名神茨木インター隣接倉庫跡地競輪場外車券売場計画資料


この資料は、2005年6月12日に、西地区公民館で開催した、日本共産党茨木市会議員団主催
の「考えるつどい」で、「滋賀県彦根市競輪場外車券売り場建設に反対する会」リーダの徳永 博さ
んが講演していただいた内容に、一部追加してまとめたものです。ぜひ、ご参考にして下さい。



                                                       2005.06.12 徳永 博


競輪場外車券売り場とは?

連日1000人を超える入場者が、地元の競輪場のレースを中心に、全国の競輪場のビッグレース
を大型スクリーンで観戦しながら、車券を購入します。年間270日程度営業するとされ、500台を超
える大型駐車場も設置される.文字通りの大型ギャンブル施設です。


これまでの主な動き

■平成17年4月22日、茨木日航ホテルで、事業者が市会議員、地元自治会長、学校関係者、実
 行組合長など有力者を集めて、事業説明会を開催。

■経済産業省近畿経済産業局産業振興部産業振興課の係官に問い合わせたところ、「事前相談
 はある。日本自転車振興会と事業の採算性についての協議をするように指導している」「
地域自
 治会から反対の申入書をうけとっている。個人のはがきも受け取っている。設置許可申請ま
 でには、必要な範囲の自治会、学校、医療施設等に説明し、そして、自治体、警察、消防等
 との協議の必要がある
」「地理的に言えば、管理施行者(地方自治体)は京都府(向日町競輪)
 ではないか」との発言あり。

■日本共産党京都府会議員団を通じて、京都府に計画の有無について問い合わせたところ、「現
 時点では、他府県に場外施設を設置する計画はない」との回答あり。



計画の概要(会員制)− 変更の可能性あり

■名称−サテライト茨木(仮称)計画の概要(会員制)−変更の可能性あり
■設置者−ジェイ・アセット−実質的にはジェイ・ブリッジ(外資系投資会社)
■用地−上穂積四丁目1−37 「ビッグボックス」南側 4032.48u
■建物−5階建て、床面積  2000坪
■収容人員 一般座席 1000人
        特別観覧席 800人
             計 1800人
■駐車台数          540台
■年間売上高
    入場者数(一日平均)
                 1000人
    推定購買額(1人1日平均)
                 80000円
    車券売り上げ高(一日)
                 8000万円
    車券売上額(一年)72億円

■別途交通
 JR茨木、阪急茨木市駅からシャトルバス運行



競輪の現状

◎ 競輪は「自転車競技法」の規定により地方自治体が行う公営ギャンブルである

◎ 競輪の目的(自転車競技法第1条)

  「自転車その他の機械の改良及び輸出の振興、機械工業の合理化並びに体育事業
  その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与するとともに、地方財政の健
  全化を図るため」

◎ 競輪を主催する自治体数(2004.7.1現在)

  施行単位数 61団体 市町村内訳87団体 (9府県、77市、1村)
  1974年度から1975年度にかけてのピーク時は267団体(施行単位91)

◎ 競輪場数  47場  (2004.7.1現在)

◎ 場外車券売場数 39ヶ所(2004.7.1現在)

        専用場外    32ヶ所
        前売専用場外   7ヶ所

◎ 全国の売上(2003年度)

  総売上金額  9,831億6,094万円(ピーク時1991年度 1兆9,553億円の50.3%)
  場外売上金額 5,457億7,646万円(全体の55.5%)
  電話売上金額 1,291億6,802万円(全体の13.1%)
  開催日数       3,437日
  入場者数(電話などを含まない)1,321万人(1990年度2,756万人の47.9%)
  1日平均売上額  2億8,605万円
  1日平均入場人員    3,844人(電話などを含まない)

 ※競輪の売上は、1991年度の1兆9,553億円をピークとして毎年減少を続けている。
  2003年度の売上は1991年度に比べ半減したが、未だ下げ止まりの兆候は見られない。

