にあると考えております。
■2 庁内幼稚園あり方検討会議について
 茨木市公立幼稚園のあり方庁内検討委員会は、@市立幼稚園の今後のあり方に関すること、A市立幼稚園における諸課題に係る情報の収集・整理に関すること、Bその他就学前の幼児の教育・保育に係る調査・研究に関することを目的に教育・こども育成部の関係課で組織し設置したものであります。
 次に、実施状況等につきましては、公立幼稚園を取り巻く課題の洗い出しと解決に向け、3回委員会を開催しました。また、4つの小部会を設置し、課題ごとに情報の収集整理、調査研究を順次行っております。平成23年度には、保育所の待機児童の増加が本市の喫緊の課題となっていることから、公共施設の有効活用の観点から「適正配置部会」において東幼稚園の施設転用を選定いたしました。
■3 茨木の幼稚園教育の方針について
 これまでどおり、公私連携して運営してまいりますので、それを見直す考えはございません。
■4 市長マニフェストについて
 今回の幼稚園条例の改正につきましては、東幼稚園廃園に向け、昨年の9月から4歳児の募集を停止し、平成25年3月末をもって在園児が卒園することから改正するものであり、市長マニフェストを起因とするものではありません。
 なお、市長マニフェストについては、現在プロジェクトチームにより、具体策や課題等について検討されているところでありますので、その結果を踏まえ、適切に対応してまいります。
■5 基準財政需要額への影響について
 平成23年度の算出資料によりますと、廃園に伴う幼稚園の園児数の減により「その他の教育費」の需要額は減少が見込まれます。保育所の算定項目である「社会福祉費」の需要額は、様々な要因が加味されますので、その影響額を単純に算出することは困難であります。
 したがいまして、双方を合わせた影響額をお示しすることはできません。
■6 幼稚園就業者の処遇について
 職員の処遇につきましては、適切に人事配置してまいります。

(2問目)国会では、いわゆる「幼保一元化」の法案も議論されていますが、その結果を見極める必要があるのではないかと考えますが、市の見解を求めます。
いずれにしても、以下の事項についての方向を明確にしないでの廃止と転用は問題であると日本共産党は指摘するものです。
1、今後の茨木での幼稚園教育のあり方。
2、今後の茨木における幼稚園教育における公私の役割分担と公立幼稚園の果たすべき役割
3.今後の幼稚園と保育所の連携のあり方と公私の果たす役割分担
4.保育所待機児童の解消策確立とさらなる「公立保育所の民営化方針」
市の見解を求めます。
日本共産党は「就学前における幼稚園教育充実、公私の連携推進、公立幼稚園の役割分担の強化、幼保連携における公立幼稚園の充実策の具体化、公立幼稚園の老朽化対策と施設の耐震化の推進、公立保育所民営化計画の中止と待機児童解消のための公立保育所の建設を」主張しています。
今回の廃止条例はこの方向に逆行するものであり、日本共産党は賛成できないと申し上げて質疑を終わります。


