公立保育所民営化による市超過負担減少額で市の説明の偽装と粉飾が発覚し、訂正!

下のグラフは訂正後の公私立の運営経費内訳



第1の問題点

第1の問題点公立・私立の市負担額の差額計算でも、公・私を違う条件で計算して、市は年間6億4千万円の市負担額節減効果といっていたが5億9千万円に訂正。しかしまだ1千5百万円多く見せている。正しくは5億7千5百万円。


@保育所運営費の中に児童福祉課正職員16人分の人件費を含めていた。しかし「比較する私立保育園運営費には同種の人件費を計上していないので、比較する上で含めるのは適切ではない」と市は訂正をした。

児童福祉課正職員16人分の人件費年間総額は≒1億3千万円。17億5千万円−1億3千万円=16億2千万円。

訂正後の市の説明は・・・

公立保育所@約65,876円(超過負担単価)×10560人(880人×12月)≒7億円減

私立保育園@10,390円(市補助金単価)×10560人(880人×12月)≒1億1千万円増

民営化による公立880人定数減(民営化人数)で7億円減、私立880人定数増で1億1千万円増

差し引きで−7億円+1億1千万円=5億9千万円の市負担額節減効果

しかし・・・

児童福祉課正職員16人分の人件費年間総額は≒1億3千万円。17億5千万円−1億3千万円=16億2千万円。


A私立保育園の場合は保育所運営経費の中の特別保育に係わる市義務的支出金を15年度までは市補助金欄に記載していた。ところが16年度からは市補助金2千9百万円を国府補助金の合算している。しかし公立の場合は同じように超過負担欄に記載している。


公立保育所@約65,876円(超過負担単価)×10560人(880人×12月)≒7億円減
私立保育園@11,814円(市補助金単価)×10560人(880人×12月)≒1億2千5百万円増
民営化による公立880人定数減(民営化人数)で7億円減、私立880人定数増で1億2千5百万円増
差し引きで−7億円+1億2千5百万円=5億7千5百万円の市負担額節減効果

しかも以上の計算方法そのものが粉飾・・・



第2の問題点

廃止・民営化する公立保育所の市職員が全員退職するモデルで超過負担減少額を計算

茨木市は公立保育所廃止・民営化の目的について、「公立保育所運営費の市負担額(超過負担)を解消するため」と一貫して説明し、具体的には「8カ所の公立保育所を民営化すると年間7億円の市負担額(超過負担)が減少する」と説明してきました。

これに対し、党市会議員団は「公立保育所正職員保育士は民営化により退職するわけでないので、市の説明には全く根拠がない」と追及し、市は答弁で「公立保育所正職員保育士の人件費の市負担額(超過負担)は民営化により減らない」ということを認めました。そもそも市が市議会常任委員会で示した数字でも、

第1に、公立保育所運営費年間市負担額(超過負担)約16億2千万円の内の約11億5千円が正職員保育士等の人件費によるものですが、正職員保育士等は民営化しても他の保育所に異動するだけなので、この分の市負担額(超過負担)は全く減りません。

第2に年間市負担額(超過負担)約16億2千万円の内約2億8千万円は臨時職員保育士等の人件費によるもので、たしかに臨時職員保育士等は民営化により退職をさせられますが、8カ所民営化による市負担(超過負担)減少額は約1億2千万円程度です。

第3に年間市負担額(超過負担)約16億2千万円の内の施設管理費の市負担額(超過負担)は約1億9千万円ですが、8カ所民営化によるの市負担(超過負担)減少額は年間約8千万円程度です。

以上、3つの要素の合計は約2億円。したがって「8カ所の公立保育所を民営化すると年間7億円の市負担額(超過負担)が減少する」との市の説明には全く根拠はないことは明らかです。

一方、公立保育所8カ所民営化により私立保育園の市補助金はどの程度の増額になるのでしょうか。市の説明では、「私立保育園への市負担額(市補助金)は8カ所民営化により年間1億1千万円の増額となる」ということでした。これに土地の無償貸し付けと建物等の無償譲渡も含めて計算すると年間約2億4千万円(推定)の増額になり、私立保育園市負担額の増を公立保育所市負担額の減で差し引きしますと約4千万円となり、保育所全体の運営経費は結果的に増えることがはっきりしました。

また公立保育所運営費国府負担金が一般財源化された中、国は国負担金を地方譲与税(所得税の個人住民税への本格的な税源移譲を平成19年度から実施することとし、それまでの間の暫定措置として所得税の一部を使途を限定しない一般財源として地方へ譲与する所得譲与税を創設した)で、府負担金を地方交付税で措置しました。ところが19年度からの個人住民税への税源移譲と茨木市が18年度からの地方交付税不交付団体で19年度以降年間4千4百万円程度の影響を受け、民営化を延期すれば延期するほど財政的な損害を受けるとの議論もあります。しかしこの解釈も間違っています。まず税源移譲は同額で影響はありません。また不交付団体になったからと言って、財政上の実害は基本的にはありません。即ち基準財政収入額が基準財政需要額を上回ると不交付、収入額が需要額を下回ると交付になるのが地方交付税制度の仕組みです。ちなみに茨木市では18年度の地方交付税は17年度に比べて約3億8千万円減収になりますが、市税ではそれを大きく上回る6億6千万円も増収になります。それどころか基準財政需要額積算では保育所児童一人あたりの単位費用は公立は約50万円、私立は約14万円と3.5倍の開きがあり、120名定員公立保育所1カ所民営化すると茨木市では4300万円も基準財政需要額積算でマイナスになります。このように公立保育所の民営化は茨木市の財政上からも百害あって一利もありません。

また現在の18公立保育所を将来も公立で存続する場合でも15〜20年間は新たな超過負担は生じません。なぜなら公立保育所の保育士の現員は227名で、国基準配置数は190名(正職員必置)であり、その差は37名あるので、毎年6名程度の自然退職が生じた場合も、6〜7年は現員で国基準配置数は可能です。また国基準配置数より不足し、欠員が出る時点でも、採用する若い保育士は国の定めた給与水準より低く、新規採用後10年間は新たな超過負担は生じません。
(ただし実額ではこの4年間で24人程度の定年及び自然退職が予想され、公立保育所年間市超過負担総額は16億2千万円→15億2千万円≒1億円程度減となる−しかしこれは民営化によるものではない)