◎ 入場者数

  昭和50年代から既に減少傾向にあった競輪の入場者数は1990年度の2,756万人から
  毎年減少を続けている。
  2003年度の入場者数1990年に比べ半分以下の1,321万人となった。
  1991年度から2000年度までの入場者減少率は42.9%で全公営ギャンブル中第1位と
  なっている。
        中央競馬   9.3%
        地方競馬  36.5%
        競艇    30.5%
        オートレース32.4%
        競輪    42.9%

  ※ 産業構造審議会車両競技分科会・競輪小委員会の報告書(2001.12)
  売上の減少は、経済成長率を下回るのみならず、他の競合レジャーとの比較でも減
  少幅は大きく、その要因を景気動向という外的要因だけに求めることは出来ない。
  娯楽・レジャーにおける消費者の選択肢が多様化する中にあって、競輪は相対的に
  その魅力を低下させたことから、既存ファンの競輪離れに歯止めがかけられない一
  方、新規ファンの開拓にも苦戦している。

◎ 売上金の流れ(2002年度実績)

  的中車券に払い戻し     74.7%
  日本自転車振興会への交付金 3.3%
  公営企業金融公庫への納付金 1.1%
  施行者の収益        20.9%
 (開催経費を含むので、赤字になるところもある)

◎ 施行者(地方自治体)の収支

  全施行者の収支は、1991年以降悪化傾向にあったが、2002年に交付金の引き下げを
  行なった事もあり、僅かに好転している。
  単純収支(自ら開催する競輪のみの収支)1991年度は7.94%あったものが、2000年
  度には0.04%まで悪化し、2002年度は0.58%となっている。
  2000年度決算では全国73施行者中、実に半数を上回る42施行者が赤字。
  総合収支ベース(場間場外引受による収入などを含めた競輪事業全体の収支)
  2000年度は1.94%、2002年度は3.19%。(日本自転車振興会の推計値)     
  2000年度は全国73施行者中、22施行者が赤字、2002年度も15施行者が赤字。
  収支改善が見込めない事から1991年から2001年度にかけて14施行者が競輪事業から
  撤退した。

◎ 販売チャンネル別の売上

 @本場車券販売(競輪を開催している競輪場での売上)
   1991年度には総売上の80.3%あったシェアは半減した

 A場間場外車券販売(他の競輪場を借り上げて車券を販売する売上)
   施行者が車券販売による収入を得ようとして、開設日数が飛躍的に増加している。

 B専用場外車券販売(場外販売専用の施設での売上)
  売上は伸びているが、近年それ以上のペースで経費が増え、収支は悪化傾向にある。
  特に、人件費、警備、清掃などの委託費が最も上昇している。

 C電話投票(電話投票回線を使用して、車券購入、代金支払い及び払戻金の決済を銀
  行口座の自動振替で行う方式)
   1985年度の開始以来、急速に売上を伸ばしてきたが、1999年度以降は売上が減少
   傾向にある。1991年度に総売上の4.8%あったシェアは、2003年度には13.1%と
   なっている。

 ※開催競輪場が売上げを大きく落とす一方で、場外、電話投票が増えた原因
  @多くのファンが便利・快適な販売チャンネルを求めるようになった
  A近隣で開催される普通競輪よりも、他場で開催されるグレード・レースの車券を
   身近な所で購入する傾向が強くなった。
   場外・電話投票の一人当たり購入単価は、本場に比べて少ない。(2000年度)
      本場   35,054円
      場間場外 24,804円
      専用場外 22,941円
      電話投票  9,331円


競輪界の問題点

 @ 典型的な天下り天国

  日本自転車振興会の例(2001年度・西山登紀子参議院議員の国会質問から)
   ・常勤役員9人中6人が経済産業省などの高級官僚が天下り。
   ・公務員を55歳で退職し日本自転車振興会に天下り、副会長を3年、会長を3年勤
    めた場合
        55歳定年退職のさいの退職金 6,700万円
        副会長の退職金(3年間)   1,550万円
        会長の退職金(3年間)    1,740万円
        月給 @100万円以上の6年分 7,200万円以上
        副会長時のボーナス3年分   1,935万円
        会長時のボーナス 3年分   2,187万円
    6年間の合計収入は 2億1,312万円以上となる。
    歴代の日本自転車振興会の会長は特許庁長官の天下りで、会長を退職した後、
    さらに(財)日本自転車普及協会や(財)日本サイクリング協会などの会長に
    なっている。
    さらに、その次は補助金の配賦先(大企業)に天下りしている。
    経済産業省から、日本自転車振興会の機械振興補助事業の補助先で上位10団体
    への天下りは、23人もいる。こうして高級官僚が補助金を配る側から、もらう
    側へと渡って行く。
    こうした実態から、彼らは「自転車に乗った渡り鳥」と呼ばれている。

