[大嶺さやか]平成26年3月市議会 本会議質疑

議案第23号 平成26年度大阪府茨木市一般会計予算質疑
○寡婦控除のみなし適用について
○JR東口デッキへの図書館返却ポストの設置について
○まちづくりについて
[賛成討論]請願第1号、国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて


議案第23号 平成26年度大阪府茨木市一般会計予算質疑

(大嶺さやか) それでは、1点ずつお伺いしていきます。
 まず、寡婦控除のみなし適用に関してですけれども、ご答弁いただいた内容から、茨木でもさまざまな制度に、この寡婦控除の適用が影響することがわかりました。
 具体的にどのくらいの影響があるのかということについてですが、東京都と沖縄県に住む3人の未婚の母が、2009年に日本弁護士連合会に人権救済の申立てを行った内容から紹介させていただきます。
 まず、年収201万円で2歳の子どもを保育所に預けている方は、結婚歴のある方と比べて、保育料が年額12万8,400円も高くなっています。お二人目の方は、所得税や住民税、国民健康保険料において、寡婦控除が適用される場合と比べて、年額11万円も高くなっています。3人目の方は、同じひとり親世帯の同じ手取り収入の方と比べて、収入基準に応じて決定される家賃が高いランクに入ってしまい、住居費が年額11万4,000円も高くなっているということで、どの例をとっても、結婚歴があるかないかで年間10万円以上の差が生まれています。
 今回、取り上げた保育所保育料への適用は、現在全国で60を超える自治体で既に実施しています。2014年から新たに実施する自治体は、主要都市だけでも堺市をはじめ、青森市、仙台市、山形市、前橋市、相模原市、岐阜市、大津市、鳥取市の9市が予定をしています。
 先ほど、保育所に入所しているひとり親家庭は、実態に応じてひとり親家庭を判断しているとの答弁がありました。実態をそのまま捉えるなら、婚姻歴のあるなしで保育料に差が生じること自体あってはならないことです。ひとり親家庭を同等に扱うという観点から、来年度すぐにでも、この差は解消すべきだと考えますが、見解をお聞かせください。
 茨木では、1つの目安として、児童扶養手当受給者の中に非婚の母子世帯が212世帯、非婚の父子世帯が1世帯いらっしゃるということが先ほどの答弁でわかりました。これはあくまでも目安ですので213世帯が全て対象になるとは限りませんし、これ以上にいらっしゃる可能性もあります。現在でも、児童扶養手当は本人の申請に基づいて行われるものですし、茨木でも、先ほどの答弁では、5つの制度や事業に影響があるのですから、本人の申請による制度としてでも、まずは導入するということはすぐにでもできるのではないかと考えますが、見解を求めます。
 茨木市は、人権擁護都市を宣言している自治体です。国連の人権に関する委員会から勧告も受けるこういった問題は、国の制度化をまつのではなく、積極的に施策の中に取り入れるべきだと考えます。市民一人ひとりの人権が守られ、明るく住みよい茨木市を築くために行政運営を進めておられる立場としての、茨木市のこの問題に対する見解をお伺いしておきます。
 以上です。

[佐藤こども育成部長] まず、みなし寡婦を来年度から適用してはどうかということでございますが、ひとり親家庭への支援をより効果的に実施するため、関連する他制度との調整も必要となりますことから、来年度の実施は困難であります。
 次に、本市における寡婦控除の適用についてということでございます。保育料をはじめとするみなし寡婦の適用につきましては、他市での取組状況などを参考にしまして、今後考えてまいります。
 最後に、この問題に関する見解についてということでございますが、実態は、同じひとり親家庭でありながら、親の法律婚の有無によって保育料をはじめとする負担額と取り扱いに違いが生じていることにつきましては、課題があるというふうに認識しているところです。