議案第47号平成24年度大阪府茨木市一般会計補正予算質疑

[畑中1問目]
立命館大学茨木進出についてお尋ねします。
日本共産党は、これまでも立命館大学茨木移転計画に対する市の支援施策具体化と共同事業実施にあたっては、市と大学の常設協議機関を設立し、徹底的な情報公開の下で広く市民の意見を募り、市民的合意形成が得られる形で協議を進め、市の負担額と市民への影響額を最小限にとどめるとともに、ホールなど大学と市民の共同利用施設の運営については、市民が期待する利用が確保できるよう市と大学共同の管理組織設立を検討するべきと主張してきました。
この立場から、一点目に、国の補助を受けて策定した「JR茨木駅南地区まちづくり検討調査業務委託報告書」の内容に関連してお尋ねします。
一つ目に、調査報告書は直接的にはコンサルに委託して策定していますが、茨木市の名前を記述しているところから、おおむね茨木市の意思を反映している内容と理解しますが、そのとらえ方でよいのかお尋ねします。
二つ目に、茨木市の費用負担の範囲の基本的方針についてお尋ねします。
市民開放施設導入機能の検討として、
・コンベンション機能…市の公式行事等で飲食を伴う会合(400 人規模)が可能な施設。平土間形式の多目的ホールを想定
・図書館機能…市民に専門性の高い生涯学習の機会を提供する図書館
・防災備蓄倉庫等、を記述しています。
また導入にあたっての課題・検討事項 としては
1、建設方式…建設主体が大学である場合、市等が保有(利用)する部分については、内装まで大学側で整備するのか、大学側は躯体までの工事とし、内装を別工事とするのか検討する必要がある 。
2、計画・設計調整…大学・市等異なる主体による複合的な利用を想定した場合、ゾーニングや動線計画、セキュリティ、供給設備等が錯綜しないような計画や設計上の調整が必要になる。ホール等を共有して利用しようとする場合は、使用頻度や時間帯、利用形態を確認し、全体を許容できる規模・仕様等にする必要がある 。
3、管理・運営形態が建築計画とも密接に関係するので、設計段階で一定の方針を決定することが望ましい 。
4、全体計画と個別機能の設計調整が必要となるので、費用負担を含め関係者の役割分担を決める必要がある。
5、管理運営形態…施設の維持管理、日常の運営業務等について、調整が必要であり、大学が主体的に管理運営に当たる場合、管理を委託する範囲や方式の検討、賃料や管理費等の決定が必要となる 。ホールや会議室などの利用については、補助金等市の負担に応じた利用割合などを協定により担保する事が必要であると同時に貸出に関する事務を誰がどのように行うか手続きを定める必要がある。 図書館に関しては、「施設管理費程度の負担で一般市民の利用が可能となるよう立命館大学と協議することが必要」などの記述があります。
この記述から見ると、用地を購入し無償貸与、施設建設費負担のみならず、設備整備費、施設管理費等の費用負担が発生する可能性が有ります。この際、先に述べた1から5までの各論点も含めて市民開放施設の茨木市の費用負担についての基本的な方針を明確にするよう求めます。
二点目に「社会資本整備総合交付金」の活用についての検討についてお尋ねします。
一つ目に、交付金活用の内容についてお尋ねします。基幹事業として、歩行者専用道、自転車歩行者道、立体遊歩道、情報板設置事業など交付対象事業費約14億円、国補助率40%とあります。また関連事業として、都市計画道路整備、区画道路整備、歩道整備、産学交流センター整備、防災公園整備等で全体事業費約178億円とあります。それぞれの活用補助メニュー(メニュー、率、上限)とあわせそれぞれの事業について詳細な説明を求めます。とくに産学交流センター約21億円の記述がありますが、産学交流センターとは具体的に何を指しているのか。事業費21億円の内容と根拠について説明を求めます。
二つ目に、交付金活用以外の単独事業はあるのかお尋ねします。
三点目として、大学茨木キャンパス開設準備委員会及び常任理事会が決定している基本設計についてお尋ねします。
一つ目に、中でも茨木市と関連の市街地整備ゾーンについては1000名収容の大ホール、400名使用可能な平土間ホールなどホール等機能、福利厚生機能、総合受付・ロビー等機能、国際・社会連携機能、図書館機能、多目的対応機能等の具体的設計図がすでに示されています。具体的設計図があるということは、当然、大学・茨木市・都市機構3者での協議が行われてきた結果と理解しますので、その協議経過をお示し下さい。
二つ目に、上記の「JR茨木駅南地区まちづくり検討調査業務委託報告書」の茨木市の方針が設計図でのコンベンションホールや図書館などで具体化しているのかお尋ねいたします。
三つ目に、防災公園については大学の学生、院生、教職員や地域のアメニティを高める公園機能の設置を検討するために、活用と運用を大学、茨木市、機構の3者で協議を開始するとしています。市の基本的方針をお示し下さい。

■1-1 市民開放施設における市の基本的な方針について
 調査報告書は、市において市民開放施設の整備や管理に関する大学との協議にあたって考えられる論点をリストアップしたものであり、これらを考慮しながら、今後、大学と協議してまいります。
 なお、財政負担につきましては、その軽減を図るため、可能な限り国の交付金の活用を図ってまいりたいと考えております。