 A 不明朗な補助金配賦(2001年度・西山登紀子参議院議員の国会質問から)

    1.競輪の売り上げから3.7%が日本自転車振興会に交付される。
    2.競輪の売上減少により競輪事業の収支が赤字に転落している地方自治体
     は、一般会計から補てんしても日本自転車振興会への交付金を出さなけ
     ればならない。
    3.競輪の補助金の使途

   1948年の発足当時は地方自治体の財源確保と自転車産業の生産、輸出の復興に限
   定していたが、1954年からは機械工業一般の振興にまで拡大された。

   さらに、1962年には、体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興にも
   充てられることになった。
   日本自転車振興会の機械振興補助金の場合、配賦先は上位30社が殆ど固定されて
   いるばかりか、機械振興補助金全体の62.4%が上位10社に交付されている。

 B 地元の反対を無視しても専用場外車券売場の設置を許可

    1.1979年6月21日の公営競技問題懇談会の答申の中で、「場外売場の設置につ
     いては、ノミ行為の防止に効果があると思われるので、弾力的に検討してよ
     いが、地域社会との調整を十分に行うこと。」と述べている。
    2.また、自転車競技法施行規則15条では設置を許可できる基準として「学校
     その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上
     又は保健衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」との規定がある。
    3.さらに、1995年4月3日 付 通商産業省機械情報産業局長から各通商産業局
     長宛の通達「場外車券売場の設置に関する指導要領について」には、「設置
     するに当たっては、当該場外車券売場の設置場所を管轄する警察署、消防署
     等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整を十分行うよ
     う指導すること。」との記述がある。
    4.しかし、実際には、許可基準の中に「地元自治会(町内会)、地元議会、地
     元市長の同意」が含まれていないために、地元の反対を無視して許可するこ
     とが多い。

    ※地元議会の反対を押し切って設置を許可した例  福島県「サテライトかし
     ま」、茨城県「サテライト水戸」、大分県「サテライト日田」

 C 民間企業への業務委託の拡大(経費削減と民間癒着・天下り先の確保が目的か?)
  専用場外車券売場についての法令・通達など

◎専用場外車券発売とは

 
競輪場外に設置される専用場外車券売場において、車券を発売する形態である。

◎ 専用場外には、次の2種類ある。

 @ 施行者(地方自治体)が直接運営しているもの。
 A 民間企業が設置し、特定の施行者が管理施行者として、その運営を取り仕切るもの。

◎ 設置許可(自転車競技法第4条)

 @ 車券の発売等の用に供する施設を競輪場外に設置しようとする者は、経済産業省
  令の定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
 A経済産業大臣は、前項の許可の申請があつたときは、申請に係る施設の位置、構造
  及び設備が経済産業省令で定める基準に適合する場合に限り、その許可をすること
  ができる。

◎ 設置許可申請(自転車競技法施行規則第14条)

 @ 自転車競技法第4条第1項の規定により、競輪場外における車券の発売等の用に供
  する施設(以下「場外車券発売施設」という。)の設置の許可を受けようとする者
  は、次に掲げる事項を記載した許可申請書を、当該場外車券発売施設を設置しよう
  とする場所を管轄する経済産業局長を経由して、経済産業大臣に提出しなければな
  らない。

  一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
  二 場外車券発売施設の設置を必要とする理由
  三 場外車券発売施設を設置しようとする場所
  四 場外車券発売施設の構造及び設備の状況
  五 場外車券発売施設の敷地に係る土地又は建物に関する権利関係
  六 入場者数及び車券の発売金額の見込み並びにそれらの計算の基礎
  七 場外車券発売施設の設置に必要とする経費の見積額及びその計算の基礎並びに
    経費の調達方法
  八 場外車券発売施設が払戻金の交付を当該交付に係る競走が実施される日のすべ
    ての競走が終了するまで行わない施設であるときは、車券の発売等の時間その
    他の運用方法