(大嶺さやか) もう4月がすぐですので、来年度すぐということが難しいということであれば、ぜひとも検討いただいて、この寡婦控除のみなし適用をお願いしたいと思います。実際に、10万円以上の差が生じてるということがはっきりしていますし、こういった問題というのは、やっぱり人権の問題ですので、すぐに取り組んでいただくよう要望して、寡婦控除については終わらせていただきます。
 次に、まちづくりに対する質疑をする前に、順番が逆になるんですけれども、図書館について、先に質疑をさせていただきます。
 現在、本市の図書館はたくさんのボランティアにかかわっていただいて成り立っているのだなと、答弁をお聞きして、改めて感じました。この間、図書館ボランティアをされている方たちのお話を聞く機会があったんですが、皆さん直営を堅持してほしいという思いを強く持ちながら、積極的にボランティアとして図書館運営にかかわっておられます。私たちの図書館というボランティアの強い思いが、図書館職員の皆さんとの連携で効率的な運営という効果を数字以上に生み出しているのではないでしょうか。だからこそ、茨木市の図書館運営には、直営だから経費がかかり過ぎるとか、民間に任せればサービスが充実するといった議論は成り立たないのです。経費削減のためにボランティアを活用するといった考え方ではなく、市民との協働で図書館をつくり上げていくという視点に立った運営は堅持されるべきです。
 しかし、時代とともに市民ニーズが変化していくことも事実です。生活様式の変化で市民の利用形態も変わってきます。こういった変化は常に注視し、市民サービスの充実に努めることは直営でも十分に可能です。来年度は、阪急茨木市駅ビルに図書返却ポストが設置されます。私といたしましては、昨年、委員会で要望したJR茨木東口のペデストリアンデッキにも、完成と同時に図書返却ポストが設置されれば、市民の利便性がさらに向上する駅前整備になると考えますが、見解をお聞かせください。

[久保教育総務部長] JR茨木駅東口駅前広場への図書返却ポストの設置についてでございます。
 現在、関係課と調整をしておるところでございますが、課題がありまして設置は難しいと考えております。しかしながら、市民ニーズも踏まえまして、サービス充実に向け、今後も引き続き設置に向け研究、検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。


(大嶺さやか) 図書館に関しましては、ぜひともJR東口にもということを再度、お願い申しあげまして、質疑を終わらせていただきます。
 まちづくりに関する2点目の分を質疑をさせていただきますけれども、先ほどお答えいただいていたように、全体をまとめて説明をするのは難しい、事業ごとの説明になってしまうということなので、この間、私、本会議でも何度か質疑をさせていただきましたけれども、住民の皆さんと一緒になって、総持寺地域全体のまちづくりを考える地域協議会みたいなものを設置すれば、こういった事業ごとの説明会だけでほかの説明がないという、説明不足を感じている方の声も解消されると思います。
 また、観光資源がたくさんあるということは市も承知していらっしゃいますし、多くの方が訪れる環境が必要ということでは、地域住民の皆さんがこういった環境を自分たちの手で整備していくという点では、お金がかかっている事業以上に、これからしようと思っているプロジェクト、効果をあげていこうと思えば、地元住民の皆さんが自分たちのまちづくりだと捉えて総持寺地域のまちづくりを市と一緒になって進めることが必要ではないかと感じています。こういった点で、住民参加のまちづくり協議会の場を設置していただきたいと思いますけれども、見解をお願いいたします。
 そして、スマートコミュニティ構想ですけれども、今の時点でも、広い地域での構想になってますので、周辺住民の皆さんは大変心配しておられるんですね。周辺の皆さんがどういった要望を持っておられるのかというところを、市として把握されているのでしょうか、その点もお聞かせください。
 JR茨木から阪急茨木市間の一方通行化ですけれども、先ほど言われてた会長の近隣の住民や商店の理解が必要という点では、この点が一言も触れられてなかったんじゃないかなと、戦略案の中に、というところを私は感じているんです。こういった近隣の理解を、どういった形で進めていくのかというところについても説明をお願いいたします。
 以上です。

[大塚都市整備部長] 1点目の地域の方々との協議会の設置ということでございますが、地域のまちづくりというのは、本来は住民の皆さん方が主体的になって進めるべきということでございます。市なりが進める事業、これは市として計画を持って進めさせていただいておりますので、これについては市が主体的に取り組むべきことということでございまして、それぞれの事業ごとに説明会を開催させていただいて、ご意見なりをお伺いしながら改善できるものは改善をするという形で、それぞれの事業を推進するという形で進めているということでございます。
 全体のことにつきましては、これは本来、ちょっと言い方があれかもわかりませんけども、地域の皆さん方が主体的になってそのような組織を、また、あらゆる方が入ったような組織を設けていただいて、その中で一緒に考えていきましょうということであれば、市がそこの中に参画させていただくということは当然でございますが、各事業を進めるときにそういうものが必要かというと、それはちょっと違うのではないかなというふうに思います。
 2点目の東芝のスマートコミュニティの関係でございます。地元住民の方からの個別の要望については、現在のところ把握をいたしておりません。ただ、代表質問でもお答えをいたしましたように、スマートコミュニティといいますのは、当然その中に入って来られる事業者、住民の方だけじゃなくて、周辺の住民の方の利便を高めたり、いわゆる一体的なコミュニティを形成するという視点も入ってまいりますので、今後、東芝のほうで計画の具体化が進む中で、いろんな形で意見交換がなされるものというふうに考えているところでございます。
 阪急茨木、JR茨木間の一方通行で、戦略に会長の意見が入ってないのではないかということでございますが、そういうことも踏まえて合意形成を図るということで、戦略の中にきちんと合意形成という形で入れさせていただいております。また、そのために26年度、一方通行化のシミュレーション、沿線住民の方なり沿線の事業者の方にわかりやすく理解をしてもらうためのシミュレーションを作成をして、合意形成を図っていこうという取り組みを進めているところでございます。