■1-2 社会資本整備総合交付金の活用詳細について
 都市再生整備計画事業の基幹事業として、JR茨木駅から茨木松ヶ本線までの軌道敷沿いに歩行者専用道路を整備、既存道路である市道西中条1号線の改良、駅前広場の整備、情報版の設置、下穂積第二歩道橋の改良を実施し、事業費14億1千8百万円を予定しており、補助率は40%となっております。
 また、関連社会資本整備事業として、既に実施しております都市計画道路茨木松ヶ本線で事業費98億9千8百万円、西中条奈良線で事業費11億1千5百万円、茨木松ヶ本線から大阪中央環状線までのJR軌道敷沿いに区画道路整備を実施し、事業費は9億2千7百万円を予定しており、補助率については55%となっております。防災公園整備については、防災公園街区整備事業として実施し、事業費は34億円を予定しており、補助率については、土地購入費で1/3、整備費で1/2となっております。
 市民開放施設につきましては、事業費等が確定していないため、活用できる補助メニューの一つである提案事業の上限額の21億円を参考として記載したものであります。
 平成23年度から補助採択を受けており、現時点での単独事業はなく、今後につきましても、積極的に補助金を活用してまいりたいと考えております。
 次に、防災公園につきましては、現在、独立行政法人都市再生機構、大学、市の3者で協議中であり、災害時の避難地として活用するための広い開放空間である芝生広場を基本に、防災公園として転用可能なあずまや、かまどベンチや非常トイレなどを設置する予定であります。

■1-3 市民開放施設の基本設計について
 本市と大学間での正式な協議は未だ始まっておりませんが、今後、協議を本格化させ、平成27年4月の開学に支障のないよう、早期に合意出来るよう取り組んでまいります。

(2問目)委託報告書では建設方式、計画・設計調整、建築計画、全体計画と個別機能の設計調整、管理・運営形態など5点についての協議がありますが、今後の協議予定と協議方法についてお示し下さい。また市民開放施設への商工会議所等の入居が記述されていますが説明を求めます。
次に、大学は基本設計の説明を商工会議所に行うと聞いています。市として他団体や議会に対する説明を求めているのかお尋ねします。
次に、大学基本設計では、図書館は学習図書館機能、研究図書館機能など大学専門図書館として整備するとしています。よって市民的図書館の要素はありません。一方、市の委託報告書では「大学の研究機能と市民開放型の学習機能の複合した図書館として導入する」とあります。接点があるのかどうかお尋ねします。
次に、市長にお尋ねいたします。市長がマニフェストに記載している「立命館キャンパス発足に合わせ、協議機関を立ち上げ、茨木市にふさわしいコンベンションホール施設、モノレ−ル・JRの一体化やJR茨木駅前再開発を実施します」との内容に関連してお尋ねします。
一つ目に、「茨木市にふさわしいコンベンションホール施設」としています。これは大学設計と一致しているのか市長にお尋ねします。
二つ目に、「モノレ−ル・JRの一体化」は、これまでは茨木市は否定してきました。財源や現状と経過から見ての具体性について市長の見解をお示し下さい。
三つ目に、「JR茨木駅前再開発」も、財源やこれまでの経過から見ての具体性について市長の見解をお示し下さい。
四つ目に、施政方針で、「アクセス道路の整備、東口駅前広場整備」を記述しています。これらについて、その具体的内容をお示し下さい。

【大塚土地整備部長】
 立命館大学の件について、1点目のいわゆる管理に関する費用を市が負担するのかという点は、大学と本市の間で締結した基本協定については、現時点ではハードの関係では協定を締結してだけである。基本的な考え方としては、市民開放施設については大学の施設として管理してもらうという前提で協議をしているところである。今後の協議の中でその方向も確定していくと考えている。
 協議の予定とか方向については、それぞれの施設の内容の決定、あるいは施設の管理の決定、それぞれの団体ごとで運用していくことになると考えている。
 3点目の商工会議所については、今回大学の方が進出するのが経営学部ということもあるので、商工会議所としても大学との連携を図るというような視点から、また大学としてもいわゆる産学の連携をという所もあり、商工会議所の施設をそこに移転する可能性について協議なり検討が進められているのは事実である。ただ、これについてもまだ確定はしていない。当然のことながら、条件などもあり、そのようなことも含めたうえで早期に確定をしていくということになると思う。他の団体等への説明ということであるが、会議所については先ほど言ったように、施設の計画の内容に関わるということで、あらかじめ協議をしているが、今後計画が具体化してきたら、議会等にも十分説明をする時期が来ると考えている。
 図書館については、大学として考えられるものと、本市として必要なものとをこれから協議をしていくと思うが、図書館機能といいますのは、基本的ないわゆる研究・交流・学習の場というようなところで、新しい図書館の形態等も先進事例等で十分大学の方でも検討されていると聞いている。市民にとっても親しまれる図書館となるような形で、これから具体的な運用も含めて議論を進めていきたいと考えている。