 A  前項の許可申請書には、次に掲げる図面を添付しなければならない。

  一 場外車券発売施設付近の見取図(敷地の周辺から千メートル以内の地域にある
    学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設の位置並びに名称を記載した
    一万分の一以上の縮尺による図面)
  二 場外車券発売施設を中心とする交通の状況図
  三 場外車券発売施設の配置図(千分の一以上の縮尺による図面)

◎ 設置許可の基準(自転車競技法施行規則 第15条)

 自転車競技法第4条第2項の経済産業省令で定める基準は、次のとおりとする。
  一 学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教
   上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと。
  二 施設は、入場者数及び必要な設備に応じた適当な広さであること。
  三 車券の発売等の公正かつ円滑な実施に必要な次の構造、施設及び設備を有する
   こと。
    イ 車券の発売等の用に供する建物及び設備
    ロ 入場者の用に供する施設及び設備
    ハ その他管理運営に必要な施設及び設備
    ニ 外部との遮断に必要な構造
  四 施設の規模、構造及び設備並びにこれらの配置は、入場者の利便及び車券の発
   売等の公正な運営のため適切なものであり、かつ、周辺環境と調和したものであ
   って、経済産業大臣が告示で定める基準に適合するものであること。

◎ 場外車券売場の施設の規模、構造及び設備並びにこれらの配置の基準
                        1994.3.7 通商産業省告示第109

 @ 車券の発売等の用に供する施設等
 (1) 車券の発売等の用に供する施設は、購入しやすい構造であって、現金及び重要
   書類を適切に管理できるものであること。
 (2) 車券の発売等の用に供する窓口は、それぞれ収容人員数に応じた適当な数であ
   り、かつ、各窓口の間隔は0.9メートル以上であること。この場合において、車券
   を販売する窓口の数は、常時在場人員数が100人を超える場合には、14以下であっ
   てはならない
 (3) 車券の発売等の用に供する窓口の前面には、原則として6メートル以上の空間を
   確保すること。
 (4) 車券の発売等の用に供する各施設に現金及び重要書類を保管するための設備を
    設けてあること。

 A 入場者の用に供する施設等
 (1) 入場者の用に供する建物は、冷暖房設備を備えたものとすること。
 (2) 定員の10%以上の椅子席を設けること。
 (3) 入場者の見やすい場所に確定出場選手、車券の発売金額、勝者及び払戻金額を明
   示するための掲示設備が設けてあること。
 (4) 入場者の用に供するため、適当な数及び広さを有する次の施設を利用しやすい場
   所に設けてあること。
    イ インフォメーションコーナー
    ロ お客様相談所
    ハ 荷物預かり所
    ニ 喫茶・休憩コーナー
    ホ 飲食店(飲食店は、快適かつ衛生的な設備を有し、かつ、食品取扱設備、洗
     浄設備、給水及び残物等処理設備を備えていること。)
    ヘ 売店
    ト トイレ(それぞれ男子用及び女子用の区別があり、水洗式のものであること。
    チ 駐車場(駐車場は立地条件に応じ場外車券売場周辺の道路交通等に支障を及
     ぼすことのないよう入場者の自動車等を収容するのに十分な広さであること。
     自ら設置する事が困難である場合には、車券発売中については他の駐車場所有
     者等との契約により十分な広さの駐車場を確保すること。)

 B 当該基準は最低基準を示したものであるから必ず当該基準に適合するよう指導する
  こと。従って、許可基準に規定されていない事項についても改善を要すべき箇所が
  あれば、併せて指導して整備改善させること。(1995.4.3 7機局第164号 通商産業
  省機械情報産業局長名 各通商産業局長宛 通達)

◎ 場外車券売場の設置に関する指導要領について
 (1995.4.3 7機局第164号 通商産業省機械情報産業局長名 各通商産業局長宛 通達 )