(大嶺さやか) まず、一方通行化についてですけれども、合意形成を図る、私は手法の問題をどういった形で進めるのですかと聞いたつもりだったんですけれども、具体的にこの間、事業が進むときの説明というのは、もう事業が決まってますよという説明だけであって、それに対する意見を聞くという場がありませんので、どういった合意形成というものを進めるのかなということに関する答弁をお願いいたします。
 スマートコミュニティに関しては、地域の要望を把握していらっしゃらないということですけれども、昨年、太田公民館のほうで小学生が、東芝の跡地、こんなふうに利用したら私たちのまちづくりがすごくよくなるんじゃないかという展示をされていました。そういった意味では、市が積極的に市民の声を聞くという点では、出かけていってどういったことがあるのかということを聞くことが大切だとは思いますが、そういった姿勢はあるのでしょうか、答弁をお願いいたします。
 また、協議会設置については、私、今回、総持寺地域ということで取り上げさせていただきましたけれども、彩都でもこれから開発されるところでは、大きな物流施設が入ってくるということで、代表質問の中でも出されていたと思います。こういったところでは、まだまちがない中でのまちづくりですし、地元に大きな影響が与えられるという、住環境も交通環境も含めて、影響があるという点では、市が積極的に事業が始まる前にそういった影響を市民に知らせるということも必要だと考えますが、その点についての見解をお聞かせください。
 以上です。

[大塚都市整備部長] 1点目の質問の趣旨が、ちょっと私のほうが十分理解をできていないところがあるので、はっきりとお答えできないかもわかりませんけども、例えば、道路整備を進める、河川改修を進める、ここで開発について説明会をするという場合は、それぞれの事業の内容とその事業による影響を説明させていただいてるということでございます。
 今、太田公民館の小学生の話がございましたが、これにつきましては、東芝がどのようなことを考えてどのような計画をしているかと、これは、もう東芝さんが主体的に考えられるべきことです。当然、市のまちづくりにも関連いたしますので、いろんな相談はさせていただいたり市の意見は申しあげますけども、その上で、その内容をよりよくするために説明会をさせていただく、あるいはそれに協力していただくためにいろんな投げかけをさせていただくというのが各事業単位の説明会の内容でございます。
 今、議員おっしゃってるようなものは、これは地域レベルで、地域の皆さん方が主体的に取り組んで何ができるか、どういうことをしていったらいいかというところでございますので、今、お話を聞くと、いわゆる要望的な話とまちづくりの話とがごちゃごちゃになってるような感じが私のほうは受けさせていただきました。要望を聞く場というのは、それは地域住民の方の議論でまちづくりを進めるということではないというふうに思いますので、その辺ですれ違いがあるのかなというふうに思います。
 彩都につきましても、開発が具体化をしていく中で、当然のことながら、影響がある場合については、事業者のほうで説明をするということになろうかなというふうに思います。


(大嶺さやか) 説明をされるということで、説明では合意を形成してるという形ではないと思うんです。合意というのは、お互いが理解をし合うということですので、私が、この間感じたのは、市道庄中央線での住民との合意形成という形で、本当に事業のつくり方というのは、私自身も勉強させていただいたんですけれども、一方的に説明をしたからといって、合意していただけるというものではないと思います。この一方通行化される地域には、本当に商店も多く、一方通行化されれば商店に対する影響はどうなのかというところも会長の話の中ではあったように私は感じています。ですので、合意形成という点では、合意をとるという、お互いに理解をして事業が進められるという立場の合意形成を図っていただきたいなというふうに感じていますので、今後の計画についてもよろしくお願いいたします。
 また、住民の要望を聞くのではないと言ってますけれども、事業に進めるに当たって、事業を計画するだとか、政策を形成する過程の中の住民の思いというのは1つも入らないで事業が発表されるということ自体が問題なのではないかなと。既に、住民の思いが入って、事業が説明されてこそ、住みたいと思えるまちになるのではないかなと思います。こういったことを含めて、今後も住民の思いの生きるプロジェクトを進めていただくことを要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。