【木本市長】
 モノレールとJR茨木駅の間に、当初新しい駅を作ってはどうかという事もあった。市長就任以来いろいろ関係の都市整備と協議し、新しい駅とかモノレールの一体化に関しては、茨木市にとって決して元気にできるものではないのではないかという方向性で、新しい駅というのは茨木市の活性化にとっては良くないと、今、検討をしている。基本的には27年4月の開学、これを決して遅れさせることがないように、これが使命中の使命であり、大前提である。そのためには、あらゆる協力は惜しまないというのが、現在の私の姿勢である。
であるから、JRの開発についても、この際、東口の整備を行いますが、JR万博側の方も、万博以来ぜんぜん手つかずのままで、今のバスターミナルの形態も一説によると時代遅れの産物で、もっと良い方法があるというようなことも聞いているので、これも含めて、ぜひ早急に検証をしていきたいと考えている。
コンベンションホールは一応やるような予定になっているので、今後、検証していきたいと考えている。

(3問目)大学と茨木市、ないしは機構も加えた協議の出席者と開催日、協議内容を時系列で明らかにするよう求めます。
今後の開発協議、建築確認などの行政手続きの見通しを尋ねる。工期は1年9ヶ月、来年度当初には着工予定と聞くがどうか。
文化財本調査終了の見通しは
大阪府生活環境の保全等に関する条例第81条の5の手続きは

【大塚土地整備部長】
大学との協議の状況について詳しく説明をとの事であるが、ここには資料を持ち合わせていない。
ただ先ほどご指摘のとおり、スケジュールが非常に厳しいということで、来年度早々には建築の着工に入らなければならないということで、先ほどの文化財調査の進め方、行政手続きの進め方なども含めて、事務的には月に3回、4回と定期的に議論をしている。
事務的な協議は進めているが本格的な協議、正式な協議はこれからである。
行政手続きの見通しは、今回、大学の立地をするということで、都市計画的にはいわゆる地区計画の決定なり都市公園、仮称「岩倉公園都市計画」の決定手続きをこの夏にはスタートさせたいと考えている。
来年早々には着工したいということで、今年度中に先ほどの埋蔵文化財の一定の調査等を終えたうえで、開発許可や建設確認の手続きを目標としては、今年中、または来年早々に入るかもわからないが、建築着工が遅れないように、また平成27年4月の開学が遅れないように進めたいと考えている。

【田中産業環境部長】
府条例に81条の5に関しての質問であるが、開発にかかわる土壌の汚染対策についての手続きである。こちらの方は3000平米以上の敷地が対象であり、現在、文化財の発掘中であり、開発の内容に応じて、また検討する必要があると考えている。


◎議員発第8号(議員定数4削減案)、議員発第9号(議員定数2削減案)、議員発第10号(議員報酬2割削減案)にかかわる討論

日本共産党市会議員団を代表いたしまして、議員発第8号茨木市議会議員定数条例の一部改正について、議員発第9号茨木市議会議員定数条例の一部改正について、どちらについても反対の立場から、また議員発第10号茨木市議会議員の議員報酬等に関する一部改正については賛成の立場から、一括して討論を行います。

日本共産党は議員定数については現状維持、議員報酬については今回2割の削減を主張しています。

日本共産党が、茨木市議会の議員定数について現状維持を主張する理由は、議員定数の削減は、それだけ住民意思を反映できなくなり、また執行機関に対する批判監視の機能が低下し、議会の権能の低下、民主主義の後退につながるからです。

 地方議会は、住民のもっとも身近な議会として、住民の声を自治体に反映する住民の代表機関です。地方議員の定数削減は、地方自治体における議会制民主主義を切りちぢめ、結果として自治体を住民から遠ざけることにつながるといわなければなりません。

 地方議員の定数の問題が論議されると、決まったように出るのが、「議員数が多い」という論です。この論はアメリカにおける少数の議員数を基準にしたものでありますが、議員数の問題は、我田引水の単純な国際間の比較ではなく、地方自治の歴史、住民自治への関心度、自治意識の水準、地方団体の役割などを総合的に検討してから判断すべきものです。

そもそも地方議会と地方議員は、誰のために、何をするために存在するのでしょうか。その根拠は憲法に由来します。憲法93条は、地方自治体に議会を設置すること、自治体の首長と議員は住民が直接選挙で選ぶことを定めています。
 憲法の規定を受けて、地方自治法は人口ごとの議員定数の上限を定めてきました。地方自治法でいう定数とはこの上限規定のことであり、議員定数はこの規定を基本に「特別の事情がある場合に減員することができる」とされてきました。
 ところが、現在は、地方分権一括法で、「議員定数は条例で決めることができる」と改訂されてしまいましたが、あくまでも議員定数は憲法と地方自治法の精神を基本にして、その上で自治体の「特別の事情」を考慮して検討されるべきであることには変わりはありません。