 @ 設置するに当たっては、当該場外車券売場の設置場所の属する地域社会との調和を
  図るため、当該施設が可能な限り地域住民の利便に役立つものとなるよう指導する
  こと。
 A 施設の整備改善に関する事項について、必要ある場合は日本自転車振興会に意見を
  求めること。
 B 設置するに当たっては、当該場外車券売場の設置場所を管轄する警察署、消防署等
  とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整を十分行うよう指導する
  こと。

※ 専用場外車券売場についての当局の重点政策

 @ 競輪空白地域での設置を積極的に推進する

 A 合理化・効率化を進め、収支率の改善をはかる

 B 民間企業への委託を進める



専用場外車券売場についての政策

◎ 2004.3.10 競輪政策決定会議

  2003年度は、お客様の利便性向上、売場の適正配置という観点から専用場外車券売
  場の設置推進に取り組んだ結果、6場の新規開設を実現した。

  2004年度は、投票機会・利便性の向上および新規ファンの創出を図るため、専用場
  外車券売場の設置推進に引き続き取り組む。

  特に重点項目として、構造改革特別区域(特区)における「ミニ場外」については、
  駐車場等のインフラが整備されているが、空き店舗の多い商店街や閉店したデパー
  ト、スーパーのフロアーの効果的な活用について検討し、積極的に推進する。

◎ 2001.12 産業構造審議会 車両競技分科会 競輪小委員会の報告書

   専用場外の新規設置に当たっては、経済産業大臣の設置許可に関し、施設を周辺
  環境と調和したものとする、車券の非発売日には施設を地域住民に開放するなどの
  対応が求められているが、現実には、設置に反対する意見も根強い。主な反対理由
  としては、街づくりのイメージにそぐわない、来場者が騒いだり、ゴミを散乱させ
  る、風紀が乱れる、青少年の非行につながる、来場者の自動車により違法駐車や渋
  滞の問題が発生するなどが指摘されている。しかしながら、既存の専用場外につい
  ては、関係する施行者や設置者の努力により、清掃員による周辺美化の徹底、警備
  員の適正配置、十分な駐車場の確保等の対策が講じられており、大きな問題は生じ
  ておらず、おおむね地域社会に受け入れられているものと考えられる。専用場外に
  ついては、地元の地方公共団体に対して、協力金等の形で財政的な貢献がなされる、
  地域社会に新たな雇用や取引が生まれる、ヒトの賑わいによって周辺の商店街が活
  性化する、地域にコミュニティの場が提供されるというメリットがあり、専用場外
  が地域社会と共生しているケースも少なくない。専用場外設置の円滑化のため、競
  輪そのもののイメージアップに努めることはもちろん、その補助事業の適切かつ効
  果的な活用、共生事例の積極的なPR等を通じた地域社会の理解を高める対応を積極
  的に行っていくべきである。

   専用場外の委託に係る経費は、主として、専用場外車券売場施設借上料、人件費
  等で構成されるが、経費率自体には大きな格差が見られる(平成11年度及び平成12
  年度の特別競輪等の専用場外委託の実績を見ても、受託場ごとの収支率には格差が
  生じている)。これには、専用場外車券売場が設置された経緯から、地元に対する
  協力費等が計上される場合もあることが影響している。このため、専用場外の委託
  に係る経費を画一的に見直すことは適当でないが、他方、専用場外全体の合理化・
  効率化を進め、競輪界全体として、収支率の改善を図っていくことは重要である。
  その際には、多額の初期投資を行っている専用場外車券売場の経営の安定化を図る
  ことにも留意すべきであり、かかる観点から、施行者による制約を解除し、専用場
  外車券売場の運営の自由度を高めることを検討すべきである。

   また、多くの専用場外車券売場が民間企業により設置されていることにかんがみ
  れば、公金の取り扱いを伴う車券発売等の事務を民間企業にも開放することは、事
  務手続きの簡素化や委託の効率化を図る上で極めて有効であると考えられる。 