[大塚都市整備部長] すれ違いになるかもわかりませんけれども、例えば、一方通行化でしたら、その一方通行化を生かして、先ほどの会長のお話にもありましたように、中心市街地の活性化を図る、にぎわいを創出するということでございますので、当然、道路を一方通行化することが目的ではなくて、周辺の皆さん方の商店の店構えも含めて、協力をして進めるという形が必要ということから、今回シミュレーションを作成をしていろんな意見を聞きながら理解を得ていこうというものでございます。ですから、例えば、それぞれの事業の目的、内容、影響の範囲、得たい効果、その内容によって取り組みが違うということでございますので、例えば、ここの道路をつくるのに、まずは道路の地権者さんのご理解なり協力を得なければならないというレベルでの説明会であれば、そういう形で説明をさせていただいて事業実施をするということでございます。
 要望を全く聞いていないようなお話もありましたけども、当然のことながら、その中でいろんな意見を聞きながら反映できるものは反映していく、できないものはできないという形で進めさせていただいておりますので、全てをもう最初から決めたまま、何もかも進めているということではございませんので、その点よろしくお願いいたします。

[賛成討論]請願第1号、国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて
請願第1号、国民健康保険料の引き下げなどを求めることについて、日本共産党を代表いたしまして、その願意は日本国憲法に照らしてもっともであり、採択すべきであるとの立場から、討論を行います。
 憲法が考える税負担は、応能負担が原則です。だからこそ、国民健康保険料もこの原則に従わなければならないのです。応能負担原則は、各人が経済的な負担能力に応じて税を負担するという憲法14条の法のもとの平等という考え方が前提にあります。その上で、13条の幸福追求権、25条の生存権、29条の財産権など、これら憲法の理念を生かすことでつかみ取ることが重要です。
 憲法13条では、国民は、個人として尊重されるとあります。国民の権利は人間の尊厳に基づいて、自由で豊かな人間らしい生活を要求し、その主張を通していく主体性が根底になければならず、権利とは決して宛てがいぶちのような恩恵ではありません。また、憲法25条、生存権の立場からすると、国民健康保険料は被保険者の負担能力に応じたものでなければなりません。他方で、医療保険の受給の額は、最低生活が保障される程度の水準が維持されなければならないのです。
 国民健康保険料の負担額だけで医療保険の受給額を賄うことはできません。生存権の保障は市場原理に背き、低負担では健康保険財政の赤字を招くことになります。この赤字を財政支出によって補填することを通じて、生存権を保障することが憲法で言うところの現代国家の義務なのではないでしょうか。
 以上のことから、国民健康保険料は、真に応能負担原則にかなったものでなければならず、国民健康保険料を引き下げてほしい、保険料の減額、軽減の制度を拡充してほしい、国に国保会計への補助率をもとの40%に復元するよう求めてほしいといった請願項目はもっともであると考えます。
 国民健康保険の被保険者には、生活と事業の現況及び実情の範囲を超えて、納付義務の履行を強制されないということが憲法29条の財産権で規定されています。と同時に、徴収手続上、納付する側にも基本的人権があることが憲法11条に明記されているのです。これは国民健康保険料や税のために命まで奪われることが決してあってはならないということであり、これ以上は絶対に譲れない基本的な権利です。
 現行の徴収法が制定されたとき、租税徴収制度調査会の会長、我妻東京大学名誉教授はこう述べています。徴収法を適用するに当たっては、慎重の上にも慎重を期し、決して強権力と裁量権を濫用してはならないことが了解されている。そのことを踏まえた上で、徴収行政に当たらなければならない。この言葉に照らして、今の国保行政は強権力と裁量権の濫用を戒めた徴収法制定の精神から大きく逸脱しているのではないでしょうか。
 国や自治体は人権を無視した滞納保険料の取り立てに本腰を入れるのではなく、滞納を生む原因となる税制を真に応能負担に変えなければ庶民は生存できません。そのことを抜きにして、容赦のない保険証の取り上げに対する解決はあり得ません。国民健康保険料が払いたくても払えない原因は、憲法の応能負担原則に反している点にあるのです。
 住民の命を守るべき国保行政が、たった7円しか残っていない預金さえ差し押さえる、今でさえこの状態なのに、広域化が行われれば、ますます住民に顔を向けない運営となることは、先駆けて広域化が行われている京都府の例を見ても明らかです。住民の福祉向上という地方自治体の役割を踏まえ、住民の生活実態に心を寄せる行政運営で、国保制度を憲法に照らして機能させることを請願理由では求めています。
 なお、本日現在、この請願については8,578筆の署名が市に寄せられていると聞いております。市民と心通う国保行政を求める請願に対しまして、議員各位のご賛同を賜りますよう、お願い申しあげまして、討論を終わります。