 地方公共団体の住民が少なくない経費をかけて選挙し、議員を在職させるのは、第1に地方議員を通じて住民の行政需要を的確に把握し、それを地方行政の制度・運営に反映させるためです。第2に行財政権を一手に握っているため専横に陥りやすい首長を監視させ、行き過ぎをチェックさせるためです。

 住民が、行政に施策の実施を迫ったり、行政をチェックする道は、首長の不信任の直接請求や、住民投票などの方法もありますが、議員を選んで要求を実現し、行政の専横を日常的、継続的にチェックさせることが、憲法が定めた重要で基本的な権利です。議員は選挙によって付託を得られたからこそ首長をチェックする権能を持つのです。

「議員数は少なければ少ないほどいい」とか、合理的な根拠がまったく説明できない「人口一万人あたり一人の議席」などという、やみくもな「議員定数削減」は、住民の声を議会に反映する道を閉ざす民主主義への逆行です。議員の定数は、「住民の中にある多様な意見や要求が議会に正しく反映されるには、どれくらいの規模が必要か」という基本的な「物差し」で決めるべきです。

 2005年3月、全国都道府県議長会が設置した学識者、有識者で構成する「都道府県議会制度調査会」は、次のように提言しています。
 「議員定数については、次のように考えられるべきである。議会は地域における政治の機関であり行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない」
 「議員定数は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律削減論は適当ではない。また、競って定数削減を行うことは、地域における少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである」と定数削減の動きを戒めています。
 議員が「住民の要望、意見を行政にきちんと反映しているか」「行政のチェックをきちんと果たしているか」という2つの仕事を期待どおり果たしているか、運営に無駄はないかということは大事な問題ですが、議員定数問題とは別に真摯(しんし)に検討する必要があります。

 また、「経費削減」を理由にする定数削減も、憲法と地方自治法の精神を全く考慮の対象としない危険な提案と言わざるをえません。もともと選挙制度は、国民の民意が議席に正しく反映する、これが最大の基準です。民意を議席に正しく反映させることは、地方自治の本旨である住民自治を発展させるためにも重視されなければならない基準です。

たしかに茨木市の市税収入はこの3年間で約30億円の減収となっていますが、減少した分は交付税や臨時財政対策債で手当てされるため、茨木市の基礎的収入(標準財政規模は)21年度で476億円、22年度で480億円、23年度で495億円と盛り返しているのです。

 無駄な経費の削減は当然のことです。そして経費削減というならば、議員報酬の削減を優先すべきであると日本共産党は主張しています。これこそが議員自身が身を切るといえるものです。日本共産党が提案している報酬削減2割カットが実現すれば23年度予算ベースで約7141万円の削減効果があります。議席は住民のものであり、議席を減らすことはそれだけ住民の権利を侵害することであります。議席は議員個人の既得権益では決してありません。それは単なる議席の私物化からでる物言いではないでしょうか。

 今、議会が何をおいても優先してなすべき事は、「議員の数が多い」と市民から指摘される大本の原因は何かと言うことに正面から対峙して、市民の不信をぬぐい去り、市民に身近な議会となるべく常に奮闘努力することです。

次に、日本共産党が茨木市の議員報酬について2割の削減を主張する理由は、茨木市の議員報酬の水準が、議員の職務の実態からして高額に過ぎるからです。報酬とは非常勤職員の役務の対価として支払われるものでありますから、原則として提供した勤務日数勤務日数に応じて支給されるべきものです。現行法上、月額報酬制や期末手当など一定の例外はあるものの、地方議員はあくまでも非常勤の特別職とされ、常勤職員ではなく、生活給的意味合いを含めて支給すべきものでないことは確定判例が示している通りであります。一方で、これまでの地方議会と議員を取り巻く経緯から議員報酬は全国的にも高騰を続けてきた歴史があります。こうした中で、日本共産党は、議員の報酬は法制度上からも職務実態からもそれに見合うべく、今後順次時間をかけて減らしていくべきものであり、当面は2割削減が妥当だと判断するものであります。このようなことからも議案第11号の期間限定の報酬引き下げ案には賛同しかねるのであります。

以上。大きく二点について申し述べまして、討論といたします。

各議員のご賛同をよろしくお願いいたします。