学生生徒・未成年者の車券購入

  未成年者が馬券や車券を購入することは、法律で禁じられていますが、会員制でな
  い限り、容易に購入可能である。 
  1991年に大阪場外馬券売場で、大阪府警少年課が、未成年者の補導と意識調査を行
  った結果を紹介します。 
  調査が行われた5ケ月間に補導された少年は685人で、
    高校生  443人  中学生 23人  専門学校生等 219人。
  もちろん、この期間中に、馬券を購入した中高校生は、この10倍程度はいたでしょ
  う。このうち511人が回答した意識調査では、
    購入回数1回   200人(39%)
    購入回数2回   117人(23%)
    購入回数3〜4回  96人(19%)
    購入回数5回以上  98人(19%)
  でした。 
  なお、窓口で(未成年ということで)購入を拒否されたことがあるか?という問い
  に対しては、463人(91%)が「無い」と回答しています。 

  ※上記の大阪府警の調査は、93年5月の高松地裁のウインズ高松差し止め 訴訟の
  判決でも引用されており、「未成年者の馬券購入を完全に防止することは不可能で
  あり、風俗や教育上の悪影響を与えることは否定できない」と判決文で認定してい
  ます。

  《参考資料》
  中高生ら685人が競馬 配当金はデートなどに大阪で補導
  (朝日新聞 朝刊  1991年09月10日)
  若者に競馬人気が広がるなか、今年4月から8月までの間に大阪市内の場外馬券売り
  場3カ所で、中学生や高校生ら未成年者685人が馬券を買って大阪府警少年課に補
  導されていたことが9日わかった。
  デートの資金を稼ぐために馬券を買っていた少女もおり、同課は京都、阪神の両競
  馬場にも、チェックを厳しくするよう申し入れるとともに、大阪府教育委員会など
  にも生徒の指導を求めた。競馬法が改正され、16日からは馬券を買った未成年者で
  はなく、馬券を販売した側に罰則が科される。
  補導されたのは、中学生23人、高校生443人、大学生34人、各種学校生86人、有職・
  無職少年99人だった。
  桜花賞レースで大穴を当て払戻金12万円を持っていた少年(15)、下級生から脅し
  取った金を競馬に使っていた中学3年生の2人組 、カップルで毎週土曜日に馬券売
  り場を訪れ、私服に着替えた女性が馬券を買いデート資金に充てていた高校生など、
  さまざま。
  個人では最高3万4000円をかけていたり、友人に頼まれ4万4000円をまとめ買いし
  ていた少年もいた。また、大半は小遣いやアルバイトの金を充てていたという。
  競馬法ではこれまで、馬券を買った未成年者に罰金を科していた。しかし、16日か
  ら改正され、今度は売った側が50万円以下の罰金を科される。
  日本中央競馬会によると、これまでも、場外馬券売り場の建物内に未成年者を入れ
  ないようにしたり、ポスターやチラシで注意をしたり、また独自の巡回班をつくる
  などの手を打ってきた。
  が、未成年者かそうでないか見分けるのは難しいという。

  場外馬券売り場に少年目立つ 5か月間で685人補導
  (大阪読売新聞 朝刊 1991年09月10日)
  競馬人気に馬券を買い求める子供たちが目立つため、大阪府警少年課は「ウィンズ
  梅田」など市内三か所の場外馬券売り場で取り締まりを行い、先月までの五か月間
  で685人の中、高校生らを補導した。資金欲しさに恐喝を繰り返していた中学生らも
  おり、同課は9日、中央競馬会に対し、購入者を十分にチェックするよう申し入れた。
  補導の内訳は、高校生が443人と最も多く、全体の65%。次いで専門学校生86人、有
  職少年60人などの順で、中学生も23人いた。
  動機は「友達に誘われて」がトップで30%。40%が「大人もやっているから悪いこ
  とと思わない」と答え、一回に使う金額は「千円から五千円」が一番多く、60%を
  占めていた。
  大阪市の中学生二人は金に困って、この一年間に下級生から計15回、三万円を恐喝。
  同市の鉄工所勤めの少年(15)は桜花賞で大穴を当て、500円馬券で約12万円の払い
  戻しを受けていたほか、派手な服装に化粧をして年齢をごまかし、馬券を買いに来
  ていた女子高生もいるなど、フィーバーぶりはエスカレートしている。
  学生・生徒、未成年者の馬券購入を禁止する競馬法は今春改正され、売った側に罰
  則が設けられた。今月16日に施行される。


経済産業省の政策

  @大分県日田市の例(日田市大石市長の話)
   1996年09月 建設業者の場外車券売場建設が浮上
   1997年07月 九州通産局が設置申請を受理
   1997年11月 反対運動のため、通産省が「一時凍結」を表明
   1999年04月 「一時凍結」表明に油断し、また日田市長選挙のため、具体的な反
         対運動が停滞
   2000年06月 通産省が設置許可を出す。その理由は「反対運動が止まったので、
         地元は賛成にまわったと解釈した」との事。このように通産省
        (現・経済産業省)は「一時凍結」を表明して油断させ、反対運動が
         下火になると突然 許可するという卑劣な手段を使うことがある。

  A2002年7月25日、日本共産党山梨県委員会と地方議員が、経済産業省に場外車券
   売場建設中止の申し入れを行った際、対応した製造産業局の長島秀夫車両課長補
   佐は、「車券場には警備員を置いて未成年者は入場できないようにしていますし、
   お小遣い程度で楽しめる健全なレジャー施設ですから、文教上は問題はありませ
   ん」と答えている。( 若草民報 2002.08.04号 亀ケ川正広 )ここからは、経済
   産業省が若年層のファンを開拓するためにも場外車券売場を増やそうと狙ってい
   ることがうかがえる。

  B「サテライト横浜」の例(2004年8月24日 政府答弁書 内閣衆質160第49号参照)
   診療所・薬局が入居している雑居ビルの9階・10階に会員制の場外車券売場を設置
   したいとの許可申請に対し 経済産業省は設置を許可した。このビルの周辺には
   多くの学校・教育機関があり、その通学路に隣接しており、またこのビル横には
   それ以外の学校のスクールバス発着場がある。場外車券売場の設置の許可基準と
   して、「自転車競技法施行規則第15条第1項」は「学校その他の文教施設及び病院
   その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障を来
   たすおそれがないこと」と規定している。また、「場外車券売場の設置に関する
   指導要領」では「設置するに当たっては、当該場外車券売場の設置場所を管轄す
   る警察署、消防署等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整
   を十分行うよう指導すること。」と述べられている。これらの許可基準があるに
   もかかわらず、設置を許可したとする経済産業省の答弁の内容は1、 場外車券売
   場の利用者が一般に通行すると考えられる道路が、周辺地域の文教施設の通学路
   と重なっていないこと。2、 専用エレベーターの設置及び誘導員の配置により、
   場外車券売場の利用者とそれ以外の者が本件ビルの中で接する場所が限られるこ
   ととなること。3、 警備員の配置等本件ビルの内部及び周辺の警備体制を充実す
   ることとしていること。以上のことから、「場外車券売場の設置により 文教上
   又は保健衛生上著しい支障を来たすおそれがないと判断し、その設置を許可した」
   との事である。また、「相当の距離を有し・・・著しい支障を来たすおそれがな
   い」かを個別の事案ごとの事情に即して判断することとなるが、場外車券売場と
   医療施設とが同一の建物の中にあることが必ずしも許されないわけではない、と
   強弁している。さらに、場外車券売場の設置の許可に当たっては、「文教・医療
   施設の関係者」を含む地域の住民との調整が十分行われることが重要であると認
   識している。このような地域の住民等との調整については、自転車競技法の趣旨
   にかんがみ、その適正な施行に不可欠なものであるとまでは言えず、関係法令上、
   場外車券売場の設置の許可の要件とはしていないが、場外車券売場は地域の住民
   等の理解を得て設置されることが望ましいため、一般に、地域の住民等の立場を
   代表していると考えられる町内会等の同意書の提出を、必要に応じ設置者に求め
   ているところであり、これに特段の問題があるとは考えていないと、述べている。

  C以上のように、学校の中や病院の中でない限り、近くに学校があろうが、同一建
   物内に診療所があろうが、自分たちが必要なものと考えれば何の歯止めもなく、
   設置を許可する。これが経済産業省の実態である。また、地元との調整も許可に
   不可欠なものとは考えないが、必要に応じ町内会の同意書などを提出させている
   だけであって、地元の自治会や市議会、市長がいくら反対しようが、設置を許可
   しようと思えば許可できるというのが、経済産業省の本音である。D経済産業省
   としては、「場外車券売場の設置申請が出されれば どんなことがあっても許可
   する」とにかく設置を推進するというのが大原則である。従って、場外車券売場
   の設置を阻止するには、法律や規則などに頼らず、幅広い反対運動により競輪施
   行者(地方自治体)や 設置者(民間事業者)に設置を申請させないことが決め手
   になる。いったん設置申請が出されれば、設置許可が下りるものと考えられ、反
   対運動は困難を極める。大分県の日田市の場合は設置許可が下りた後に阻止する
   ことができたが、この場合も競輪施行者である別府市に署名、デモ、名誉毀損訴
   訟などで圧力をかけ 申請を取り下げさせたものである。場外車券売場の設置を
   阻止するには、設置者(民間業者)あるいは、競輪施行者(地方自治体)に申請
   をさせない、申請後であれば、申請を取り下げさせることしかありえない。


各地の反対運動に学ぶ

  @場外車券売場の実態を徹底的に広め、浸透させる。(大量宣伝)
   既設競輪場や車券売場周辺のアンケート結果を宣伝
   既設競輪場の見学会

  A地元、近隣住民での話し合い
   「どうしても阻止する」との決意を固める

  B幅広い市民を組織する(多重的に組織し、連絡会を作ってもよい)

  C運動のなかで常勤的な事務局体制をつくる

  Dマスコミが取り上げるような形で進める
   請願書、陳情書、公開質問状などを記者発表

  E公営ギャンブル事業に不正がつきもの。(脅迫、賄賂、背任など)
   調査して明るみにする(会社組織と人事、土地、建物の登記など徹底的に調査)

  F市議会、府議会、国会で各党に取り上げてもらう

  G署名は人口と同数以上を目標に
   地元を重点に、周囲に広げていく


署名は手元に保管して、4枚をコピーして、それぞれの宛先に提出又は送付して下さい

[個人が提出する反対署名の参考例]

 2005年  月  日

ジェイ・ブリッジヱ纒\取締役社長殿(設置者)
京都府知事殿(予定施行管理者)
経済産業省近畿産業局長殿(設置許可権者)
茨木市長殿(建築物許可権者)

請願者
   茨木市上穂積○丁目○番○号 上穂積太郎

  地域の住環境、青少年健全育成環境、交通環境を破壊する
  上穂積四丁目倉庫跡地競輪場外車券売場
     建設計画の中止を求めます

 今般、茨木市上穂積四丁目倉庫跡地に計画され
ている競輪場外車券売り場建設計画は地域の住環
境、青少年健全育成環境、交通環境に多大な影響
を与えることは必至で、到底容認できるものでは
ありません。即刻、計画の中止をそれぞれの立場
で、取り組まれるよう強く求めます。

以  上



[団体が提出する反対署名の参考例]

       2005年  月  日

ジェイ・ブリッジヱ纒\取締役社長殿(設置者)
京都府知事殿(予定施行管理者)
経済産業省近畿産業局長殿(設置許可権者)
茨木市長殿(建築物許可権者)

請願者代表者

          茨木市上穂積○丁目○番○号 上穂積太郎


地域の住環境、青少年健全育成環境、交通環境を破壊する
   上穂積四丁目倉庫跡地競輪場外車券売場
        建設計画の中止を求めます


  今般、茨木市上穂積四丁目倉庫跡地に計画されている競輪
場外車券売り場建設計画は地域の住環境、青少年健全育成環
境、交通環境に多大な影響を与えることは必至で、到底容認
できるものではありません。即刻、計画の中止をそれぞれの
立場で、取り組まれるよう強く求めます。

以  上

氏  名

住   所

サイン

   

  

  

 

 

 

 

 

 




     家族の分の代筆は有効です。またサイン又は印はなくても有効です。



 《反対署名送付先》
 〒107-0052東京都港区赤坂2丁目17番7号 赤坂溜池タワー 9Fジェイ・ブリッジン
 〒602-8570京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町京都府庁内
 〒540-8535大阪市中央区大手前1-5-44経済産業省近畿経済産業局内
 〒567-8505茨木市駅前三丁目8番13号茨木市役所内


以上